rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

自転車で迎えに

2012-07-04 22:27:38 | 随想たち
晴れて暑さとともに湿度が下がってきた午後、小さい人の帰りを迎えに自転車を走らせる。
風を切り、坂道を下るときは、なんとも爽快だ。
坂を下りきり、ぐいぐいとペダルをこぐ。
強い陽射しに照らされてはいるけれど、まだ真夏の暑さではない。
久しぶりの自転車に、体はやや戸惑っている。
それでも、ペダルにかかる力に手ごたえを感じ、タイヤがアスファルトをしっかり掴みながら回転し前に進む。
景色は、確実に流れ去る。
でも、目で捉えきれない速さではない。
歩くのとは違う適度なスピードが、気持ちを浮き立たせた。
ああ、しかし楽しいのも束の間、衰えた足の筋肉が悲鳴を上げ始める。
3キロくらい走り、小さい人と合流して来た道を戻るときには、ペダルをこぐ足が重い。
小さい人にすれば遅いスピードで、話をしながら家路を辿る。
田んぼの稲の生長を、学校であったことを、帰ってから一緒に飲むぶどうジュースのことを。
家に至る最後の坂道を、小さい人がこともなげに自転車で上りきる姿を眩しく見つめながら、棒のようになった足を引きずり自転車を押して歩いた。
少々体に堪えても、雨が降らないときには自転車で迎えに行こう。
小さい人とサイクリング気分で。