ひとせのとびとび日記

仁瀬由深の個人ページです。

演者の道 ステップ8

2012年10月25日 17時04分21秒 | Weblog
ぎゃあ。ついに休んじまいましたな。

まあ、忙しすぎました。昨日は。(と言い訳)

それにしても、左手人差し指炎症(患って長い)、中指重度あかぎれ、右手親指スライサー負傷。
私の手は何かに狙われている。書くなってか?やめるもんか(笑)
と、一人戦いモード。

さて!役の書き出しはできましたでしょうか!?
もし、今とくに取り掛かる本が無い場合は、チェーホフやシェイクスピアでお試しください。完成度の高い本ほど、これからのメソッドの取り組みがびったりと当てはまります。
二ール・サイモンなんかもいいかもしれません。
あと、翻訳本の場合、書かれている国や州の文化・風習についてもある程度知っておく必要があります。
われわれは極東の島国に生活してますので・・・舞台になっている国に生活したことがある方はみんなより進んで稽古が始められますね!

では、書き出した情報を整理していきましょう。
まずは<性格>について。

性格にまつわるものを分類し、たて分けていきます。

ノート(横書きが前提です)を立て半分で境界し、左側を「内」右側を「外」とします。
「内」には、「本当の性格」
「外」には、その内側を、「その人物が外に向けてどう見せているか」
を書きます。
注意しなければいけないのは、「外」は「他人からどう見られているか」ではなく、「他人にどう見せているか」を書かなければいけません。
その役を主観で捉えるために、一般論や「どう見えるか」ということをこの段階で議論してはいけません。
たとえば、
内側「暗い」のを→外側「明るく」見せている。
これは分かりやすいし、実際に居る人が多いのではないでしょうか。
内側「怖がり」のを→「強気」に見せていたり。
反意語にならない場合もあります。
内側「寂しい」のを→「明るく」見せている。場合とか。

この分析をどう生かすかというと・・・

たとえば

内側「怖がり」のを→「強気」の場合。
怖いと感じている時ほど強気を装う。その役が怖がれば怖がるほど虚勢を張り、はははと笑ったり、妙に怒ったりする。

これが、お客様に見え見えでもいいのです。台本上、お客様を裏切るような描かれ方をしてなければ。最後の最後まで本当の性格が分からないように書いてある場合もあります。
それは効果上そうなっているので、台本の意図をしっかり読み取っていきましょう。

大事なことは左脳を使って読み込んでいる段階で、情報におぼれないことです。
どうすればおぼれないか。
よく陥りがちなのは、「役者のエゴ」でおぼれることです。
自分が好きな性格ではない、(お客様に)見せたい自分の姿と違う行動や性格だ、自分には到底理解できない価値観を持っている、という場合、無意識に台本の情報を曲げて解釈しようとします。

自分と違って当たり前なのです。理解できなくて当然です。他人を演じるのですから。
「役と(本当の)自分の距離を知れ」とよく著名な演出家が言います。
また、「おのれを知れ」とも。
自分の俳優としてのエゴ、人間としてのエゴを静かに見つめ、役が自分にとってどのくらいの位置にいるのか見極めましょう。
そうすれば、役になるのにどのくらい苦しむのか見積もりできますw

「(役を)セレクトできる俳優になれ」と、レベルの高いことを仰る演出家もいますが、駆け出しや売り込み中の俳優さんにはそんなこと恐れ多くてできませんよね。笑。

脱線しましたが、情報をまず「性格」の「内」「外」に分けてください。
内、外がことごとく一緒のキャラクターもいると思います。
それはその人物が「単純」な性格として描かれているのでしょう。

この「内」「外」ができたら、次のステップに進みます。
今日はここまで♪





演者の道 ステップ7

2012年10月23日 07時52分57秒 | Weblog
おはようございます。

いい感じの気温、行楽日和な天気ですね!朝の瞬間的な雨はなんだったんでしょう。

さて~、ムーヴメントは一回置いておいて!
今日は左脳の分野に入ります。

ウォーキングの種はまた増やします。
昨日までの「エネルギーボールで自在に遊ぶ」が本当に出来るようになるまで、少し時間がかかるかもしれません。
「遊べてます!」と言って、見た目に何の変化も無く歩いてるだけの人はできてませんよ~。出来たときは、演者しか使わない筋肉を駆使してあらゆる動きになりながら歩いてる異様な集団になってるはずです。

