ヤクザさんの職場事情！？

　面白い記事がありました。

　暴力団排除条例が１日、全国都道府県で出揃った所で、産経新聞が業界トップの山口組組長さんに取材を申し入れ、一問一答という形式で組長さんが応じられた、という物です。


　（上）全国で暴排条例施行「異様な時代が来た」
　（下）芸能界との関係「恩恵受けること一つもない」



　これは、上５ページ・下４ページから成ります。
　なかなか難しい事を仰ってますが、下っ端はともかく、基本的にヤクザさんで上へ上がって行く方というのは、頭がいいんですよ。

　まぁ、この問答で仰ってる言葉も、本当の本音もあれば、世間を誘導するフェイクもあるとは思います。
　しかし、私も実際今まで何人もヤクザ関係の方（抜けられた元ヤクザさんや、親がそうだと言う方も含みますが）とお話する機会があったのですが、やはり、どの方も『人の子』でした。


　では、何故ヤクザ稼業と言う職種が昔からあるのでしょうか。

　『ヤクザなんか無くなってしまえ』と仰る方も含めて、これは我々全体が生み出した世界と言う事情もあると思うんです。


　例えば、夜の街で飲んでいるとします。

　いろんな方が訪れますが、酒が入りますからそりゃあもう、喧嘩沙汰になったりですとか、何かエキサイトして店内で暴れたり、他の客に迷惑をかける方も出てくることでしょう。
　そして、実際同席していたあなたに止められるかと言えば、だいたい腕に自信がありそうな方がこうやって暴れるわけですから、返り討ちに遭うのが関の山です。

　そこで、お店はヤクザさんに電話をして来てもらい、問題を起こす人を連れ去ってもらって事なきを得る、なんて場面は昔はあちらこちらでありましたよね。また、暴れる方もそれを知っているから、なけなしの自制心でそれに気づいて矛を収めたりもしました。
　実際、昔そういったお店で働いていた旧友は、暴れる人を連れ去る為に黒服の軍団がわらわらと集まってくるのを見て感動したそうです。（余りの事に呆然としたようですが）


　では、『ヤクザなんか無くなってしまえ』と叫ぶ方が、それ無しで対策出来るかと言うと、それも難しい。

・暴れないように、全ての人間の心を改めさせる
・力を借りなくて済む様に、周りの人に鍛えてもらう

　何れも無理だと思います。
　人間は、そもそも『自分の個人的都合で周りに影響を与えたがる』と言う性質を持っているからです。大小の差はあったり、自分の中でそれを和らげる術をお持ちの方も見えますが、これはもう、本能と言っていいと思います。


　現に、『ヤクザなんか無くなってしまえ』と叫ぶ、と言う状況自体、本当に深く考えてそう仰る方は見かけほどいらっしゃらないと思われます。多くの人間は他者を見下すのが大好きで、その対象を見つけると喜んで攻撃し、自分は違うから大丈夫と安堵します。もう、小学生か、下手すると幼稚園・保育園に通う頃から日常的に見られる、これも人間の本能です。


　正義の味方が出てくるアニメや戦隊物なんかもそうですよね。

　見ている視聴者はヒーローの側で、『悪いヤツらをやっつけるんだ！！』と、相手の事情などお構い無しに容赦なく排除する。物語ですから、善と悪がはっきり分かれます。だから、やっちゃっていいんだと自分を完全肯定出来るのが、子供にはたまらなく気持ちいいわけですよね。

　ところが、現実では善と悪は、必ずしも明確に分かれてはいません。
　まぁ、もちろんヤクザさんはおおまかに『悪』の側であり、実際犯罪と切っても切れません。ヤクザさん御本人がそう言われ、『お前ら、俺たちみたいにはなるなよ』の様な発言を聞いたのは一再ではありません。

　しかし、排除を叫ぶ方の多くは、ただ単に御自分がヒーローの側だと主張したいだけなのではないだろうか。攻撃対象を見つけてフルボッコにしたいだけなのではないだろうか。と、思わないでもないのです。


　例えば、野球場で巨人阪神戦をやっていたとします。

　巨人ファン側スタンドで、一人の阪神ファンが「打てーーー！！」と叫んだら、『悪』としてフルボッコ。
　阪神ファン側スタンドで、一人の巨人ファンが「三振じゃーーー！！」と叫んだら、やっぱりフルボッコ。


　そんなもんじゃないですかね。┐(´ー｀)┌



　ヤクザでもない、はぐれ者のチンピラが暴れて、本職のヤクザさんに注意されるなんて場面もままあります（そのままスカウトしちゃう事もありますが）。最初の記事でそういう抑止力についても述べられていますが、実際昔からその話題はありました。


　もし、あなたが夜の街、チンピラに絡まれてどうしようも無くなった時に、ヤクザさんが助けてくれたら。

　あなたはヤクザさんにちゃんと頭を下げて、お礼が言えるでしょうか？


「おかげで助かりました、ありがとうございます」
「おめぇらヤクザに関わりたくねぇんだ、あばよ！！」




　さあ、どっち？







※当記事はヤクザ社会を擁護する趣旨ではなく、それに向けられる視点に疑義を投げかける物です









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