りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“正義の王子エリオット” ―全7場― 完結編

2012年02月22日 21時44分58秒 | 新作(人形劇用)


  
         
                  エリオット王子




         音楽流れ、エリオット歌う。

         “同情している訳じゃない
         哀れんでいる訳でもない
         そんな思いはこれっぽっちも
         持ち合わせてはいない
         ただみんなの生きる希望に
         歩む道標となり佇もう
         差し出す手に
         遠慮なく掴まればいい
         それは生きる者の権利だから・・・”

  エリオット「ほら!(ボタンをリコの方へ差し出す。)意地張ってな
        いで、受け取れよ。」
 
         リコ、ボタンを受け取る。

  リコ「ありがとう・・・」

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 6 場 ――――― A

         紗幕前。
         下手より、村長とポリー巡査、話しながら登場。

  ポリー「村長、来週城から村までの警備命令がありました。配給
      金が届くようです。」
  村長「そうか。さて、今回は何を購入するとしようかの。」
  ポリー「そう言えば、隣村で、かの巨匠の名画のオークションが
      来月開催されると聞きましたが・・・。」
  村長「名画か・・・。だが、絵はもう100枚程コレクションしておる
     からの。また何か愉快な情報があれば知らせてくれたまえ。
     」
  ポリー「はい、分かりました。」

         そこへ上手より一人の家臣、登場。

  家臣「ご主人様・・・」
  ポリー「それでは私はこれで・・・(礼をして上手へ去る。)」
  村長「うむ・・・」

    ――――― 第 6 場 ――――― B

         紗幕開く。と、村長の邸宅内。
         豪華な装飾品の数々が、飾られている。

  村長「(ポリーが去るのを見計らい。)如何した?」
  家臣「それがご主人様、光の城からの使いで来たとか言う者が
     参っておりますが・・・如何致しましょう。」
  村長「光の城だと・・・?そんな訳の分からないような奴は追い
     返せ!!」
  家臣「それがもう・・・」
  村長「何?」
  
         そこへ上手よりエリオット登場。

  エリオット「何か会えない理由でもおありですか?」
  村長「何だと!!おまえ・・・。城からの使いだとしても、招き入
     れられる前に人の家の中にズケズケと入って来るとは・・・
     !!」
  エリオット「流石、村長さんのお宅ですね。この調度品の数々は
        素晴らしい。外の村の様子からは、全くこの家の中の
        豪華さは想像だに出来ない程だ。」
  村長「・・・何が言いたいのだ・・・。」
  エリオット「いえ、お気に障ったのなら失礼しました。」
  村長「で・・・、城の使いの者が、私に何の用がおありか・・・。」
  エリオット「・・・少し・・・噂の真意を確かめたいと思いまして・・・」
  村長「真意・・・とは・・・?」
  エリオット「村長であられるのですから、村の様子はご存じでしょ
        うが・・・」
  村長「勿論・・・。それが何か・・・」

         そこへ下手より、一人のメイド登場。
    
  メイド「ご主人様、今日の夕食のシェフが、本日仕入れた食材か
      ら今日の一品の品を選んで欲しいと申しておりますが・・・
      。」
  村長「後にしなさい!!お客様の前だぞ!!」
  メイド「あ・・・はい。(礼をして下手へ去る。)」
  村長「城の使いの者、失礼した。それで・・・何の話しでしたかな
     ・・・。」
  エリオット「・・・村の有力者ともなれば、夕食は色々な食材をよ
        り取り見取りとは・・・羨ましいお話しですね・・・。」
  村長「いや何・・・大したことはないのだ・・・。」
  エリオット「・・・村人は、たった一個の食材すら満足に、手にする
        ことが出来ないと言うのに・・・」
  村長「ん・・・?」
  エリオット「おまえが城からの配給金を、村人達に平等に分配せ
        ず、一人占めにしているのは明白なこと!!」
  村長「な・・・何を可笑しなことを・・・!!何処にそんな証拠が・・・
      」
  エリオット「この後に及んで、まだしらを切るとは・・・お笑いだな。
        (笑う。)」                 
  村長「よくも、この私を侮辱したな!!城からと言えど、ただの
     使い人にそこまで言われる筋合いはないわ!!これ以上
     失礼なことを言うのなら・・・その命の保障はせんぞ!!」
  エリオット「(笑う。)ほう・・・面白い奴だ。この命・・・如何しようと
        言うのだ。」
  村長「誰か・・・誰かーっ!!不逞のやからが家の中に侵入して
     おるぞーっ!!早く捕まえるのだ!!誰かーっ!!誰かお
     らぬかーっ!!」