では。再び台本に向かいましょう。
有名な「スタニスラフスキーの9つの質問」から、一番取り掛かりやすいものからやります。

「私は誰?」

です。

ノートを一冊用意しましょう。それはあなただけのノートで、他の演者に見せる必要はありません。指導者はこのノートを時折見せてもらいましょう。
1、2ページしか使わない怠け者が居たら遠慮なく叱ってやりましょう。

さて、台本を開き、自分の役の情報を、

1.なるべく短い言葉で
2.なるべくたくさん

書き出しましょう。

注意点は、「台本上書かれていること」でなくてはいけません。
自分の台詞だけでなく、ト書きや相手や周りの台詞から拾えることもあります。
何度も出てくる行動パターンがあれば、それが何なのか突き詰めて単語にします。
たとえば「泣く」というト書きがたくさんあれば、それは「泣き虫」なのかもしれません。でも、そこに「わめく」「怒鳴る」と他の情緒もたくさんあれば、
「感情的」な人物だったり、「不安定」な人物だったりします。
まだ分からないときは「よく泣く」「よく怒る」に留めて他の書き出しをしていって構いません。
肝心なのは情報を淡々と書き出し、その人物像を眺めることです。
パズルのピースを集める段階で、何の絵か決め付けてはいけません。
決め付けた段階でそのパズルの完成はほど遠くなり、へたをすると完成しません。
完成しないパズルを「これは本当はミルク瓶の絵なんです」とばらばらのままお客様に見せることになりかねません。

この書き出した情報は今後色んな情報整理に使います。
後から後から発見したことを付け足していって良いです。
また、演出家からのオーダーがあったら、ここに書き足しておきましょう。カッコや、しるしをつけて、台本上の情報と分けてもいいでしょう。
もしかしたら自分がまだ読み取れて居ない部分かもしれませんし、台本上無くても「こう見せたい」という演出家の思いかもしれません。

まずは、「単語で」「役の情報を」「できるだけたくさん」書き出しましょう。

これをスタニスラフスキーの別の質問に分けたり、役を深められるようするのは次のステップでやります。

ではでは。本日は終わります。

演者の道 ステップ6

2012年10月22日 21時40分49秒 | Weblog
こんばんは。スライサーした指がなかなか良くなりません。
ジョンソン&ジョンソンのジェルパットが手放せない(;_;)

さて、進めてまいりましょう~

「ムーヴメント」~ウォーキング3~

さて、上手にエネルギーボールを作りながら、全員で空間を埋めるように歩けるようになったら次のステップです。
指導者はあらゆる変化をオーダーしていきましょう。

最初は分かりやすく、「エネルギーボールが熱くなる」と「冷たくなる」。

「だんだんボールが熱くなってくるよ~、どんどん、歩けば歩くほど、熱くなってくる~」
と、どんどん温度を上げましょう。時間をかけてかまいません。
側杖をつくようにクエスチョンしましょう。

「さあ、自分にどんな変化が起きる?どんな気持ち?」と。

これ以上、熱くなれないという状況を感じたら、「さあ、今度はどんどんボールの温度が下がってくるよ~、下がってくるよ~」と声かけしていきます。
状況を見て、時間をかけてかまいません。

「自分、どうなる?どんな風になっていく?」と側杖もつけてあげましょう。

これを何度か繰り返すうち(また熱くなって、冷たくなって)、指導者は演者たちのあらゆる可能性や変化を目の当たりにすることができるでしょう。
また、演者もだんだんと集中することが楽しくなってくるはずです。新しく、自分の意識と違う次元で体に変化が起きているように感じることができるでしょう。
でも、それらは全て、演者自身の「なる」というイメージです。
役作りも同じです。殺人鬼なんてなったこともないものに「なる」というのは、
「そうなったら」とイメージを膨らませ、実際にその場に身を置く様に「なる」時、
本当にそう「なる」のですね。
殺人鬼というのは極端な例ですが、演者は自分の人生経験と違う役になることがほとんどだと思います。
どんな平凡な役であってもその役の像を追及し、「なる」ということは同じです。
エネルギーボールを作り、感じる力が役に近付く力に直結しています。

