台湾には日本語がうまい人たちがたくさんいます。
日本統治時代に日本語で教育を受けたいわゆる「日本語世代」の方は、もちろん日本人と変わらない、いやそれ以上に正しい日本語を話されますが、若い人たちも負けてはいません。
大学、または技術学院と呼ばれる専門学校で日本語を学んでいる学生は、もちろん人にもよりますが、驚くほど日本語が上手な人が多いです。
そんな日本語を学ぶ台湾の学生たちによる日本語ディベート大会が、先日5月8日と9日の二日間にわたり、台北の東呉大学で開催されました。
今回は参加者が今までで最も多く、18校20チーム、195人が参加したそうです。
(上の写真は、政策弁題部門の上位4校の皆さん)
ディベートというのは、最近は日本の教育でも取り入れているところがあるようですが、あるトピックに対して、肯定側と否定側に分かれ、弁論を繰り広げるというものです。
弁論というと、自分の考えを述べるというイメージがありますが、ディベートの場合は肯定、否定のどちらになるかは試合の直前までわからないので、どちらになってもその立場から弁論しなければなりません。
そのため、必ずしも自分の持論と一致するわけではなく、肯定側になった場合と否定側になった場合では、同じ人が真逆のことを言う、ということになるわけです。
今回の大会では、一般弁題部門が「高学歴って、必要?」、政策弁題部門が「台湾は代理出産を合法化すべきである」という弁題で行われました。
ディベートは、それぞれのチームが立論を述べた後、相手側に対して反駁する、という順序で行われます。
立論は事前に100%準備可能ですが、反駁は相手の出方次第でその場で対応しなければならず、持ち時間の中でチームで相談して内容を決めていきます。
反駁に使うための資料もあらかじめ想定して揃えておく必要があったり、短い時間で論理を組み立てる必要があるので、語学力だけでなく、さまざまな能力が試されるのです。
ディベートの構成としては、一般弁題部門よりも政策弁題部門の方がより本格的で、肯定側立論(6分)→質疑応答(3分)→否定側立論(6分)→質疑応答(3分)→否定側第一反駁(4分)→肯定側第一反駁(4分)→否定側第二反駁(4分)→肯定側第二反駁(4分) という構成でした。
質疑応答というのは、終わったばかりの立論について逆側からの質問に答えるもので、いきなり聞かれた質問にその場で即答しなければならないので大変です。
試合が終わると、両チームは握手をしてお互いの健闘を称え合います。
審査員は、それぞれの弁論の内容を細かくチェックしており、合計の点数で勝ち負けが決定します。
今回の大会では、政策弁題部門では優勝が国立台中技術学院、準優勝が銘伝大学でした。
また、一般弁題部門では、優勝が中華大学、準優勝を国立屏東商業技術学院のチームが勝ち取りました。
(こちらの写真は、一般弁題部門上位4校の皆さん)
優勝したチームからは、最も優れた弁論をした「ベスト・ディベーター」が選ばれます。
政策弁題部門は、国立台中技術学院の黄姿媛さんが選ばれました。
黄さんは日本語学習歴6年だそうです。
そして、一般弁題部門は、中華大学の鍾孟珊さんがベスト・ディベーターに。
鍾さんは大学3年生で、日本語学習歴は3年足らずです。
日本人が日本語でやっても難しいディベートを、日本語を勉強中の台湾の学生さんが見事に展開しているのは、まさに驚異的でした。
もし自分が英語や中国語でやったとしたら、同じレベルではとてもできない、と心から敬服しました。
ディベートはとても難しい分、資料収集能力や論理的思考、堂々と話す能力など、いろんなことが身について挑戦し甲斐があるのだそうです。
彼らがディベートで磨いた日本語力を生かして将来活躍してくれるだろうことを思うと、 とても心強く感じました。(尾)
※第6回全国大学生日本語ディベート大会のもようは、2010年5月23日(日)の番組「ミュージアム台湾(台湾博物館)」の後半30分でご紹介いたします。
(番組開始から30分後に始まります)
番組を聴くには、5月23日深夜以降に上のバナーをクリック→5月23日をクリック→「ミュージアム台湾(台湾博物館)」横のアイコンをクリックしてください。
5月23日(日)「ミュージアム台湾」の後半30分で放送いたします。
オンデマンド放送の更新は、その日の深夜となります。