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イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

瀬戸内海周辺から山形県に引っ越してきた セトウチホトトギス

2014-06-03 07:38:06 | 日記
ユリ科(Liliaceae); ホトトギス属(Tricyrtis); セトウチホトトギス T. setouchiensis
学名: Tricyrtis setouchiensis
和名: セトウチホトトギス(瀬戸内杜鵑草)

 山形市の沼の辺周辺を散歩していたとき、道端にホトトギスが咲いているのを見かけた。最初は花弁が水平に開いているのでヤマジノホトトギスだろうと思って写真に撮って帰ってきたが、後で写真を良く見てみると、花柱に派手な模様が見える。また、雄しべにも模様があり、花被片の根本に黄色の斑紋がある。これらはセトウチホトトギスの特徴だ。しかし、セトウチホトトギスはその名のとおり瀬戸内海周辺にしか見られないはずなのに、どうして山形に生えていたんだろう。ひょっとして瀬戸内海周辺が開発されて住みにくくなったので、引っ越してきたのかも知れない。
 現在では瀬戸内海周辺地域でも徐々に少なくなり、徳島県では絶滅危惧Ⅰ類に指定されている。


沼の辺周辺の道端で見つけた。(山形県山形市沼の辺周辺の遊歩道、2013年10月15日)




花をズームアップ。花被片は水平に開く。花柱に赤紫色の派手な斑紋、花柱の表面や雄しべにも赤紫の斑紋がある。花被片には紫色の斑紋があり、花被片の根本に黄色い斑紋がある。これらはセトウチホトトギスの特徴である。(同上)


小さな天狗の顔? コテングクワガタ

2014-06-02 08:37:23 | 日記
オオバコ科(Plantaginaceae); クワガタソウ属(Veronica); コテングクワガタ(V.serpyllifolia L.)
学名: Veronica serpyllifolia L. subsp. serpyllifolia
和名: コテングクワガタ(小天狗胡鍬形)

 最初に見つけたときは葉が厚ぼったくて多肉に見えたのでベンケイソウの仲間かと思った。良く見るとオオイヌノフグリに良く似た青い花が咲いている。しかし、多肉で枝分かれせずに立ち上がっているのでオオイヌノフグリではない。小さい花が葉の中に埋もれるようにして咲くタチイヌノフグリでもない。いずれにせよ花の形からクワガタソウの仲間であることは間違いない。手持ちの図鑑で一番近いと思われたのはテングクワガタだったが、なんだか少し違う。やむを得ず、ネットを検索してみて、やっとコテングクワガタだと分かった。
 花があまり咲かない時期は丈も短く葉が厚ぼったいが、少し日数を経てくると丈が伸びてタチイヌノフグリに似た感じになる。どちらかというと湿った場所に多いように感ずるが、公園の芝生の中にも混じって生えていた。
 テングクワガタとも似ているが、花序に繊毛がないことなどにより区別される。
 第二次世界大戦前に北海道に移入され日本中に広がった帰化植物だという。
 濃い青緑色のコテングクワガタがまるで植えられたように群生する様子は涼しげな感じで、鑑賞価値もある植物だと思う。
 名前の由来について調べてみた。コテングとはテングクワガタより小振りだからとのこと。テングとは突き出た長い雄しべを天狗の鼻にたとえたとのこと。最後のクワガタとは実についた萼の形が兜(かぶと)の前の飾りで、Vの字形になったもの(前立物といいその形から鍬形(くわがた)という)に似ているからなそうだ。さらに、兜の前立物を鍬形というのも納得が行かないが、それは現在の鍬ではなく古代の鍬の形に由来するのだそうだ。古代の鍬は木製であり、先端にU字形の鉄製の金具をつけたが、この形を鍬形というのだそうだ。ここまで調べてやっと納得した。天狗の鼻というのはちょっと無理があるような気がするが、鍬形というのは実の写真に写った萼の形を見て少し納得した。


道路脇から田に降りる道に群生しているコテングクワガタを見つけた。青緑色で肉厚な印象。(花巻市笹間、2013年5月5日)


肉厚なので、ベンケイソウの仲間かと思った。(同上)


花を少しアップ。(同上)


花をズームアップ。どうです?天狗に見えますか?(同上)


半月ほど経つとこんな感じになる。青緑色で印象的。(同上、2013年5月19日)


近寄ってみるとこんな感じ。花もかなり咲いていた。(同上)


森の脇の草原で見つけた。他の草に混じるようにして生えていた。(盛岡市太田、2013年5月25日)


少しアップ(同上)


花をズームアップ。笹間で見たものよりも上の花弁の先がやや尖った印象。(同上)


公園の芝生の中に生えていた。(花巻市日居城野、2013年5月27日)



花をズームアップ。(同上)



実をズームアップ。実の下についた萼が何となく兜の鍬形に似ていなくもない。(同上)

ヒョウ柄なのにホトトギス ヤマジノホトトギス

2014-06-01 05:34:30 | 日記
ユリ科(Liliaceae); ホトトギス属(Tricyrtis); ヤマジノホトトギス(T. affinis)
学名: Tricyrtis affinis
和名: ヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)


