ひとせのとびとび日記

仁瀬由深の個人ページです。

演者の道 ステップ9

2012年11月02日 22時16分37秒 | Weblog
こんばんは。家族サービスと社会活動的母業に勤しんでおりました。
気合を入れて臨んだディズニーハロウィンは意外と仮装が少なく、ちょっぴり期待はずれ・・・みんな仮装してるぐらいに思ってました。(ていうか、仮装がマナー?くらいに・・・)
そんな中、女装プリンセスだけはちょっと、、む~ん(><;)オエ。
ミッキーのチュウをもらって口直し。

さて!気を取り直して、演者の道その9、「カラーボール」です!

さあ、この「カラーボール」、ひとせのレッスンや演出を受けたことのある俳優さんは耳にタコができるくらい本番まで何度も言われます。
基本から応用まで使い続けるカラーボール、ぜひ体得してもらいたいのです。
そして、指導者はカラーボールを深く理解し、ぜひ活用してください。
役の研究段階でこのカラーボールを演者に掴ませることができれば、理屈っぽい演者の口を封じ、意思疎通の難しい演者と思う以上の共通イメージを持つことが出来ます。

今日は、右脳編です。

実験、体感から始めましょう。
ウォーキングからエネルギーボールを作るところまでは今まで通りです。ついでにエネルギー遊びをいくつかやりましょう。一つ新しい遊びも紹介しておきます。

自分の心の中に決めたメンバーを、指導者が手をたたくのをきっかけに、「立ち止まって、見る。」指導者が解除の指示を出すまで、対象を変えず、見続けます。どんどん視線を送り続けます。相手が、自分の視線で振り向くくらい、強烈な視線を送りましょう。
また、自分は今どの辺りから、また、何人から見られているのか、「見られる視線」を感じながら視線を送り続けましょう。
「見る」という行動は「自分が選んで起こす行動」です。
実際の台本のストーリー上でも、全ての登場人物はある「動機」にしたがって登場し、行動します。一見のらくらして何の目的も無いように描かれていても、必ず理由があってそこにやってきて、物語に絡んでいるはずです。また、台本はそう描かれていなければいけません。
その役の「目的」です。おっと。思いもかけず、スタニスラフスキー9つの質問のうちの一つが出てきてしまいました。
「私は何を欲しているか?」
それを明確に見つけ出すのは左脳のレッスンで行います。
この「見る」遊びは、自分が強烈な欲望(「見たい」という気持ち)を持って行動(見る)を起こした場合、自分の中でどんな変化が起きるのか、体はどう動きたくなるのか、気持ちはどうなるのか、また相手にどういう影響を与えるのか、単純な形で体現しながら疑似体験していくものです。

さあ、見て。見て。これ以上、見れないところまで見続ける。
指導者は演じ手たちのここまでの高まりを認めたら「見る」行動を解除し、ニュートラルウォーキングに戻します。
ニュートラルウォーキング→見る→ニュートラルウォーキング→見る・・・
これを何度か繰り返したら、今度は「見る(look)」が高まったところで、「ムーヴ」を入れてみましょう。ムーヴとは、実際に自分の中に起きた感情のままに動いてみることです。相手に対してどうしたくなるのか。
注意点は二つ、1.触ってはいけない、2.しゃべってはいけない。
さあ、演じ手はどう動くでしょうか。
面白いことに、ブレイクまでの時差はあれど、今までどの稽古場でもみんな同じような行動をとり始めます(^^)そして笑いが稽古場にあふれます。

さて、遊びが充分演じ手の柔軟性を引き出したら、「カラーボール」に入ります。
ルールは簡単です。エネルギーボールに色を入れるだけです。
最初は「赤」「青」「黄」と、違いを感じやすい原色がいいでしょう。
指導者の指示で、色を入れてみましょう。
このとき、エネルギーボールと一緒で、頭で考えず、「感じる」ことが大事です。
ある、と感じるエネルギーボールを「赤い」と感じたとき、自分の中にどんな変化が起きるか。ムーヴメント。(指導者が演じ手に「ムーヴメント」と声かけするときは、「自分の中の変化を感じて」という意味だと統一しておきましょう)

指導者は、ニュートラルなエネルギーボールで歩いている演じ手に明らかな変化を見て取ることができるでしょう。
一つの色を終わらせるときは、一度ニュートラルに戻してから次の色を指示します。
慣れてきたら、色から色へ移ってみましょう。
演じ手は色が変わるたびに、エネルギーを消耗することに気付くでしょう。
誠実に指導者の指示に従い、ムーヴメントしているからです。

さて、このカラーボール、「見る(look)ゲーム」と一緒で、そのうち、自分の好きな色を自分で決めて歩かせ、お互い演じ手同士で色当てゲームができるようになります。
そこまで稽古が進めば、演じ手は「俳優がその時何を感じているかが演技の上で一番大事なものである」ということを身を持って知ることになっていることでしょう。
それは仲間だから分かるのではないのです。
お客様は、全てを観て取るのです。

このカラーボールは前回までやってきた性格部分と合致させて使います。
前回、「内外」をどう捉えるかというところまでは説明していませんでした。

さあ、ここから左脳作業です。

たとえば・・・
内→恥ずかしがりや
外→怒りんぼう
に見せている人の場合。

すご~く冷静にこの人はどういう人なのでしょう。
実際にはもっと他の内外が沢山出ています。
指導者は自分の考えや答えをすぐに与えずに、「これは何だろう?」「どういう人なんだろう?」とクエスチョンを投げ、俳優自身が答えを出すのを待ちましょう。

え~、クッキング番組のようにここは先にクエスチョンして、答えを出したとして、「ひねくれモノ」と答えが出たとしましょう。
ひねくれものを演じやすい色は何でしょう?このソースだけではまだ色は決められませんね。たとえば、他にも「クールに見せている」「切れ者」などあったとして。
この役を「青」と決めてやってみたらどうでしょう?

クールで頭の良いひねくれものを青いカラーボールを持って演じる。

クールで青いヤツが、恥ずかしい時ほど怒っているように見せる。

役にふくらみが出てきました。指導者もダメ出しをしやすくなります。
恥ずかしがって怒るとき、その怒り方も青と赤では違います。
ここまでウォーキングなどメソッド稽古をしてきて、ムーヴメントの練習をしていても
青い怒り方が出来ず、何度も同じダメだしをしなくてはいけない場合、
その俳優は「クセで演じている」か、「自分の先入観で演じている」かでしょう。
紋切り型で演じようとしているものは止めさせなければいけません。
紋きりは臆病な演じ手の専売特許です。
泳げる人の浮き輪は外しましょう。おぼれるかもとおびえているのは本人だけです。
また、泳げることを知って喜び感動するのも本人です。

さて。この「カラーボール」、掴むまでが大変です。また、展開もあります。
色は曖昧な中間色はのぞましくありません。
くっきりとした色がよいでしょう。
くっきりした色をつかめるまで役を読み深めましょう。書き出しながら。脱線はいけません。想像もいけません。本の上で書かれている情報だけで、考えましょう。
指導者も共に頭をひねって、つきつめていきましょう。
これは、読み合わせの段階でやる作業です。

さあ、がんばっていきましょう。
まだステップは始まったばかりです。

では、今日はここまで♪