rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

フランスのアニメ「ベルヴィル・ランデブー」

2011-02-22 23:43:50 | 映画
「ベルヴィル・ランデブー」
抑えられた色調、極端にデフォルメされた形(グロテスクなくらいに)、無声映画かと思うようなせりふの少なさ、個性的過ぎる登場人物。
小さい人は飽きてしまったが、中くらいの人は最後まで観続けられた。
日本のアニメに、グロテスクな(えぐった表現)形体をした登場人物や、少なすぎるせりふや、風刺の効いた作品は表立ってあまりみられない。
しかし、この映画は、いかにもフランス人が創ったらしく、物事を批判的にえぐる精神、ヨーロッパの雰囲気がぷんぷんしてくる。
バンド・デシネ(フランスで漫画を指す)は、カリカチュア(特徴を誇張した風刺画)がコマ割で、風刺やパロディー的ストーリーを持つものが起源になっている、そういう背景もあるだろう。
物語には、徹底した人物観察による様々な特徴を持った人々が描かれ、主要登場人物だけでなくても、「いるいる、こういう人!」と合いの手を入れたくなるような細やかな演出がある。
主要人物の歌手の老三姉妹にいたっては、シェイクスピアの魔女たちのように不気味に生き生きと活躍している。
しかも、食用蛙を獲るのに手榴弾をぶちかまし、蛙尽くしの滅茶苦茶気持ちの悪い料理を食べ、ガーターベルトに手榴弾を挟みマフィアの賭博場に乗り込んだりと、キレまくっているのだ。
インパクトの強さで、主人公をくっているところも多い。
最初は、戸惑ってみていたが、単純なストーリーと不気味さ、強烈な個性を放つ登場人物で、80分があっという間に経ってしまう。
つまり、面白い映画なのだ。
子供には、まだ面白さが分からないかもしれないが、人生4割がた過ぎた人あたりからその面白さがじんわり感じられるのではなかろうか。
そういえば、天空にそびえる摩天楼の都市「ベルヴィル」は、ニューヨークのパロディーだった。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