さて、指導者は演者への声かけに細心の注意を払う努力をしましょう。
演者が聞きやすいゆっくりとしたトーンで、歩いているペースに乗せる様に指示していきます。演者の呼吸に合わせるつもりで。

「熱い」「冷たい」のほかに、「重い」「軽い」、「はねる」「転がる」、など、色々試してみましょう。
また、体の一部に移動させたらどうなるか、遊びましょう。
腕、頭、お腹、おしり、、、ボールがそこに移動したら、自分の体がどうなるのか、感情に変化があるか、自分の中を「ムーヴメント」しましょう。
指導者が声かけするのでなく、「自分の中でどこにエネルギーボールを動かすか決めていいです。どこか、体の一箇所にボールを動かしますよ~、はいっ!」と号令でそれぞれ違う箇所に移動させるのも面白いと思います。

演者がどういう状態になるのか、実際に体験してみてください。

ボールは移動させたら元の位置に戻すことも忘れずに。

そして、変化ウォーキングしたら、必ず最後は「ニュートラルウォーキング」で終わってください。
エネルギーボールはやめても、そのまま「体の中に収めて、収めきって」終わりにしてもOKです。

たぶん、文面を読んでいるだけでは想像できないことが、たくさん起こります。
楽しんでくださいね。
あ!ウォーキング中、しゃべってはいけませんよ!
目的は「体の中、自分の中で起きるムーヴメントを感じる」ことです。
お忘れなく。

演者の道ステップ5

2012年10月21日 17時05分43秒 | Weblog
こんにちは!

今日の関東地方は暑かったです。汗ばみながら子どもたちとのんびり駄菓子の買出しに散歩に行きました。
帰宅後、親の敵のように柿の種を二時間ほどかけて完食した子どもたち。
辛くないのか・・・牛乳と柿の種ってそんなに相性がいいのか・・・
様々な疑問を感じつつ。
本日、ウォーキングの第二段に進んでまいります。

「ムーヴメント」~ウォーキング②~

さて、昨日、ニュートラルのウォーキングについて説明しました。
(何もせず、全員でただ空間を埋めながら歩く)
今後、何も持たず、ただプレーンに歩くというこの状態を「ニュートラルウォーキング」と呼びます。

さて。ウォーキングしながら「エネルギーボール」を作りましょう。
エネルギーボールについては他著でも紹介されていたものがありますが(すみません本の題名忘れました)、確かその本では歩きながら作るものではなかったように思います。

さて、エネルギーボールってなんぞや?という話ですが、単純に言えば、演者の「イメージ」です。

歩いている足の裏から大地のエネルギーを吸い上げ、歩くごとにそのエネルギーを体内にめぐらせ、胸のあたりにソフトボール大のボールを作る。
というものです。

「なんだ、イメージね。」と軽視したらダメです。スポーツ選手でもイメージトレーニングは重要です。
一流の選手ほど、確実に、美しいフォームを、完全な形でイメージできてこそ、そこに近付くことができると言います。
人間の「イメージ力」こそ、あらゆるものを実現化させる「念の力」であり、不可能を可能にするパワーの源ではないでしょうか。

さあ、ドラゴンボールも顔負けのエネルギーボールを生み出すことに集中しましょう。
本気で。
頭で考えてはいけません。胸のところに「有る。」と感じられるまで、集中し続けなければいけません。
そのエネルギーボールはどんな温度か。重さはあるか。自分の体と心にどんな影響を与えるのか。恥ずかしがらず、真剣にやらなければいけません。
指導者は、この段階で恥ずかしがったり、頭で考えようとする(イメージを体で感じることが出来ない)演者をすぐに見つけることができるでしょう。

オーディションでこれを取り入れれば、かなり簡単に仕事を一緒にしていける仲間を見つけることが出来ます。

・早く仕上げなければいけない舞台の場合=早くエネルギーボールを作れる人が望まし  い。
・時間がかかってもいい=恥ずかしがる人OK(感情開放を経ればできます。感情開放は また記述します)
・役の仕上がりよりも見た目が欲しい=頭で考える人OK

ここで特記しておきたいことは、100人居て、目的を理解してくれればどんな不器用な俳優さんでも、初心者でも、ガンコな人でも、100人全員いずれはエネルギーボールを作ることが出来るようになる、ということです。