  声「はっ!!ご主人様、只今!!」

  エリオット「人の手を煩わせねば、一人では何も出来ないのか、
        この似非村長!!」
  村長「何だと・・・!?」
  エリオット「誰の目を欺こうとも、この光の国のエリオット!!僕
        の目は誤魔化せない!!」
  村長「何が“光の国のエリオット”だ!!馬鹿者!!ふざけた名
     のり方を・・・エリオット・・・だと・・・?まさか・・・エリオット王
     子・・・?」

         そこへ下手より、大勢の家臣がなだれ込むように
         登場。

  家臣達「わーっ!!ご主人様ーっ!!只今、お助けに!!」
  村長「わ・・・あっ・・・ちょ・・・ちょっと待て・・・おまえ達・・・」

         村長の制止も聞こえないと言う風に、家臣達
         剣を翳し、エリオットに切り掛かって行く。

  家臣達「わあーっ!!」
  エリオット「面白い!!この僕に敵うとでも思っているのか!!
        いくらでも相手になってやるぞ!!(剣を抜く。)」
  村長「ちょ・・・ちょっとおまえ達・・・待って・・・(オロオロする。)」

         エリオット、切り掛かって来る家臣達を、
         峰打ちで楽しそうに倒して行く。     ※

  家臣達「わあーっ!!」
  エリオット「やあっ!!」
  家臣達「わあーっ!!」
  エリオット「はっ!!」

         そこへ上手より、ポポ、ミミ走り登場。

  ポポ「エリオットーッ!!ワン!!」
  ミミ「エリオット王子ー!!ニャア!!」
  エリオット「ポポ!!ミミ!!」
  ポポ「王子様!!ワン!!(剣を抜いて、エリオットの前へ出る
     。)」
  ミミ「王子様!!ニャア!!(剣を抜いて、ポポに続く。)」
  ポポ「王子!!加勢します、ワン!!」
  ミミ「お助けしますニャア!!」
  エリオット「ポポ、ミミ!!僕一人で大丈夫だ!!2人はそこで
        見ておけ!!」
  ポポ「そんな・・・ワン・・・」
  ミミ「エリオット王子・・・ニャア・・・」

         家臣達、ポポとミミの“王子”と呼ぶ声に
         気付き、驚いたように剣を止め、立ち尽くす。

  家臣達「王子・・・様・・・?」
       「エリオット王子・・・?」
  村長「だから、さっきから私が言っているだろう!!馬鹿者!!
     エリオット王子様!!これは何かの間違い・・・」
  エリオット「何だ・・・もうおしまいか?」
  ミミ「もう・・・王子様ったら・・・ニャア・・・」
  エリオット「折角いい所だったのに・・・」
  ポポ「もう・・・エリオット王子は・・・ワン・・・」  
  エリオット「さぁ、村長!!後は城でゆっくり話しを聞かせてもら
        うとしよう!!」
  村長「ちょ・・・ちょっとお待ちを・・・王子様・・・!!」
  エリオット「ポポ!!ミミ!!村長を城まで連れて行け!!」
  ポポ「はいワン!!」
  ミミ「はいニャア!!」

         ポポ、ミミ、村長を両脇から捕まえる。

  村長「ちょ・・・ちょっと・・・!!王子!!王子ー!!糞う!!ポ
     ーリーの奴を捕まえろーっ!!俺だけ・・・俺一人だけ・・・
     何でだーっ!!」
  家臣達「ご・・・ご主人様ーっ!!」

         村長、ポポとミミに引き摺られるように、上手へ
         去る。
         紗幕閉まる。

    ――――― 第 7 場 ――――― A

         紗幕前。鐘の音が厳かに鳴り響く。
         上手より王様登場。ゆっくり下手方へ。
         そこへ下手よりじぃ、幾分慌てた様子で
         足早に登場。

