天使のような雲の形跡 17/7/2012
太陽が、容赦なくジリジリと照りつける、梅雨明けの昼前。
スーパーで買い物を終え、車に荷物を積み込む。
ハッチバックのバックドアを閉め、空を見上げると、東の空に人型の、しかも天使のような形をした雲が、V字型の左側に2体、右側に4体浮かんでいた。
見れば見るほど、羽根を広げたような格好で空に浮かんでいる天使に見える。
ただの買い物だから、もちろんカメラなど持っているはずもなく、この天使の姿を捉えたいと家路を急ぐ。
運転しながら、どうか家に帰り着くまで消えないようにと、心の中で念じていた。
家につく直前までは、天使の姿はくっきりとしていた。
よし、カメラを取って写すんだと意気込んで、天使の姿を東の空に探した。
杉の木のむこうに、微かに白いその姿はあった。
シャッターを切る。
画像をチェックする。
おぼろげな天使の残像が、そこにはあった。
もしかすると、写されるのを嫌って早々と姿を消そうとしたのかと思うほど、薄い姿だった。
なんとなく、エヴァンゲリオンに登場する”使徒”のようなものが偵察に現れたのではないかと、オカルト的な考えがふっと浮かんだ。
愚かで浅ましい人の行いを査定するために。
しかし、地球にはたくさんの生き物が生きている。
人間ごときのために全てをなぎ払うには、惜しい命の星だから、そんなことはありえないと妄想を打ち消したのであった。