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スペインの楽園、マヨルカ島

2012-12-01 14:59:39 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」地中海に浮かぶリゾートアイランド、スペインのマヨルカ島。
温暖な気候で山海の幸に恵まれたこの島に、作家のジョルジュ・サンドとともに作曲家のショパンが静養に訪れ、「雨だれ」などを作曲した地としても知られている。
カルトゥハ修道院は、「雨だれ」に縁のあるところ。
ゴシック様式のマヨルカ大聖堂は、ステンドグラスがすばらしく、とりわけ、午前中に中央の大きなバラ窓から射しこむ光が、堂内に色とりどりな光の模様を映し出す光景は、息を呑む美しさだという。
100年以上前から走る木製列車のソーイェル鉄道にゆられ、ポルト・クリストに行くとドラック洞窟がある。
300万年前にできたといわれる全長1.2kmの鍾乳洞。
ここの一番の特徴は、大きな地底湖で、しかも、1時間おきに15分間催される小船でのコンサートがあるのだ。
美しくライティングされた鍾乳石と地底湖で聞く音楽は、音響は別として、さぞや幻想的であるだろう。
沖縄本島のおよそ3倍の大きさのマヨルカ島は、ゴバルトブルーの海と空だけではなく、歴史ある建物と街並み、豊かな緑と洞窟など、見所満載だ。

お楽しみのグルメ。
マヨルカの、地中海料理の特徴は、肉と魚介類をあわせた料理。
”ソパス・マヨルキーナス”は、豚肉と鶏肉をさっと炒め、牛・豚のブイヨンで野菜と一緒に煮込み、硬くなったパンを入れて食べるもの。
”イカのファルシ”は、豚挽き肉とゲソを塩コショウをして炒め、イカに詰め、スープで煮込んだもの。
どちらも、素材の持つ旨味を上手くあわせた滋味溢れる料理だ。

300年以上続くカフェの名物スイーツ、”エンサイマーダ”。
生地にたっぷりのラードを練りこんで作るデニッシュのような焼き菓子。
基本は、粉砂糖をかけたシンプルなものだが、カスタードクリームを乗せてさらに焼き目をつけたり、カボチャ餡のようなものをはさんでみたり、ホットチョコレートにつけて食べたりと、さまざまなアレンジをして食べる。
ちょっと、脂っこい感じがするが、噛んだときに生地から染み出るラードの感じがいいのだろうと、バター好きは想像する。

スペインのバルは、陽気な居酒屋。
スペインでもやはり週の初めは、バルも苦戦するようだ。
そこで、客を呼び込む作戦として、”火星人マーク”をつけた店では、ワンコインの2ユーロで、グラス一杯のお酒と一皿の料理を提供するサービスを始めた。
このときの料理で人気なのは、”ビンチョス”といって、パンの上に料理を載せたカナッペみたいなものだ。
おなかも大いに満たされるに違いない。

”アラム”という、地元出身の若手アクセサリーデザイナーが経営するアクセサリーショップは、なかなか面白そうだ。
彼女のほかにも、同期のデザイナーたちの作品も扱っている。
素材の組み合わせと、シンプルでユニークなデザインのアクセサリーは、ちょっと気になるものだった。
ほかに、”ブント・セタンタ・ブース”という、スペインの国際的に認められたアーティストのファッションを扱うセレクトショップ。
フランスやイタリア、ベルギーとも違う感性は、ミロやダリの系譜なのかと微笑んでしまった。

スペインは、敬虔なカトリックの信者が多い国。
”木”には、特別な思いがあるらしい。
それは、キリストが木に磔刑に処せられたことから、木を大切に思っているのだという。
たとえば、宝くじを買ったあと幸運を祈るために、近くの木や木製製品にタッチして加護を願うのだ。
無邪気なこうした行いは、どこの国にもあるのだな。

今、スペインは、若者の高い失業率に閉塞感が高まっている。
一場面を切り取ってみると、どこの国も美しく、民は幸せそうに見えるのだが、本当の姿は見えてこない。
観光で、外貨を落としていくのもある面経済に貢献しているともいえるのだから、深刻なことは考えないで楽しんで来ればいいという考えもある。
お金のある者たちは大いに使って、循環させるべきなのか。
これが、上手く巡っていれば問題も少ないだろうが、上と横もしくはそのすぐ下だけで巡っていて、大きな帯流にならない苛立ちがある。
グローバル化によって、国地域別で生産の分業化が進み、その影響で一国内での経済の流れは硬直化し、内部から壊死してきて瀕死の状態は、先進国だけにはとどまらない。
わが国もスペインの、程度の差こそあれ似たもの同士。
勢い、観光という過去の遺産にすがろうとするのか。
まだまだ暗くなりそうな世界情勢の中に、ぽっかりと浮かぶマヨルカ島は、地上の楽園を死守できるのだろうかと心配になる。




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