『ウソツキ!ゴクオーくん』を無料期間につき読了した。
振り返ればざっと10年前、当ブログでも触れており、以後、飛び飛びに
「コロコロオンライン」で読んでいた時期もある。
この度はじめて、一続きの形で読んで、今は世間の皆様の解説考察を読みふけっている。
実は自分、本作を繰り返して読めないのだ。
以下、理由の説明。
1.細かすぎる「ミステリとしての高品質」
主人公のゴクオーと“犯人”のコンゲームは毎回「読者への挑戦状」を挟めるほどのフェアプレイを極めている。
小さな1コマの隅まで伏線が仕込まれていると知る度に、いっそ戦慄した。
説明するだけでネタバレになるのが激しいジレンマ。
2.鋭すぎる「道徳論」
トラブル当事者は基本的に小学生。
身につまされるという表現では足りないくらい、生々しい状況が繰り出される。
事件解決メデタシメデタシで終わる事は寧ろ少なく、本作を読む人によっては、心の傷をえぐられるダメージを負う一面もある事は述べておきたい。
3.熱すぎる「登場人物たちの成長」
第1話から最後まで、いわゆる「箸休め」のエピソードは無い。
一見独立している事件たちは、実は密接につながっている。
登場人物たちは、ある事件で加害者だったのが、後に別件で被害者になるなど、一人格として非常に丁寧に描かれる。
ゴクオーたち異界の者も、その心の持ちようを変えていく。
季節や行事も着実に進み、不可逆。ループ的現象は基本的に起こらない。
4.眩しすぎる「人間賛歌」
異界の者たちは、永遠に在る超常の存在。
命の限りある私たち人間とは、根本的に価値観が異なる。
本来なら人間と関わらない立場の彼らは、(主にヒロインの天子を巡って)対立し、そのバトルが物語の縦糸として機能する。
そして導かれる答えはいつも、「人間の可能性」。
善とは?悪とは?自分とは?といった哲学的なテーマに挑む作者の度量に圧倒されてしまった。
……と色々と書いてみたが。
つまりは私が気軽に読めないというだけなので、未読の方は一読してみてほしい。
ウソ偽りなく傑作ですから。
それでは。また次回。