10/2日経 「国有資産の圧縮 攻防へ」
竹中大臣は①公務員削減②政府系金融の圧縮と共に③庁舎など国有資産の売却を3大改革として方針をまとめると言明した。しかし官庁は「賃貸より保有のほうが年36億円もコストが安い」などと反論(論旨抜粋)。
・・・・・
「政」の分野では族議員の廃退という成果がやっと(本当にやっと!)出始めたけれども、「官」の相当頑強なネガティブパワーは小手先の改革では払拭されないと思います。
官の天下り事業すべてを含めると1000万人前後の官ワールド、勤労人口7千万人として日本の7人に1人が関係していると言われます。
そして04年GDP505兆円のうち112兆円が「公的需要」( 国や地方が、社会保障、文教、公務員給与、公共事業等で使ったお金)。占める割合にして20%以上、つまり日本の5分の1は官製のお仕事に費やしているわけです。
日本は「世界でもっとも成功した社会主義国」とゴルバチョフ筆頭に言われつづけているわけで、多くの国民が「官」に頼ってしまった生活を実際送っているという事実。
しかし、それぐらい超ビッグな領域を一気に無くしてしまったら、そのこと自体とんでもない経済的衝撃が起こるでしょう(もっとも、ゼロにできるわけがないが)。
一般にムダといわれている国家公務員人件費は総額でも4兆円程度で、仮に大幅削減しても残念ながら財政破綻回避の効果は薄い。
地方公務員人件費は26兆円(03年)と大きいが、その6割は教師・警察・消防である。
これを大きく削るわけにはいかないだろう。
公共事業費は98年に15兆円だったものが05年には7、5兆円とすでに半減している。
政府系金融機関を統廃合するのは、天下り軍団のリストラを意味するのでコスト削減以上に、官体質脱却のために大きな意義があると思う。しかし純粋に財政大赤字解消へどれだけ貢献するのか不明だ。 推測では民間金融機関が負っていた大きな不良債権以上のコゲつきがあるのではないかと憶測する向きもある。そうなると結局穴埋めで多額の税金が使われる可能性が大きい。あながち笑えない話だ。
庁舎など国有資産売却は、昔から加藤寛氏が主張してきた案で、民間企業がリストラのとき自社ビルを売却して賃貸にするなど、よく使う手段だ。これを国が大赤字の責任を取って実施するというのは理にかなっている。だが上の記事のように官僚は猛抵抗するだろう。
これらについて、現内閣がある程度メスを入れることには成功すると思いますが、刺し違える形で(引き換えに)官僚は大増税を内閣に迫ってくるはずです。
すでに定率減税廃止は織り込まれ、各種控除の縮小、消費税10%以上は規定路線という雰囲気です。今は抵抗が強い所得税引き上げ(サラリーマン増税)議論も当たり前になってくるでしょう。
結局「大増税」と「官の縮小削減」は民と官が刺し違える形でセットにせざるを得ないというのが現状でのもっともな予測になります。
しかし「大増税」は消費の足を大きく引っ張り、景気悪化⇒成長率ダウン⇒税収減少を招くことを忘れる訳にいきません。税収が大きく減れば当然財政赤字の増加要因になり元の木阿弥、矛盾して財政再建は行き詰まる。
しかし官の縮小削減だけではとうてい再建に追いつかない・・・。
官と民の押し付け合いによって時間ばかりが消費され「先延ばし」がただ続くだけ、という最悪のシナリオも覚悟しておかねばなりません。
政府はとりあえず国債関連支出以外の歳出と税収を均衡させる(プライマリーバランス)と言っていますが、過去4年間で公共投資など10兆円規模の削減努力をしたにもかかわらずバランスはほとんど改善できなかったことを考えると、達成は容易ではないと推測されます。
となると残された“本丸”郵政・簡保資金ほかを原資にした年400兆円以上の国のウラ会計=「特別会計」の特殊法人などの無駄遣いにどれだけ切り込めるかが、勝負になってくるようです。
選挙後、その全貌が徐々に明らかになってきましたが前出の加藤寛氏の10年間の政府税調経験から言わせると「特殊法人は全ての官僚の砦。改革は困難を極める」※。
一番怖いのは海外からの日本に対する厳しい視線です。財政状況はすでに世界117カ国中113位というのが世界の評価(ファイルNo2参照)。
日本財政・金融に対する信用が今以上になくなってしまうと・・・国債価格の暴落が起こる危険性が高くなり、破綻(デフォルト)が現実味を増してきます。
<※:10/17付エコノミスト増刊号から論旨抜粋>
(次回へ続く)