  じぃ「王様・・・王様ーっ!!」  
  王様「如何した、じぃ?何か分かったか?」
  じぃ「そ・・・それが・・・エリオット王子様が・・・」
  王様「エリオットが・・・?何かあったのか!?」
  じぃ「はぁ・・・それが・・・王子様がその・・・村々の貧窮の原因を
     招いておった原因を付き止められ、黒幕の輩をひっ捕らえ
     て来られたのです・・・。」
  王様「何?エリオットが・・・?」
  じぃ「はい・・・。」
  王様「そうか・・・。私が手を出すまでもなかったか・・・。(笑う。)」
  じぃ「王様・・・」
  王様「じぃ・・・、エリオットは随分成長したようだな。」
  じぃ「はい、全く・・・」
  王様「それで、じぃ・・・去年までの日照りも漸く落ち着いて来た
     のか、ここ数日のたった僅かの恵の雨のお陰で、少し不作
     からの回復も見込めそうだな。」
  じぃ「はい。またこの国も、潤い溢れる豊かな国に戻ることでしょ
     う。」
  王様「自分のことだけではない、誰かのことを思い、行動するこ
     とは・・・よくよくは回り回って我が身に返るのだ・・・。エリオ
     ットの行動力が、それを教えてくれたな。(笑う。)」
  じぃ「王様・・・」

         2人、話しながら下手へ去る。
         紗幕開く。

    ――――― 第 7 場 ――――― B

         場面は城外の様子。(音楽流れる。)
         中央にエリオット佇み歌う。

         “皆が幸せであること
         それが願いだ
         誰もが自分のことだけを
         考え生きていたならば
         屹度幸せさえも
         自分勝手に振る舞うだろう
         ほんの少しだけ
         自分以外の誰かの為に
         皆が思いを馳せれば
         屹度その輪が広がって
         大きな力になるだろう
         そんな世界が幸せだと
         それが屹度・・・
         皆の願いだから・・・”

  エリオット「まだまだ僕には、勉強しなければいけないことが山
        程ある・・・。この国全てを幸せに導くこと・・・それが僕
        の使命だから・・・。村人達が豊かになれば、それはこ
        の国をも豊にすると言うこと・・・。さぁ、また次の村に
        出掛けよう!!村人達が、何かに困っていないかど
        うかを確かめに!!」       
  

         瞳を輝かせ、遠くを見遣るエリオット。
         音楽盛り上がり。








            ――――― 幕 ―――――
















     さて、只今頭フル回転で、7周年記念公演作品の2本目
    の執筆に取り掛かっております(@_@;)
    時間の期限がある為、今しばらく頭を全部そちらに使いた
    いと思っておりますので、このページの新作は少しだけお
    待ち下さい^_^;
    そちらの作品が落ち着けば、またこのページでも新しい作
    品をご紹介出来るかと思っておりますので、それまでは他
    ページやグーグル版“ワールド”などをご覧下さい
    
    今年発表予定の4作品のうち、すでに仕上がっている3作
    品の出来が、思いの外、素晴らしい(・・・自分で言うなって
    ・・・?^^;)ので、ラストになる現在生みの苦しみを味わっ
    ております新作・・・気合いが入り過ぎているように感じるの
    で、肩の力を抜きつつ・・・書き上げたいと思っていますの
    で、引き続きヨロシクお願い致します♥

 

                               どら。











    ※ ね・・・?何だか“時代劇調”だと思いませんか・・・?
      つい「であえ・・・であえ~!!」と書きたくなりました^^;





 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    (どら余談^^;)

   今日は、グーグル版“ワールド”にティンクルちゃんシリーズ
   の第1段、“花の妖精ティンクルの小さな冒険”の動画を少し
   のせてみました(^^)v
   この作品は彼此5年以上前の作品である為、まだまだ動き、
   台詞、歌、小道具、大道具・・・どれをとっても未熟な出来の
   ものであります(>_<)・・・が、その時に出来うる最高を、
   何時も目指して作っていた当時の最高だと考えていた舞台
   ・・・是非ご覧ください^_^;




   







http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html

         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 













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