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育児日記、たまに音楽話 、2010年に空に還った娘18トリソミーの娘について

お通夜

2010-07-14 18:01:17 | Weblog
斎場に到着するとタオルケットにくるんだ詩ちゃんを抱っこして控室に連れて行った。
正面には白いお布団と小さな棺…


お空には詩ちゃんと同じ病気と闘ったお友達も、違う病気だけど一緒のお部屋で闘ったお友達も、又は会ったことはないけど支えあってきたお友達がたくさんいる。だから私は今までに何度も小さな棺を切ない気持ちで見てきた。
 だから、驚きはなかったけど…我が娘が入るのかと…なんかまだ変な気持ち。

納棺師…というのかな、メイクボックスをかかえた女性が来られて綺麗にして下さった。保湿クリームを塗るだけでとくにメイクはしなかった。お口も無理に閉じなかった。

はじめて棺にいれた。


なんか… 今まではいつもと変わらない詩ちゃんだったのに、こうして見ると「なきがら」になっちゃったんだなあ…って思った。 こうして少しずつ詩ちゃんの「からだ」ともお別れするのを覚悟しなくちゃならないのか。思えば今まで、お腹にいる時から何度「覚悟」してきたことだろうか。


顔のまわりにお花を飾ってくれた。かわいい、ガーベラやバラ。


お花を横によけて抱き上げお通夜の式が始まるまで何度も抱っこした。


式が始まってからは、本当にたくさんの方がお別れに駆け付けて下さり、嬉しくてありがたくて「ありがとうございます。」って何度も言った。

式が終わってからもずっとずっとお焼香が途切れることなく、遠方から来てくれた方や18トリソミーのお友達やパパさんママさんが来てくれたり…みんなみんな詩乃にありがとうとお別れを言いに来て下さったんだなーとなんだか改めて詩ちゃんってすごい!って思った。


その日の勤務を終えた小児科病棟の看護師さん達が(10時過ぎだったかな…?)疲れてるのにみなさん来て下さった。お焼香して下さるとみんなで「詩ちゃん頑張ったね。」とたくさん話しかけた。
ふと、見渡すとちょうどお参りして下さる方がいなくなった。私はずーっと抱っこしたかったけど、気持ちを込めてお焼香して下さる前で間に割って入って棺から抱え上げるのは申し訳なく、そうすることはなかった。
ちょうど今がタイミングいいかも…と「抱っこします?」とか言ってホントは私が抱っこしたかった。
看護師さん達は「わあ、いいんですかあ?(ニコニコ)」私「もちろんもちろん」

みんなに代わる代わる抱っこしてもらった。

本当に大きくなったね。入院中は一度も嘔吐がなく点滴と注入と栄養も十分で体重計は9キロを指したこともあったな。


抱っこしてもらってなんだか詩ちゃんも嬉しそうだった。抱っこが大好きだった詩ちゃん。 「人」が大好きだった。 詩ちゃんには人をひき付けるパワーがあった。


看護師さんの一人が「詩ちゃんに会えてよかったです。けど、お母さんに会えてよかったー!」と言ってくれた。 私は物凄く嬉しかったし、そんなことが言えるなんてすごいと思った。小児科って、他の病棟と違って患者さんだけでもただでさえ大変なのに後ろには親が控えているから、何倍も大変だろうと思うから…。


詩ちゃんの何百枚とある写真をみなさんと眺めながら、幸せな気持ちで三年間を振り返っていた。 「たくさん可愛がってくれてありがとうございました。」「だって本当に可愛かったですもん!」 よかったね、詩ちゃん。


11時を過ぎるとワールドカップの日本戦が始まった。お参りの方もいなくなったので控室でサッカーを見ながら少しつまんだ。

サッカーが終わり、私達が泊まる部屋へ詩ちゃんを連れていくことにした。棺ごと運んだ。


最後の夜。お兄ちゃんは実家に預けていたから3人で眠った。