さて、このエネルギーボール、なぜ必要なのでしょう。
メソッド演技において重要視されるのは「どう感じているか」です。「どう見せるか」ということは副産物です。
たとえば俳優さんでどう見せたら良いか分かっている天才肌の人がまれに居ます。
でもそういう方は心の成熟が付いていかず、「中身のない演技」と酷評され、落ち込むことが多いです。
中身が追いついていなくても「見せる」ことが出来るため、演出家からダメ出しを受けることなく本番を迎えてしまうのですね。
でもお客様はシビアです。演者が分かって、共感して演じているかどうか、すぐ見抜いてしまいます。

演技に嘘を混ぜない訓練をしなければいけません。それこそがメソッドの真髄です。
嘘をつかないというのは、時になにもしない(動かない、じっとしている)時間を産むことがあります。
メソッドを真に理解しない演者にとってこれは恐ろしい時間になります。
でも、本当にメソッドシステムを体得した演者にとっては、このまったく何もしない時間こそが、演技の魅せ所であることが分かるはずです。
その時、「私」は何を見て、何を感じているのか。
演出家はこれが出来る俳優と出会えれば、ずっと仕事が楽になるはずです。
照明をあてればいいだけなのですから。

で、この、「感じているだけ」の状態の時にエネルギーボールを持っているかどうかで、この演者の魅力に天地の差が生まれます。
自分が生み出すエネルギーボールは他の人に作ることのできない、強烈な個性を伴って、演者を助けます。

なので!無意識に、何も言われなくても、ウォーキングを始めたら即座にエネルギーボールを作れるようになるまで、訓練しましょう。

大事なのは、頭でイメージするのではなく、体の中にエネルギーがめぐり、つくったボールが「そこにある」と感じることです。

なかなか遅々として進まない「ウォーキング」の説明ですが、今日はここまでで。(^^)




演者の道 ステップ4

2012年10月20日 21時50分00秒 | Weblog
こんばんは~。今日は娘の学校行事に参加しており、更新が遅れました。
小学一年生の描く絵の素晴らしさにただただ胸を打たれ、外聞も無く涙しておりました。

さて、今までの流れを見ると、、、

ステップ1=左脳(計算・構築を司る)
ステップ2=右脳(感覚を司る)
ステップ3=左脳

と、トレーニングを進めてまいりました。

単純に、
左脳=机の上で作るもの
右脳=実際に動いて作るもの
と考えてもらえたら分かりやすいでしょうか。

「役者はバカじゃできない、バカじゃなくちゃできない」という有名な言葉がありますが、この右脳左脳のバランスで作られる芸術なので、こう言われているのだと思います。
ではでは、本日のステップです♪


「ムーヴメント」~ウォーキング①~

「呼吸」「リズム感」「間合い」「距離感」など、俳優にとって必要不可欠な技は全てこの「ムーヴメント」の副産物です。

直訳すると「動き」「流れ」というこの言葉。何の動きと流れかというと、演者の心の中、体の中で起こっていること全てです。

冒頭の、本日ひとせが一年生の絵に感動して涙したのはまさにこの「ムーヴメントした」と言えます。

自分の体がどういう動きをしているとき、うれしい気持ちになるのか、悲しい気持ちになるのか、また逆に様々な感情が起きているとき、自分はどういう行動をとりたくなるのか。
それをありとあらゆるパターンを通して知っていくことが必要です。

私はこれを「ウォーキング」という手法を取り入れて実践しています。
ウォーキングの基礎は元々俳優座の方から教わったものですが、それを更に進化させた形で利用することが出来ることを知ったのは、ボリビアのアクタートレーナーがやっていたとあるワークショップでした。

さて、、、具体的にその方法を記述していきます。

ウォーキングを行う環境は出来るだけ広い方が望ましく、指導者の力に合わせて人数を決めて良いですが、演者のためにはなるべく多い方が良いと思います。

演者は裸足が良いです。ジャージやTシャツなど、軽くて体を束縛せず、色んなものに引っかかる恐れのない、シンプルなものが良いです。髪の長い人は束ねて(きつく束ねてはいけません)腕時計、指輪、ネックレス、ピアスなど金属類は全て取り外して行うのが望ましいです。体や心の流れを感じる時に障害になるものはすべて取り払ってやってもらいたいです。
ニュートラル(一番自然体)の自分を認識するところから、ウォーキングはスタートします。
まず、レッスン場全体の空間を全員で埋められるように、歩きます。
ただ、歩くだけです。
人数が多かろうと少なかろうと、まんべんなく、全員で、空間を埋めるためには自分が次の瞬間、どこに歩いていけばいいのか考えながら歩きます。
その時、床の面積でどこが空いているかを確認してはいけません。
目は進行方向を向いたまま、自分と空間と回りの人たちの状況を把握していかなければなりません。私はこれを「アンテナを伸ばす」と言っています。

