goo blog サービス終了のお知らせ 

イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

蛇の目模様の ハルシャギク

2014-05-23 06:59:15 | 日記
キク科 Asteraceaeキク亜科 Asteroideaeハルシャギク連 Coreopsideaeハルシャギク属 Coreopsisハルシャギク C. tinctoria
学名Coreopsis tinctoria
和名ハルシャギク(波斯菊)、ジャノメソウ(蛇目草)
英名plains coreopsis、golden tickseed

 北米中西部原産で明治初期に伝来した帰化植物。葉は対生で2回羽状複葉で細くコスモスに似た感じである。頭花は舌状花と筒状花からなり、舌状花の中心に近い方と筒状花は濃紅色でそれ以外の舌状花の周辺部は黄色である。蛇の目模様であることからジャノメソウとも呼ばれる。しかし、全体が濃紅色となるものもある。花の色や咲く時期は異なるが、形はコスモスに似ている。
 この植物には、近所の道路脇で出合ったが、それ以外の場所では見かけなかった。オオキンケイギクとは異なり、繁殖力はそれほど強くないのかも知れない。


近所の道路脇の空き地で見つけたハルシャギク。(花巻市天下田、2013年7月3日)



道路の直ぐ脇にも生えていた。ジャノメでなく全体が濃紅色の花もあった。(同上)



花をズームアップ。(同上)

悪者エイリアンの宇宙船 ノブキ

2014-05-22 08:57:47 | 日記
キク科(Asteraceae); ノブキ属(Adenocaulon); ノブキ(A. himalaicum)
学名:Adenocaulon himalaicum
日本名: ノブキ(野蕗)

薄暗い森の中に生えていた。葉はフキに似ているのだが茎が立ち上がり光沢のある小さな白い花が咲き、棍棒が放射状についた変わった実が成っている。色々と調べてノブキと判定した。
 葉は先の少し尖った腎形で葉柄には狭い翼がある。長い茎が立ち上がり白い花が咲くが、頭花はまわりに雌花、中心部は両性花が咲く。しかし、両性花は不稔性であり結実せず縁の花だけ結実する。果実が実ると中心部の両性花は脱落し、棍棒状の実を放射状につける。実には濃紫色の粘性の繊毛があり動物に付着して種子がばらまかれる。
 とにかくこの実の形が個性的で面白い。似た様な実にメナモミがある。メナモミは「エイリアンの宇宙船」と名付けたが、こちらは濃紫色の繊毛が目立ち、少し悪者っぽいので「悪者エイリアンの宇宙船」と名付けることにした。(本稿の「エイリアンの宇宙船 メナモミ」を参照のこと。)
 開花期の生の葉の絞り汁は切り傷、はれもの、うるしかぶれに効果があるそうだ(薬草カラー図鑑参照)。


大天場山の薄暗い山の中で見つけたノブキ。少し先の尖った腎形の葉でフキに似ている。中央から茎が立ち上がり、白い花が咲いている。(釜石市大天場山、2013年9月13日)



葉柄には狭い翼がある。(盛岡市太田、2013年9月14日)



頭花をズームアップ。やや不鮮明だが、中央の球形なのが両性花でまだ咲いていない。脇の方の雌性花は光沢のある花弁を開いている。(釜石市大天場山、2013年9月13日)



ノブキの果実。左側はまだ中心に両性花が着いている。右側は両性花が脱落した。どうです面白い形でしょう?メナモミに対抗して悪者エイリアンの宇宙船と名付けた。(盛岡市太田、2013年9月14日)

猛毒のトリカブトと葉っぱがそっくりなので気をつけよう ニリンソウ

2014-05-21 06:34:35 | 日記
キンポウゲ科 Ranunculaceaeイチリンソウ属 Anemoneニリンソウ A. flaccida
学名Anemone flaccida F. Schmidt.
和名ニリンソウ(二輪草)
英名wind flower

 スプリングエフェメラル(春の妖精)の1つ。木の葉が芽吹く前に芽を出して花を咲かせ、多くの木の葉が茂る頃には長い眠りにつく。岩手県内ではあちこちで良く見られる植物である。かなり大きな株を作っている場合が多い。深く切れ込みのある葉が3枚輪生し、その中心から花茎を伸ばし2輪の花を咲かせる。しかし、名前はニリンソウだが1輪や3輪つける場合も多い。なお、花は単花被花(たんかひか)に属し、白い花弁に見えるものは萼であり、花弁は無い。
 山菜として食べることも出来るらしいが、そっくりな葉を持つ植物にあの猛毒のトリカブトがあるので要注意だ。朕(ちん)もニリンソウの直ぐ隣にトリカブトが生えているのを目撃した。葉の形はそっくりだが、トリカブトの方がかなり大きい。しかし、単独で生えていてしかも花が咲いていない段階では見分けるのはかなり難しいと思われる。くれぐれも注意して欲しい。
 中国では、ニリンソウ(二輪草)を、林蔭銀蓮花(りんいんぎんれんか)と呼び、黒褐色の根茎を乾燥したものを、生薬名で地鳥(じう)と呼び、リウマチの薬として用いるとのことである(イー薬草ドットコム(参照)。


