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イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

イカ、人、長楕円形の3種類の葯とクルクル丸まる雌しべを持つ ツユクサ

2014-05-17 05:49:22 | 日記
ツユクサ科(Commelinaceae); ツユクサ亜科(Commelinoideae); ツユクサ属 (Commelina); ツユクサ(C. communis)
学名: Commelina communisL.
日本名: ツユクサ(露草)、ツユクサ・オウセキソウ(鴨跖草)、ツキクサ(月草、着き草)、ホタルグサ(蛍草)、ボウシバナ(帽子花)、アオバナ(青花)
英名: Asiatic dayflower

 ツユクサは小学校の頃からのお馴染みだ。理科の勉強で葉の気孔を観察するときにそのサンプルとして使ったのを思い出す。もう一つどうしてなのか分からないがトンボにツユクサの花を食べさせた記憶がある。トンボは昆虫などを補食するのでツユクサが好物だった訳もなく、トンボにとっては良い迷惑だったろう。
 舟形の苞の中に蕾があり、その中から数個の花が外に出てきて咲く。咲くのは昼頃までで夕方には閉じてしまう。花弁は3枚で、上の2つが涼しげな青い色、下に1枚あるが白くて目立たない。
 雄しべはすごく変わっている。6本あるうち上にある3本が短く、下の2本が長く残りの1本がその真中の位置にあり、長さも中間である。実際に花粉を出して受粉に役立つのは長い2本の雄しべで、残りの4本は受粉には役立たないらしい。しかし、葯の色はこちらの方が鮮やかな黄色で、長い2本の雄しべの葯は地味な茶色だ。短い方の雄しべは受粉には役立たないが、その色で虫を寄せ付ける役割でも持っているのだろうか。葯の形も面白く、長い2本の雄しべの葯は長楕円形をしているのに対して、短い3本の方は足2本しかないイカ、中間の雄しべは足の丸まった人型をしている。雌しべの長さは長い雄しべとほぼ同じだが、受粉するとクルクルと丸まる。なんて不思議で面白い雄しべと雌しべなんだろう。
 ツユクサの青い色は爽やかな色だが、非常に水に溶けやすい性質を持つので友禅染などの下絵を描くのに用いられているという。ただし、ツユクサは花が小さくて色素が十分に取れないので、実際に用いられるのは栽培変種である大型のオオボウシバナ(アオバナ)とのことである。
 開花期に全草を採取し蒸してから天日で乾燥させたものが鴨跖草(おうせきそう)という生薬として用いられ、解熱、利尿、解毒、かぜ、熱性下痢、水腫(すいしゅ)、心臓病などに用いられるという(イー薬草ドットコム参照)。
 

ツユクサのアップ写真。葯が黄色で短い3本の雄しべ、葯が黄色で中くらいの長さの1本の雄しべ、葯が茶色で長い2本の雄しべが見える。また、短い雄しべの葯は足が2本のイカ形、中くらいの長さの雄しべの葯は足が丸まった人形、長い雄しべの葯は長楕円形をしている。また、長い雄しべとほぼ同じ長さの雌しべは受粉するとクルクルと丸まる性質を持つ。写真の雌しべも丸まっている。(花巻市日居城野公園、2013年7月29日)


ツユクサの群落。午前中撮影。花が咲いている。(北上市グリーンパーク、2013年9月9日)


同上。夕方撮影。花が閉じている。(花巻市笹間、同上)

地味で恥ずかしがり屋の チゴユリ

2014-05-16 06:32:43 | 日記
イヌサフラン科(Colchicaceae); チゴユリ属(Disporum); チゴユリ(D. smilacinum)
学名: Disporum smilacinum A.Gray
和名: チゴユリ(稚児百合)

お馴染みのどぜう庵でチゴユリを見つけた。実にじみーな花だ。全体が小振りな上に、白くて目立たない花が下向きに恥ずかしそうに咲く。地味に下向きに咲くメリットはどこにあるんだろう。なにか理由があるんだろうな。でも、この植物は受粉に頼るだけではなくて、地下茎でも増える技をチャッカリと身につけている。
 花の咲く時期は5月だが、岩手ではカタクリやムラサキケマンなどよりも咲く時期がやや遅れるようだ。


どぜう庵でチゴユリを見つけた。花は白くて目立たない。おまけに下向きに咲くのでますます目立たない。(花巻市松、2013年5月12日)



花をズームアップ。6つの雄しべが見える。(同上)

オレンジ色の4つの腺体の中央からチョンマゲ頭の子房が突き出る タカトウダイ

2014-05-15 05:27:40 | 日記
トウダイグサ科(Euphorbiaceae); トウダイグサ属(Euphorbia); タカトウダイ(E. lasiocaula)
学名: Euphorbia lasiocaula Boiss.
和名: タカトウダイ(高燈台)

 鉄道脇の土手に色々な草がぼうぼう生えていてその隙間からやっと顔を出す様にしてタカトウダイが生えていた。
 この植物の花も変わっている。茎の上部に5枚の葉が輪生し、そこから5本の茎が伸びて花をつける。茎の上部に2枚の葉の様な小総苞がつきその中に雄花と雌花が同居する。しかし、花といっても花弁はなく。花弁のようなオレンジ色の4個の腺体があり、その脇に雄花がいくつか隠れている。中央に雌花があり、イボイボのある子房をつける。その先にチョンマゲのような3本の花柱が出ている。ちょっと目には腺体が花弁の様に見えるがそうではないところがややこしい。
 秋に根茎を掘り取り細かく刻んで乾燥させたものを中国では大戟(だいげき)と呼び、腎臓病のむくみ改善に古くから用いられているという(イー薬草ドットコム参照)。しかし、全草に有毒成分を含み、食べると下痢やめまいなどを惹き起したり、 茎などを切った白い乳液に触れるとかぶれるので注意が必要なようだ。
 また、秋には美しく紅葉するという。