初めて行うメンバーの場合、空間を埋めるだけで10分以上かかるかもしれません。
指導者は焦らず、放っておかず、演者達の気持ちを先回りしてマイナス方向に行くのを食い止めなければいけません。
「飽きないで~」「まだ埋まってないよ~」「どこ見てんのかな~」「みんなで同じ方向行っちゃだめだよ~」「マグロの回遊にならないで~」などなど。
思うことをしゃべりたがる演者も居ます。
笑ったりするのはいいですが、おしゃべりはダメです。
言葉として何かを発すると、ウォーキング中に起きているあらゆる「ムーヴメント」を気付かず逃がしたり、分からなくなってしまったりするからです。

文章で打つと長いですね。。。付いて来れてますでしょうか?

指導者は演劇の稽古中、じっと黙って見つめているときも、アドバイス(ダメだし)をするときも、演者と心を合わせて居なければいけません。
演者はナーバスになる作業を繰り返しているため、非常に傷つきやすい状態の人が多いのです。心の離れた人から発せられる言葉は刃のように演者を傷つける場合があります。

このウォーキングは次回から段階を追って行きますが、指導者が演者と心と呼吸を合わせていくのに有効な作業の一つになります。
演者たちは自分のムーヴメントの流れを知っていき、指導者は演者たちのムーヴメントの方向性を知っていくのです。

今日は「ニュートラルに歩く」だけの項目になりましたが、明日からおかずを増やしていきたいと思います。
しばらく右脳ステップが続きますが、なんとか分かりやすく伝えていきたいと思います。


ではでは・・・おやすみなさい。

演者の道 ステップ3

2012年10月19日 22時40分36秒 | Weblog
なんか、もう夜も更新してしまうか。

今回は、俳優が家でやってきてほしいことについて。
つまり、養成所で学ぶことに近い部分に言及しておきたいと思います。

現場に出てよく思うのが、「活舌悪い人多いなあ~~」ということ。
逆に、「活舌良すぎるなあ~~」というのも多いんです。

先に説明しておくと、活舌良すぎると感じさせる人は、まだ鍛錬が足りないとも言えます。
きれいにしゃべってる感が出てしまう、声優さんとか、ナレーターみたいに聞こえてしまう、自然さがない、ということなので・・・

活舌悪い人の鬼門

・サ行
・タ行
・カ行
・ハ行

いずれも腹筋を必要とし、無声化のある程度必要なものです。
自分の口と仲良くなってください。
舌は筋肉なので、鍛えればよくなります。
もう亡くなられたアメリカのアーティストで「スキャットマン」という人が居ましたが、
彼は秀逸なスキャットで一世風靡しましたが、元は吃音を持っていたと言います。
努力しましょう。
努力は無資産で得られる財産です。

どんな養成所でも教えてくれる「外郎売」ですが、
「そらそりゃそらりゃ まわってきたわ まわってくるわ」からでいいです。
声を張る必要もありません。
手鏡を持って、口の動きを見ながらやってください。
速度は毎回自分の限界に挑戦して、タイムを計ってもいいでしょう。
表現やなんかを気にしながら外郎売を本格的にやって役に立つのは芸暦8年以上になってからかもしれません。
それまでは、ただの「早口言葉ツール」くらいに留めていいと思います。

これは、体で言うストレッチです。

そして。。もう一つ家でやってほしいことは、ずばりそのストレッチ。
筋トレよりストレッチです!
筋トレはやってほしくない。むしろ。演技が硬くなるので。
体のラインを作りたいなら、そのためのエクササイズをこなしてください。
演者は台詞をしゃべったり、感情に任せて動くとき、不自然な力が色んなところにかかります。
そのたびに怪我をしたり、体を歪めてしまっては商品になりません。
遊びやウォーキング(また別途紹介します)の際、体の硬い俳優さんは苦労します。