鉛温泉近くの道路脇で見つけた。(花巻市鉛、2013年5月11日)



花をズームアップ。単花被花なために、花弁に見えるものは萼であり、花弁は無い。(盛岡市太田、2013年5月11日)



田瀬湖周辺の森で見つけた。(花巻市東和町、2013年5月13日)



羽山の里で見つけた。まだ咲き始めだ。(北上市和賀町岩沢、2014年4月26日)



太田の森で見つけた。直ぐ上に少しニリンソウよりも大振りでそっくりな葉っぱが見える。これがトリカブトだ。くれぐれも間違わないように気をつけよう(盛岡市太田、2014年5月6日)

4つ目のナマズがウジャウジャと ナギナタコウジュ

2014-05-19 06:56:50 | 日記
シソ科(Lamiaceae); ナギナタコウジュ属(Elsholtzia); ナギナタコウジュ(E. ciliata)
学名Elsholtzia ciliata (Thunb.) Hyl.
和名ナギナタコウジュ(薙刀香薷)

 長い花穂をつけ、その一方にだけ花をつける姿が長刀に似ているということでついた名前らしい。特に珍しい花ではなく、9月になると河原や道ばたなどあちこちで見つけることができた。花穂の形が特徴的なので見分けるのも容易だ。
 全体に毛むくじゃらで、茎や葉柄には細かい毛がたくさん生えている。花の色は薄紫色で、縁にはかなり長いヒゲのような毛がモジャモジャ生えている。正面から見ると4つの葯が目玉の様に覗いていて、ナマズのような4つ目の魚が大きな口を開けているように見える。花はきれいに並んだ苞の中から出ている、苞のふちに短毛があるが、背面だけは無毛だ。
 全体に香りが強くハッカとシソを混ぜたような臭いとかシソの腐ったような臭いとか表現されているが、残念なことにあまり臭いが強かったという印象がない。今年はしっかり確かめてみようと思う。
 花が咲いている時期に茎葉を採取し乾燥させたものを香薷(こうじゅ)といい生薬として用いられ、解熱、発汗、利尿薬として風邪、全身浮腫、腹痛、吐しゃに効果があるとのことだ(イー薬草ドットコム参照)。


道路脇の土手にたくさん咲いていた。長い花穂の片方だけに花をつける姿が特徴的なので見分けるのは容易だ。(花巻市笹間、2013年9月28日)



花を正面から見ると、4つの葯が目玉のように突き出ていて、花弁の縁にはヒゲのような長い毛がモジャモジャ生えている。まるで4つ目のナマズが口を開けたように見える。(同上)



花穂を横から見たところ。花はきれいに並んだ苞の中から出ている。苞の縁に毛はあるが、背面にだけは毛が生えていない。(釜石市千鳥町付近の甲子河原、2013年10月18日)

縄文人が食べた大豆の原種 ツルマメ

2014-05-18 06:46:12 | 日記
マメ科(Fabaceae); ダイズ属(Glycine); ツルマメ G. soja
学名: Glycine soja Siebold & Zucc.
和名: ツルマメ

 茎や豆の鞘に毛が密生する。葉は3枚の小葉からなる。楕円形、長葉、丸葉等変異が多いというが、見つけたツルマメは先の尖った長葉だった。他の大型の植物と同様、果実を結ぶまである程度の生育期間が必要なために、頻繁に草刈りに入る場所ではほとんど見られなくなってきているという。
 名前のとおりつる性だが大豆の原種とされていて、大豆と交配可能であり、品種改良を目的に用いられることもあるという。しかし、つる性や鞘が割れる形質が残ったりして、耐病性や成分などの良い形質だけを導入するのはなかなか難しいらしい。しかし、縄文期には土器に使用された痕跡が見つけられており、実際に食べられていたようだ(ウィキペディア参照)。
 大豆の粒の大きさは色々あり、色も茶色を中心として黒や緑などがあるが、今回見つけたツルマメは長さが5mm、幅3mmほどであり、色は黒だった。ツルマメの色には変異があるのだろうか、また、超小粒大豆なので枝豆や味噌醤油などには向かないが、小粒大豆が好まれる納豆などに使用したらどんな味がするのか興味深い。


9月3日荒れ地で見つけたツルマメ、他の草に混じってたくさん生えていた。葉は先の尖った長葉だった。この時期は花が咲いているが、この時期に草刈りが入ると種子を実らせることが出来ないため、近年はあまり見られなくなってきているという。(花巻市南城、2013年9月3日)



ツルマメの花。花は紫色の2枚の花弁と、それより小さい2枚白っぽい花弁からなる蝶形花。とても小さく5mmほど。(同上)



9月25日に同じ場所に行ってみると、実が成っていた。大豆と同様鞘は毛むくじゃらだ。(同上、2013年9月25日)



10月19日に行ってみると鞘はすっかり茶色に完熟し、自然に弾けているものもあった。(同上、2013年10月19日)



採取したツルマメの種子。とても小さい。サイズはごらんのとおり長さ5mm、幅3mmほどだった。