山田里奈オフィシャルブログ∞

文学座 山田里奈本人によるブログです。

加藤武さん。

2015年10月07日 00時34分38秒 | Weblog
昨日は、加藤武さんの劇団葬でした。

帰宅後、ブログを更新しようと何時間もかけて文章を書きましたが…長くなりすぎてしまって更新できず。

なので、改めて。

私が、文学座の初舞台で、一番最初に台詞を交わしたのが【加藤武さん】でした。

幕開き、二人だけのシーン。

開演前の真っ暗な舞台袖で、歯をガチガチ鳴らしながらスタンバイしていると、加藤さんが側にそっと来てくださり、とあるアドバイスを下さいました。

目から鱗の、魔法の言葉。

それ以来、舞台が怖いと感じるときには、その魔法の言葉を、おまじないのように思い出しています。

体調を崩された先輩のピンチヒッターとして
、旅公演先に呼ばれ、急遽、代役を務めることになった、嘘のような怒濤の初舞台(それも2日間だけの)。

朝、新幹線の中で必死に台詞を覚えながら、三重県へと向かい、駅から劇場へ直行、午後から出演者の皆さんと合流し、読み合わせ&動きを教えて頂き…その日の夕方には、舞台に立っていました。

なんて初舞台だー!とか考えている余裕もなく、とにかく必死で。

文学座の先輩方の台詞のキャッチボールの凄さを、初めて肌で感じて、舞台上で震えました。

その日の舞台のことは、今でも鮮明に覚えています。

2日間だけの代役をなんとかやり遂げ、次の代役の方にバトンタッチし、私は、その先も旅公演の続く皆さんと別れて、一足お先に帰京することに。

朝、ホテルのロビーを出ようとした時、加藤さんがお部屋から降りて来てくださり…画像のテディベアをプレゼントしてくださいました。

それも、直筆メッセージカードまで添えられていて。

他に見送りに来てくださっていた先輩方も「お店開いてました?!いつの間に用意されたんですか?!」とびっくり。

私も、びっくりしました。

魔法の言葉だけでなく、こんな素敵な贈り物まで!

それ以来、劇団でお会いすると、声を掛けて下さり、年賀状のやり取りもさせて頂くようになりました。

2001年から、今年、2015年まで、毎年送って下さった直筆の年賀状。

力強い文字で書かれた言葉。

葉書からパワーが溢れているような…そんな素敵な年賀状から、毎年、勝手にパワーを頂いておりました。

それが、来年からは届かなくなるなんてて…嘘のようです。

昨日の劇団葬で献花をしながらも、亡くなられたという実感がわかないままでした。

加藤さんから頂いた魔法の言葉、お葉書、テディベア…これからも大切にします。

加藤さんの存在が、私が劇団に居続ける意味のひとつでもあったので、急にそれを失い、正直、心がポッカリしています。

これからも、加藤さんから頂いた魔法の言葉を思い出し、怖いときには、それを呟きながら精進します。

宝物を、ありがとうございました。
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