ありました

会議室のカギが行方不明になりました。
記録によると、最後に使ったのは『きょうじゅ』。
朝から問い合わせが殺到します。

きょうじゅ…カギ、どうしたか覚えてますか？？
『学生に渡したよ！』
ど…どの学生さんでしょうか？？
『うーん…女の子！！！』
女の子…どこの研究室くらいは…？？
『わかんない！！！』
き、きょうじゅ…。　

これだけのヒントを頼りに該当しそうな学生さんに連絡を取ってみます。しかしながら、返事はどれもはかばかしくありません。あちこちのメーリングリスト等々で呼びかけてみたりもしましたが、誰からも連絡はありません。

きょうじゅ…何か覚えていることはありませんか？？
『ぼく、どんなカギだったかも覚えてないよ』
普通のカギですよ、きょうじゅ…？
『学生に渡しちゃったもん…』
困りましたね…何か思い出したら教えてくださいね、きょうじゅ…　

おろおろはしていましたが、マスターキーがあるし、それぞれの研究室にもあるし、とりあえず不自由はありません。もう出てこないね…と全員があきらめました。

きょうじゅ、大丈夫ですよ、カギはありますから。
『学生に渡したのに…』
新しいの作りますし、問題ないですよ。
『ぼく…もう何にも思い出せないんだ…』

数日後。その日はきょうじゅ研究室のゼミの日。発表者が準備を始めます。そしてプロジェクタを棚から取り出そうとしたそのとき。

そこには、会議室のカギがありました。

誰かがプロジェクタと一緒に棚にしまっていたようです。まさかそんなところにあったとは！

しかしながら、全員無言です。きょうじゅ、渡した学生さん、見つかりましたよ！などという言葉が出てくるはずもなく、きょうじゅ秘書は各方面に適当ないいわけをしつつ、事務室にカギを返却しました。
見つかってよかったですね！めでたし、めでたし。