皆さまは、「宋江陣」ってご存知でしょうか?
武術とダンスを混ぜ合わせたような、古代中国 から伝わる伝統武芸で、明代に記された小説『水滸伝』にある戦いの場面を再現した事に始まるものだそうです。
最低36人から構成され、様々な武器などを手に、勇ましい音楽に合わせてパワフルに表現される戦の様子は、息を呑むようなダイナミックさにあふれています。
叫び声を上げ士気を高めながら舞台狭しと駆け巡る!
台湾南部の高雄県にある「内門郷」という山あいの小さな村は、大昔の中国大陸で生まれたこの宋江陣が盛んな事で知られています。
宋江陣は、発祥の地である中国大陸では原型が大きく失われてしまっていますが、多くの中華文化が保存されてきた台湾の内門郷では、かなり基本に近い形での宋江陣が受け継がれています。
なぜ内門郷だけがこれほど有名になったのかはよく分かりませんが、関係者によると、山に囲まれた内門は長らく陸の孤島状態のような辺鄙な地域だったため、人の出入りも少なく、大昔の伝統や風習が廃れる事なく残ってきたのだという事でした。
内門では、学校でも宋江陣が教えられ、また少なくない各家庭で、親から子へと、代々受け継がれているんだそうです。
写真は、台北市内のほか、内門郷にもキャンパスを構える私立実践大学の宋江陣クラブの演技。
各大学の宋江陣クラブの本家本元として知られています。
演技はおよそ15分から20分ほど続く
ほとんどずっと走ったり飛んだりしているのでかなりハード
見せ場は一騎打ちの再現シーンやアクロバットシーン
細かな表情にも気が抜けない
勇ましい武芸ですが、もちろん女性だって参加できます
この表情、さすが内門郷の学生!
高雄県内門郷では2005年から毎年、全台湾の大学・専門学校の宋江陣クラブによる、学校別対抗試合を開催しています。
台湾でもあまり見かけなくなった宋江陣、クラブの数は決して多くはありませんが、報道などを通じて次第に人気が高まり、参加校の数も増えてきています。
伝統芸能の関係者、大学教授などが各学校の演技を厳しく審査
内門郷では以前、選りすぐりのメンバーを率いて、中国大陸で行われた宋江陣のイベントに参加した事があるそうですが、発祥の地であるはずの中国大陸のチームを軒並み圧倒するすばらしい演技を披露し、大喝采を浴びたそうです。
中国大陸で始まり、台湾の内門郷でひっそりと守られてきた宋江陣は今、数百年もの歴史を経て再び、「古くて新しい、カッコいい伝統武芸」として人々の注目を集め始めています。
日本ではなかなか目にする事のできない宋江陣ですが、いずれこの波が広がり、日本公演などが行われるようになって欲しいなと思います。(華)
5/5の「ようこそT.room」では、4/17に高雄県内門郷で行われた学校別宋江陣対校試合の模様を、臨場感たっぷりにお届けしています。
血の沸き立つような勇ましい宋江陣の音楽をぜひ聴いてみてください!
↓5/5の日付からどうぞ!
客演としてブータンやヤクートなども招待されているので宋江陣も公演できるでしょう。