「口のストレッチ」「体のストレッチ」これを充実させて稽古に望むのはマナー、ぐらいに思っていいと思います。
エステティシャンが手をきれいにしておくとか、歯医者さんがマスクと手袋をするとか、
コックさんが包丁を研いだり、皿を磨いておくというのと同じレベルと考えてもらえれば納得できますかね~。

というわけで。
以上、ステップ3、終わります。


演者の道 ステップ2

2012年10月19日 10時26分51秒 | Weblog
おはようございます。朝食手抜きしてキャベツをスライサーしてたら指をスライスしてしまいました。肉入りサラダ、ばんざい。

さて~、本日ステップ2、「遊ぶ」です。

本のことは一端さておき、遊びましょう。
遊び・・・さまざまなことをされる演劇団体があるようです。
遊びの目的は以下の通りです。

・柔軟な心と体を作る。(粘土のような心身)
・仲間との親密度を上げ、一体感を生み出す。
・感情開放。
・指導者が演者を観察する。

遊びを通して同時にこういうことが得られるのですね~。

では具体的にどういう遊びがあるか。

・ハイパー鬼ごっこ(鬼も逃げるのも目瞑り、色(もの)鬼など)
・無言だるまさんがころんだ(鬼は「だるまさん・・・」と言わない)
・無対象大縄跳び(縄をまわす人、飛ぶ人が、同時に無対象の縄を見るつもりでやる)

と、子ども時代やった遊びを大人用に改造してやったり、

・めつぶりダッシュ(ゴールに居る人は走ってくる人を柔らかく受け止める、走る人は目を瞑ってゴールまで走りぬける)
・ジャンピング(両サイド等間隔に並んだ人の中央めがけて助走をつけ、スーパーマンのように身を投げて飛び、全員で飛んだ人を受け止める。胴上げの受け止めるときのように)

と、危険の伴うものもあります。

いずれも本気でやらなければ面白くないし、けがをしますし、目的を達成することはできません。
これらの遊びは実際に演じ始めたとき、指導者と演者をつなぐ、感覚の共通語に発展していくと望ましいです。
役の性格・ストーリー上の条件=ルールと捉え、ルールの中でいかに自由に遊んでいくかという感覚を養っていきます。

たとえば大縄飛びでは「無いはずの縄をあるものとして見る」ということが全員のルールになります。これはストーリーで言うところの条件。
たとえば「家族」「友人グループ」「職場仲間」という大前提の部分になってきます。
一人でも「これ、縄無いじゃん」と思いながらいい加減に飛ぶ人がいると、もうそこに縄は存在しません。
つまり、ストーリー上で、一人でも「こいつ、本当の家族じゃないし」と思いながら演じる人が居ると、見ている人にとって、それはもう家族でなくなるのです。
信じる力=俳優力の一部です。
しかも、一人が気を抜くと全員が迷惑をこうむる。全て泡に帰す。
これが、「芝居は掛け算」と言われる由縁だと思います。

遊びはこれらの「どんなばかばかしいことも真剣にやる」「嘘を信じる」力を楽しみながら身に付けていくものです。
また、そういう目的を達成できない遊びは時間の無駄だし、テンションを上げるだけの目的であればやる必要はないでしょう。
指導者はそれを視野に入れて遊びを取り入れていただきたいです。

遊びについてはまた折にふれて解説していくと思います。
また「想像力(do)の発達」と、「感情開放(see)」については別のステップでお話していきたいと思います。

今日は、ここまでで(^^)

ステップ1

2012年10月18日 14時01分30秒 | Weblog
こんにちは。朝更新しようと思ったのにズレズレですな(><;)

ではでは、アクタートレーニングのための覚書。スタートいたします。

あ!注意書きですが!私のノウハウは舞台を通じてのものです。
映像に生かすときには個々の智慧が必要かと思いますので、「メソッド演技の根幹」として参考にしていただけたらと思います。また、コメントから質問いただければ、それぞれのケースの質問に答えられると思います。

<ステップ1>

○本(脚本・台本)を読もう。

演じ手はとかく自分の役が気になるものです。また、なって当然だと思います。
自分の出番の量や台詞量、どんなシーンでどんな活躍をするのか、そういった部分ばかり気にしながら台本を読んでしまう傾向があります。

