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育児日記、たまに音楽話 、2010年に空に還った娘18トリソミーの娘について

詩乃が最もがんばった日(3)

2010-07-12 19:20:10 | Weblog
お兄ちゃんはパパの実家に預けていたので連れて帰ってきた。

「詩ちゃんすごくがんばったけど、ばい菌に負けちゃったんだよ。でもがんばったよね。」と言ったらすごく残念そうなしかめっつらで「あー、本当に死んじゃったのかー」と言った。


先週木曜日に退院してきた時は「やっと4人になったね!」と喜んでいたのに。
お兄ちゃんは詩ちゃんの頭を優しく撫でていた。


いつものベビーベッドに寝かせたら、すやすや眠ってるみたいだった。胸元のタオルが呼吸のたびに上下してるみたいに見えた。

訪問看護師さんや在宅医の先生が詩乃に会いに来てくれた。本当にありがたかった。在宅医療のスタッフの方々が引き受けて下さらなければ、私たちの楽しくて幸せな一年半はなかったのですよね。。。。

でも、もっともっとお世話になりたかったな…。

先生はしばらくの間詩乃と魂と魂でお話しておられた。 私も先生の背中を見詰め、感謝の気持ちをこめた。




「今日はみんなで寝ようね。」


リビングに布団を敷き詰めて、詩ちゃんを挟むように川の字でねっころがり写真を撮った。どうやったらみんな入れるかなあ?とセルフタイマーで何度も撮った。 みんな少し陰りある笑顔。


朝が来て、幼稚園のお友達ママさん達がわざわざ来てくれた。みんな涙して「がんばったね」って褒めてくれた。


15時半、お通夜の為に斎場へ出発する時間… 「詩ちゃん、おうちバイバイだね。」

抱っこしてエレベーターで降りると、いつも通り管理人さんから「今日は病院?」と声をかけられた。「いえ、亡くなったんです。今からお通夜で…」そういうと、すごく驚いていた。

…そうだよね、大人じゃ亡くなった人を抱っこして運ぶことないし…。管理人さん、驚かせてごめんなさい。


斎場に向かう道は大学病院へ通ういつもの道にした。 詩ちゃんは目をくるくるさせて寝返りをうちながら窓から見える流れる景色を眺めるのが好きだった。「詩ちゃん、ほら、いつもここを通ったよね。」

詩乃が最も頑張った日(2)

2010-07-12 18:01:18 | 18トリソミー
3回目の心停止の処置の間、別室で祈りながら待っていた時、詩乃が生まれた時からずっと3年間みて下さっている主治医の先生が部屋に入ってきた。

今日は病院の外に出られていると聞いてたので、先生の顔を見た時はちょっとホッとしたような気持ちになった。

先生は目に涙をためて、詩ちゃんも先生達も頑張ってるけど心拍が戻ってこない、これ以上続けても詩ちゃんを傷つけるだけだから、心臓マッサージをやめて最後の家族の時間を過ごしたほうが良いと思います…みたいなことを言われたと思うけど、正直よく覚えてないんです…

いつもいつも覚悟していた「いつかは…」   お友達のブログもたくさん読んだし最期の場面では何度も涙した。毎日毎日、「後悔したくない」そればかり思って、毎日毎日抱っこした。夜中の2回以外はミルクも吸引も全部全部自分で世話を焼きたかった。

なのにやっぱり現実にこの時が来てしまうと……「ああ、本当にきてしまった…」お別れするのが嫌で嫌でたまらない。信じたくない。でも早く詩ちゃんに会いたい。

先生の言葉に私達夫婦は同意し、部屋に入った。

詩ちゃんは心臓マッサージをされている。

私は詩ちゃんの耳元に「詩ちゃーん!詩ちゃーん! よくがんばったね。」と呼び掛けた。「詩ちゃんえらい子だね。ありがとう。楽しかったね。旅行にも行ったね。」そんなことを叫んでいたように思う。
心マもやめていたのに、詩ちゃんはありったけの力を振り絞り、私達夫婦の声に手を挙げて応えてくれた。誰かの「ああ!手が挙がった!!」という驚きの声で耳元から手に視線を移すと「ママー抱っこー!」みたいなかんじで手が挙がった!その手を握ってたくさんほっぺをすりすりしながら「詩ちゃん、詩ちゃんありがとう…」って何度言ったかわからない。


呼吸器のスイッチが切られ、温かいうちにたくさん抱っこした。パパも…ばあばも…

がんばった。本当によくがんばったね。詩ちゃん。

最後のムンテラの後、お部屋にベビーバスを持ってきてもらい、沐浴をした。 看護師さん達が「私も私もー」とたくさんの手で洗ってくれた。

お湯につかっているうち、詩ちゃんの顔がすごくおだやかになってきた。おひざにチョコンとおすわりしてドライヤーをかけてもらうと気持ち良さそうな顔をした。
可愛く三つ編みしてもらい、着替えた。 たくさんたくさん抱っこしてもらった。こんなに可愛がってもらって幸せ者だなあ。最後二ヶ月、入院を繰り返したけどその分皆さんに可愛がってもらえてよかった。

詩ちゃんをストレッチャーに乗せ、地下の霊安室に降りたら小児科の先生や看護師さんたち、NICUの先生も看護師さんもお別れに来てくれて本当にありがたかった。たくさんたくさんの方に詩ちゃんのおだやかな顔を見てもらえてよかった。私も胸がいっぱいになった。
 詩ちゃんは先生が大好きだった。きっと先生が帰ってくるのを待ってたんですね。と先生とお話した。
  私とパパはみなさんにお礼を言って車に乗った。詩ちゃんを抱っこして助手席に乗った。

3年間本当にお世話になりました。 みなさんさようなら、さようなら…