 釜石の神社の参道脇でヤマジノホトトギスを見つけた。木の茂る薄暗い草むらの中に紫色の斑紋のある白い花が所々に顔を出していた。
 葉は互生し先端の尖った卵円形で基部は茎を抱く。花は6つの花被片があり、外皮片の3つはやや幅が広く、内皮片の3つは幅が狭い。内皮片は反り返らずに水平に開く。外皮片の表面白地に紫色の斑点がある。雌しべは中央にあり、柱頭は3つに分かれ、更に先の方で2つに分かれる。柱頭の表面には紫色の斑紋がある。雄しべは6本あるが、雌しべの花柱に密着して立ち上がり、柱頭部で6つに分かれる。そのうち3本は3つに分かれた柱頭の下に、他の3本はそれらの中間に開く。雄しべに紫色の斑紋は無く、花柱部分にも斑紋は無いのが特徴である。
 ホトトギス、ヤマホトトギス、セトウチホトトギスとはこれら花被片の形や紫色の斑紋の付き方で区別できる。
 ホトトギス属は東アジア(日本、台湾、朝鮮半島)で19種が確認されている。そのうち日本では13種が確認されており、うち10種は日本固有種であり、日本を中心に分布していることから、日本が原産であると推定されている(ウィキペディア参照)。
 ホトトギスという名前の由来は鳥のホトトギスの胸にある斑点から連想したものだというが、ホトトギス自体がポピュラーでは無いのでどんな斑紋がなのかイメージが湧かない。試しにホトトギスの写真を見てみたら、胸に縞々模様がある。しかし、植物の方のホトトギスの模様はどちらかというと点々の斑紋なのでむしろヒョウ柄といった方がよりぴんと来る。


薄暗い神社の参道脇で見つけた。(釜石市八雲町大天場山、2013年8月15日)



同上。



花巻の広域公園の遊歩道脇にも咲いていた。(花巻市金矢広域公園、2013年8月25日)



花をズームアップ。花柱と雄しべには斑紋は無い。雌しべは柱頭で3つに分かれ、更に先の方で2つに分かれていて、紫色の斑紋がある。花被片は6枚で斑紋がある。外側の3枚の花被片はやや幅が広い。


薄暗い藪の中でも元気に育つ ヤブラン

2014-05-31 06:18:36 | 日記
クサスギカズラ科(Asparagaceae); スズラン亜科(Nolinoideae); ヤブラン属(Liriope); ヤブラン(L. muscari)
学名: Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey
和名: ヤブラン(藪蘭)
英名: liriope, border grass, lily turf

 釜石で散歩しているとき、線路脇の土手で草むらから紫色の花穂が出ているのを見つけた。これがヤブランだった。ランという名だがラン科ではなくクサスギカズラ科に属する植物である。
 名前のとおり樹木の下などの薄暗いところでも生育できる常緑性の植物であり、強健なため古くから庭園の下草などに用いられてきたという。園芸品種には斑入りのものもあるそうだ。
 初冬に根の肥大部分だけを掘り取り乾燥させたものが大葉麦門冬(だいようばくもんどう)といわれる生薬であり、滋養、強壮、催乳、せき止め等に有効であるという。


線路脇の土手の草むらに紫色のヤブランの花穂が出ているのを見つけた。(釜石市千鳥町、2013年8月14日)



近くの神社の参道脇でも見つけた。(釜石市八雲町、2013年8月15日)



植えたわけでもないのに釜石の実家の庭にも生えていた。鳥が運んできたのだろうか。(釜石市中妻町、2013年8月28日)



花をズームアップ。花被片は6枚あり、内側の3枚がやや大きい。雄しべも6本ある。(同上)


鮮やかな黄色い花を咲かせる ミヤコグサ

2014-05-30 05:54:07 | 日記
マメ科(Fabaceae); マメ亜科(Faboideae); ミヤコグサ属(Lotus); ミヤコグサ(L. japonicus)
学名: Lotus japonicus L.
和名: ミヤコグサ(都草)、エボシグサ(烏帽子草)

 史前帰化植物で、麦などと一緒に日本に入ってきたものだという。名前の由来は京都や奈良など都市近郊に多かったことに由来するといわれる。
この植物も出合う頻度はあまり高くはなかった。セイヨウミヤコグサと良く似ているが、セイヨウミヤコグサは1つの花序に7個までつくのに対して、ミヤコグサは1~3しかつかない。また、セイヨウミヤコグサには葉や茎に毛があるのが特徴。
 葉は3出複葉のように見えるが、5枚の小葉をもつ奇数羽状複葉なのだという。花は鮮やかな黄色で豆科特有の蝶形花で約1~1.5cm、果実はインゲンに似た細長い円柱形で、2~3.5cmである。熟すと果皮がねじれて2つに割れて種子をはじき飛ばす。花が咲く期間が長いのも特徴のようである。
 見かける頻度が高くなかったように、それほど繁殖力が強くなく、田畑の雑草としての問題はほとんど無いようだ。
 花の構造が少し変わっていて、旗弁と2枚の翼弁があるが、2枚の竜骨弁は合着して筒状になりそこに花粉がたまる構造になっているのだという。その先端には穴が開いていて。虫が止まるとそこから花粉があふれ出て虫に付着する。しかし、それだと自家受粉してしまいそうなものだが、ミヤコグサは雄しべ先熟であり、この時期の雌しべには受精能力が無く、竜骨弁の先端にたまった花粉が虫に付着して運ばれた後に雌しべが伸びてくる構造になっているのだという。しかし、とはいっても他家受粉しないまま雌しべが成熟するとやはり自家受粉してしまうのだろう。



6月にどぜう庵で見つけた。(花巻市松どぜう庵、2013年6月7日)



花と実をズームアップ。花は鮮やかな黄色で豆科特有の蝶形花。しかし花の構造は独特で、旗弁が合着して筒状になり、そこに花粉がたまる構造。(同上、2013年6月9日)



8月に近所のサイクリングロードでも見つけた。(花巻市桜台、2013年8月17日)



同じく8月どぜう庵でもまだ花が咲いていた。花期が長いのも特徴の1つ。(花巻市松どぜう庵、2013年8月19日)