まずは、プレーンに読み手として、本を読んでみましょう。
段階を踏んでのめりこんで行くと、だんだんプレーンには読めなくなります。
心情が一人(自分の役)からの角度に絞られ、本格的なリアルシュミレーションの世界に入っていくからです。
なので、最初にこの全体マップを見るクセをつけておかないと、迷子になったまま千秋楽を迎えることになります。
何が作品のテーマか、風合い、テンポ、面白さはどんなものか。
起、転、結はどういう流れか。

人によるとは思いますが、3回以上はプレーンで読んだ方がいいと思います。また、最初に読んでかかった時間が最終的に完成品の上演時間に近いことが多いです。

さまざま言う人が居ますが、私も台本の自分の役にラインマーカーをつけるのはやめた方が良いと思うタイプです。
過去(俳優時代)、自分もラインマーカーを引くタイプでしたがw
良いことなんにもありません。
読み合わせ中、相手の台詞、聞こえてきません。
へたしたらト書きの声にイライラします。
頭がガチガチのまま稽古が進んでいきます。
ラインマーカーが生きるのは、たぶんテレビドラマなど、時間がタイトな現場で今すぐ覚えて今すぐ台詞を発射しなければいけない場合だと思います。

さあ、プレーンに本を読んで・・・。
面白かったら、情熱を傾ける準備をしましょう。
つまらなかったら・・・面白くなる努力をする覚悟をしましょう。笑。

ステップ1、「なんだそんなことかよ」「知ってるよ」という声が聞こえてきそうですが。
これから「左脳」と「右脳」に立て分けて役を読み込み、役そのものになって生きていくために重要な第一段階です。ここでどれだけ読めているかが、今後の作業に役立っていきます。
だから、世の大多数の俳優指導者(演出家)は「本を読め!」と言うのですね。
読解力は武器になります。
「解る」ことと「出来る」ことは隣人です。
活字が嫌いでも、ここは石に噛り付く気持ちで読みましょう。

トムクルーズは本が読めないことで有名ですが、きっと周りのアクタースタッフと共に相当な取り組みをされていることでしょう。

脱線しましたが。ステップ1、終わります。

一年以上ぶりの更新です。

2012年10月17日 04時47分00秒 | Weblog
うわ~。一年以上更新してないと、編集ページの入り口が変わりすぎてて迷子になりましたw

ありがたいことに、たくさんお仕事いただいて、書いて書いて書きまくっているうちに、ブログで書くことが無くなってしまった状態です・・・
facebookでは、日々のことをちょこちょこ書いてますが。

で、なんで再開したかというと。

先日、劇団ジャイアント・キリングさんの公演(ひとせ書き下ろしでした)が終了しました。
今回、アクタートレーナーということで稽古場に結構がっつりと関わらせていただいたのですが、とある出演者の方から、「自分も将来アクタートレーナーになりたい」と言われました。
日本ではなじみの薄いアクタートレーナー。
発声の仕方とか、立ちかたとか、いわゆる養成所で教えることをやるのではありません。(必要に応じてそういうことも教えたりしますが)
役の読み込みから始まり、その演者が一番良い形で舞台に立てるよう、役作りと演技のお手伝いをするものです。最終的には演者の総体的なスキルアップを目指します。

実はひとせは劇団をやっていたころから、演出よりもこっちの方が得意でした。

基本はスタニスラフスキー型のメソッドで、それを実践に生かす形で指導します。
それが劇団時代に仲間と実験と実践を繰り返すうちにより良い形に練り上げられ、
私の指導スキルもアップしていったと思われます。

そもそもを辿れば、ひとせの野望は「日本の演劇レベルを上げたい」だったのです。

で、そう考えたとき。

まだまだアクタートレーニングを実践できる現場が無い日本の状況ではありますが、私の体験を通しての、ある程度の知識の流布ができないかな、と。

ノウハウを少しずつ公開していこうか・・・と考えました。
できれば演者を導く人の役に、また演者の役に立てれば幸いです。

とはいえ、何せ不定期ですのでw
ちょっとずつになるかもしれません。
でもちょっとがんばってみます。
ではでは。本日は前ふりのみで。失礼します。