竹中大臣は①公務員削減②政府系金融の圧縮と共に③庁舎など国有資産の売却を3大改革として方針をまとめると言明した。しかし官庁は「賃貸より保有のほうが年36億円もコストが安い」などと反論(論旨抜粋)。
・・・・・
「政」の分野では族議員の廃退という成果がやっと(本当にやっと!)出始めたけれども、「官」の相当頑強なネガティブパワーは小手先の改革では払拭されないと思います。
官の天下り事業すべてを含めると1000万人前後の官ワールド、勤労人口7千万人として日本の7人に1人が関係していると言われます。
そして04年GDP505兆円のうち112兆円が「公的需要」( 国や地方が、社会保障、文教、公務員給与、公共事業等で使ったお金)。占める割合にして20%以上、つまり日本の5分の1は官製のお仕事に費やしているわけです。
日本は「世界でもっとも成功した社会主義国」とゴルバチョフ筆頭に言われつづけているわけで、多くの国民が「官」に頼ってしまった生活を実際送っているという事実。
しかし、それぐらい超ビッグな領域を一気に無くしてしまったら、そのこと自体とんでもない経済的衝撃が起こるでしょう(もっとも、ゼロにできるわけがないが)。
一般にムダといわれている国家公務員人件費は総額でも4兆円程度で、仮に大幅削減しても残念ながら財政破綻回避の効果は薄い。
地方公務員人件費は26兆円(03年)と大きいが、その6割は教師・警察・消防である。
これを大きく削るわけにはいかないだろう。
公共事業費は98年に15兆円だったものが05年には7、5兆円とすでに半減している。
政府系金融機関を統廃合するのは、天下り軍団のリストラを意味するのでコスト削減以上に、官体質脱却のために大きな意義があると思う。しかし純粋に財政大赤字解消へどれだけ貢献するのか不明だ。 推測では民間金融機関が負っていた大きな不良債権以上のコゲつきがあるのではないかと憶測する向きもある。そうなると結局穴埋めで多額の税金が使われる可能性が大きい。あながち笑えない話だ。
庁舎など国有資産売却は、昔から加藤寛氏が主張してきた案で、民間企業がリストラのとき自社ビルを売却して賃貸にするなど、よく使う手段だ。これを国が大赤字の責任を取って実施するというのは理にかなっている。だが上の記事のように官僚は猛抵抗するだろう。
これらについて、現内閣がある程度メスを入れることには成功すると思いますが、刺し違える形で(引き換えに)官僚は大増税を内閣に迫ってくるはずです。
すでに定率減税廃止は織り込まれ、各種控除の縮小、消費税10%以上は規定路線という雰囲気です。今は抵抗が強い所得税引き上げ(サラリーマン増税)議論も当たり前になってくるでしょう。
結局「大増税」と「官の縮小削減」は民と官が刺し違える形でセットにせざるを得ないというのが現状でのもっともな予測になります。
しかし「大増税」は消費の足を大きく引っ張り、景気悪化⇒成長率ダウン⇒税収減少を招くことを忘れる訳にいきません。税収が大きく減れば当然財政赤字の増加要因になり元の木阿弥、矛盾して財政再建は行き詰まる。
しかし官の縮小削減だけではとうてい再建に追いつかない・・・。
官と民の押し付け合いによって時間ばかりが消費され「先延ばし」がただ続くだけ、という最悪のシナリオも覚悟しておかねばなりません。
政府はとりあえず国債関連支出以外の歳出と税収を均衡させる(プライマリーバランス)と言っていますが、過去4年間で公共投資など10兆円規模の削減努力をしたにもかかわらずバランスはほとんど改善できなかったことを考えると、達成は容易ではないと推測されます。
となると残された“本丸”郵政・簡保資金ほかを原資にした年400兆円以上の国のウラ会計=「特別会計」の特殊法人などの無駄遣いにどれだけ切り込めるかが、勝負になってくるようです。
選挙後、その全貌が徐々に明らかになってきましたが前出の加藤寛氏の10年間の政府税調経験から言わせると「特殊法人は全ての官僚の砦。改革は困難を極める」※。
一番怖いのは海外からの日本に対する厳しい視線です。財政状況はすでに世界117カ国中113位というのが世界の評価(ファイルNo2参照)。
日本財政・金融に対する信用が今以上になくなってしまうと・・・国債価格の暴落が起こる危険性が高くなり、破綻(デフォルト)が現実味を増してきます。
<※:10/17付エコノミスト増刊号から論旨抜粋>
(次回へ続く)
書かれている通り、財政は危機的だと思いますが、結局、インフレや増税などでソフトランディングすることになると思います。
問題はだれが責任を持って、その舵取りをするかだと考えています。