鉄道脇の土手の草むらから顔を出しているタカトウダイを見つけた。5枚の葉が輪生しているところから5本の茎が伸び、その上に小総苞がつき花がついている。(花巻市桜台、2013年8月16日)



小総苞の部分を拡大。2枚の小総苞の中にオレンジ色の4つの腺体があり、その中心に雌花があり、イボイボのある子房が突き出ている。その上にチョンマゲのように3本の花柱が出ている。(同上)

茶色い頭花の中から出てくる雌しべや雄しべが印象的な スズメノヤリ

2014-05-13 06:17:51 | 日記
イグサ科(Juncaceae); スズメノヤリ属(Luzula); スズメノヤリ (L. capitata)
学名: Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom.
日本名: スズメノヤリ

 イグサ科に属する植物だが、イグサのように湿った場所に生えている訳でもなく、ごく普通に道ばたに生えている。葉もイグサほど細くはない。最初に見つけたときは、ハルガヤに似ているのでイネ科の植物だと思った。しかし、イネ科の植物をいくら調べてもこれだという植物が見あたらない。しかし、写真を整理していて突然ピンと来た。穂の形がどっかで見たような。そうだ!これってスズメノヤリではないかと思い至った。それから細かくチェックしてみたら、多くの点がスズメノヤリの特徴と一致した。
すなわち、根生葉の幅2~6mm、長さ7~15cmで縁に白く長い毛がある。茎葉は2~3個つける。茎は10~30cm立ち上がり、頭花を1個つける。まれに2~3個の場合もある。花には花被片(萼に相当する)が6個あり、花が開く前に先端から雌しべが先に出てくる。雌しべは白くて、その先端は3つに分かれている。そのあとで花が開き、黄色い雄しべが6つ出てくる。撮った写真にはその様子がはっきり写っていた。
 スズメノヤリという名前の由来は、頭花の形が大名行列の毛槍に似ているからだという。そういわれても正直そんなに似ているようには感じない。しかし、茶色い頭花から出てくる白い雌しべや黄色い雄しべは印象的で目を引く。葉の縁に白い毛があるのも他の植物と区別する重要なポイントだ。


サイクリングロードの脇に生えているスズメノヤリを見つけた。(花巻市星が丘、2014年5月2日)



蕾の状態の頭花。茶色い花被片が閉じている。(同上)



蕾から白い雌しべが出てきた。先が3つに分かれている。(同上)



6つの花被片が開き中から6つの黄色い雄しべが出てきた。(同上)



昨年愛隣館の裏山で見つけたスズメノヤリ。雌しべが出ている。(花巻市鉛愛隣館裏山、2013年5月25日)


薄紫色の清楚な花をつける シラネアオイ

2014-05-12 07:18:38 | 日記
キンポウゲ科(Ranunculaceae); シラネアオイ属 (Glaucidium); シラネアオイ(G. palmatum)
学名: Glaucidium palmatum Siebold et Zucc.
和名: シラネアオイ(白根葵)


 希少な山野草の1つであるが、あちこちで栽培されて植えられているようだ。どぜう庵で見つけたのは明らかに植えられたものだが、愛隣館の裏山で見つけたものはひょっとすると自然に生えたものかも知れない。こちらの方は立ち入り禁止区域に生えていたので、近寄って撮影できなかったのが残念だ。 
 ウィキペディアには以下のように解説されていた。「日本固有種の1属1種。北海道から本州中北部の日本海側にかけての山地帯と亜高山帯のやや湿り気のあるところに分布。高さは20-30 cm。花期は5-7月頃。花弁はなく、7 cmほどの淡い紫色の大きな萼片が4枚あり、大変美しい姿をしている。
和名は、日光白根山に多く、花がタチアオイに似ることからシラネアオイ(白根葵)と名づけられた。別名で「山芙蓉(やまふよう)」、「春芙蓉(はるふよう)」ともいう。」
 解説されているとおり、花は薄紫色で派手ではないが日本人好みの清楚で涼しげな感じがする美しい花だ。しかし花弁と見えるものは実は萼で花弁は存在しないのだという。このような花は単花被花というようだ。どうして花弁がないのか調べてみたが今ひとつ理由が分からなかったのが残念だ。また、どうしてシラネアオイの花被を萼だと決めつけるのだろう。これも納得が行かない。すっきりした説明はないものか。


昨年五月に鉛温泉で見つけたシラネアオイ。立ち入り禁止区域に生えていたので接写が出来なかった。しかし、これは自然に生えていたものかも知れない。(花巻市鉛新鉛温泉愛隣館、2013年5月25日)



どぜう庵で見つけたシラネアオイ。これは明らかに植えられたものだ。しかし、きれいな薄紫色で清楚で美しい花だ。(花巻市松どぜう庵、2014年5月2日)



花をズームアップ。(同上)



花軸をズームアップ。多数の雄しべの中に埋もれた雌芯が1個見える。(同上)