rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

世襲制もほどほどに

2012-07-18 23:01:14 | つぶやき&ぼやき
芸事、手業の世界では、世襲によってそのものを守り伝える枠組みを生す利点がある。
次の世代が、才能に秀でていなくても、真面目に型を修練して、その次に伝える役を担っているので、致命的な問題はないように思える。
しかし、政治・医療・教育・公僕・大企業のトップなどにおいては、世襲はいかがなものだろうか。
それらを家業として、子孫に継がせていく利点はあるのだろうか。
向き不向き、個の能力、使命感、それらは、真面目さだけで補えるものではないし、他の人々に大きな影響を与えるので、安易な世襲は悪といえよう。
もっとも、世襲を嫌う意思をもっていたにしても、周りから絡めとられて意に副わず世襲の流れに入ってしまう者もいるだろうが。
なにによらず、人は情にも弱いが、さらに目先の損得に弱い。
ある核を囲む二周りくらいの取り巻きが、その他大勢の公正な利益を度外視して、己が利益を優先して起こる世襲には、なかなか抑止力が届かない。

今の世の中、ざあっと見渡せば、世襲のオンパレードだ。
住む世界、業種を問わず、血の縁のあるものと、一端を握って辿っていったら、あれま驚くことにぐるりと一繋がりになっちゃった、なんてこともあるかもしれない。
世襲が進み、生きていく術が固定化したなら、新規参入はほとほと難しくなって、未来を夢見るものに閉塞感が募るばかり。
いや、もうそんな風潮が浸透していると思い当たることがあるだろう。

よしんば世襲がおおむね悪習だとしても、全てそうであるはずもない。
世襲によってもとから得ている地位財産名誉知名度、これらを特上の武器として、有益に世の中のために使えば、恐れるものなく目的に邁進できもしよう。
つまり、いかなる場合にも、世襲する者の胸先三寸、気概に負うところが大きいのだ。
世襲する者は、より強い覚悟を持って世襲し、その評価は、先の代よりハードルを高くして行うくらいでないといけない。
資格保有が条件のものについては、世襲者において平均より条件を厳しくするようでないと、その属する世界が停滞または劣化してしまう。

我が子可愛さ、目先の利益、保身のために、無分別に世襲を進めてはいけないし、してもいけない。
澱み濁った沼は、やがて生き物は死滅する。
しまいには、腐敗し異臭を放ち、あたりに毒を撒き散らす。
浄化するには、流れが必要なのだ。

だから、世襲もほどほどに。
ある程度の流動性は、物事を活性化し、病巣を大きくしないだろうから。