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『蝋筆小新』(ラービー・シャオシンと発音)とは『クレヨンしんちゃん』の台湾でのタイトル。作者の臼井儀人さんの失踪は台湾でも大きな話題となっていたが、死亡が確認された20日夜にはインターネットでニュースとして報じられた。(上の写真は最近出版された『蝋筆小新』単行本49巻)
「蝋筆=クレヨン」と「小新=しんちゃん」という全くの直訳で作られたタイトル『蝋筆小新』を台湾で知らない人は皆無と言ってもいいだろう。台湾で主に日本のコミックを中国語に翻訳して出版している東立出版社が『蝋筆小新』を台湾に登場させて18年、これまでにオーソドックスな単行本だけで49巻、累計では700万冊を売った。アニメももちろん放映され、すぐに裸になる「小新」に眉をひそめる保護者もいたようだが、それはあくまで少数。老若男女に愛され、子供たちは日本からやって来た「小新」を身近な友達のように感じていた。
(『蝋筆小新』の塗り絵)
台湾で「小新」は大変な人気者だったが、臼井さんが台湾を訪れたのは一度きり。東立出版社が1995年にサイン会に招いたのだ。東立出版社の社長によると、偉ぶらない臼井さんは台湾の一般家庭を知りたいと言って社長宅に滞在、台湾の人の生活方式や家具を観察するなど、題材とアイデアに貪欲なところを見せたという。台湾の漫画ファンは訃報を知ると、インターネット上で「巨星落つ」と形容、国立台湾大学の掲示板サイトでも、「小新と共に育った」とする若者たちが臼井さんに感謝する書き込みが相次いだ。アニメの主題歌を放送しながら、ロウソクを「小新」の顔の形に並べて臼井さんを追悼するイベントを発起する動きも。ある女性は、「小学五年生のときから今まで十数年、しんちゃんは私と一緒にいた。これからは悲しくても、しんちゃんがいてくれないと思うととてもつらい」と話した。
(某コンビニエンスストアのキャンペーンポスター。「小新学園6力養成班」、しんちゃん学園・六大パワー養成クラスといった意味)
某コンビニエンスストアのキャンペーンもショックを一層大きくした原因か。「F」で始まる大手コンビニエンスストアではちょうど、「蝋筆小新大型クリップキャンペーン」を実施中(10月19日まで)。台湾元40元消費するごとにシールを1枚くれ、20枚たまると、しんちゃんがデザインされた大型のクリップに交換できるというもの。キャンペーン開始から一週間で6000個が交換されるなど、根強い人気を見せ付けていたところだった。同コンビニエンスストアではさらに、22日からはしんちゃんがデザインされた「2010年カレンダーマグネット」のキャンペーンも始める。月ごとに12種類あり、コレクター魂を刺激する企画だが、臼井さんの急死で特別な意味合いが加わってしまった。台湾では、主に体で表現するチープでナンセンスなギャグやコント、モノマネ、パロディを「KUSO」と言ったりする。「小新」も、「KUSO」文化の始祖の一人。台湾のサブカルチャーに大きな影響を与えた日本のキャラクターが姿を消し、台湾ではみなが、「一路好走!(安らかな旅を・・・)」と悲しんでいるのである。(U)
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