もうひと月以上前になりますが、
久しぶりにお芝居を観に行ってきました。
野田地図の「Q: A Night At The Kabuki」です!
今回は2019年初演だった作品の再演です。
初演も観に行きました。
このとき、とにかくチケットが取れなくて、
何度も抽選に申し込んで、最後の立見が当選してようやく観に行けました。
平日だったらもうちょっと楽に取れたんだろうけど。
とにかく大阪新歌舞伎座の3階席のいちばん後ろでホントに立見。
腰がつからったのを覚えています。
でも、そのつらさを遥かに超えるほど感動したのです。
で、今回再演するとのことでチケットを申し込み、無事入手できましたヨカターヨ・゚・(ノД`)・゚・
今回の席はこちら↓
舞台からやや下手よりの4列目!
良席♪
さて、ここからはネタバレです。
自分の主観で書いているのと観てから時間が経ってしまっているので、
少し違うかも知れませんがそこはお許しを。
物語は、身なりがボロボロの男(上川隆也)が帰船に乗ることができず置き去りにされるところから始まります。
自分は平瑯壬生(たいらのろうみお)だ!
と名乗るが、聞き入れられず船に乗ることができない。
そこにとある男(竹中直人)が瑯壬生が愛する人に手紙を渡すと言う。
ただ、手紙は検閲があり無理なため、言葉で伝えることに。
一言一句全て必ず伝えると約束し、船は出発した。
次のシーンでは男は約束どおり女性(松たか子)の元へ。
しかし、言葉の手紙を預かってから30年も経っていた…。
女性は源愁里愛(みなもとのじゅりえ)。
なぜ30年も手紙は届かなかったのか…。
シーンは変わって
源氏と平家の時代、
源氏は名を捨テロリスト、平家は名を拾イズムを掲げて政権を争っていた。
ある日若き源愁里愛(広瀬すず)は平家で行われていたクリスマスパーティーに忍び込み、若き平瑯壬生と出会う。
敵同士の家であるにもかかわらず、2人はすぐに恋に落ちる。
愁里愛は瑯壬生に「名前を捨てて」と伝え2人は結婚をする。
しかし瑯壬生は友人である平水銀を源氏に殺されたことがきっかけで愁里愛のいとこである源義仲を殺してしまう。
物語はシェークスピア作「ロミオとジュリエット」そのものです。
この時の2人はそれからの愁里愛(松たか子)とそれからの瑯壬生(上川隆也)の回想。
それからの愁里愛はこれから起こること(ロミオとジュリエットの物語の結末)を変えようと若い2人に介入しいろいろ画策する。
計画通り心中したと思われた瑯壬生と愁里愛は生き延びるが、
おめおめと生き延びたことを恥として源氏も平家もそれぞれ2人は死んだとしていて、
瑯壬生も愁里愛も互いが生きていることを知らない。
瑯壬生は「平のへいへい」と名を変え戦に駆り出され、愁里愛は尼寺へ行くことになる。
ここからは瑯壬生と愁里愛は若い志尊淳と広瀬すずから上川隆也と松たか子が演じている。
戦で傷ついた人を治療する野戦病院で、瑯壬生と愁里愛は再び出会うこととなるが、
瑯壬生は源義仲の恋人であった巴御前に命を狙われていたため、
瑯壬生の正体を明かすことができなかった。
瑯壬生の顔を知らない巴御前は傷ついた戦士ひとりひとりの首に刀を向け、愁里愛に瑯壬生かを問う。
瑯壬生の順番が来たとき、愁里愛は「違います!」と言い、瑯壬生は助かったが、戦の恐怖からか失明してしまう。
そんな時に源頼朝が征夷大将軍となり戦が終わったと連絡が入り、ここからは人を殺すことは罪になることから瑯壬生は命を狙われることはなくなった。
しかし愁里愛は一瞬会えただけで瑯壬生とは再び離れることとなり、
敗戦した平家の戦士はズベリアへ送られ、過酷な強制労働を強いられる。
寒さと飢えときつい労働により次々に人が死んでいくなか、
平家の仲間の戦士が自分が助かるために強制労働させている源氏の男に「あいつは瑯壬生だ!」と瑯壬生の正体をバラすが、
すでに戦は終わっていて、いまさら瑯壬生などとわかってもどうでもよいと一蹴される。
平家の戦士たちが絶望しているときに、源頼朝が亡くなったことによる恩赦でズベリアの強制労働者が帰国できることとなった。
恩赦で名前を読み上げられた者が次々と帰船に乗り込むなか、瑯壬生の名前は読み上げられなかった。
平のへいへいは実在せず、瑯壬生はズベリアには来ていない。
名を捨てた瑯壬生はひとりズベリアに残されることとなってしまった…。
瑯壬生が男に託した言葉の手紙、
男が30年も伝えるべきか迷っていた愁里愛への手紙、
「私はもはやあなたを愛していない。」
「私には寒さと飢えでもう愛する力がない。」
「どうかもう一度あなたを愛する力をください。」
「もう二度と私に名前を捨てろと言わないでください。」
「私を無名戦士として死なせないでください。」
「私には瑯壬生という名前があった。」
「どうか私のことを忘れないでください。」
この手紙を聴いた愁里愛はむしろこれは愛の手紙だと言う。
たった5日と数秒しか会っていない自分のことを最後まで忘れなかったから、と。
手紙を受け取った愁里愛のそばで、
若い愁里愛にかけ寄り抱きしめる若い瑯壬生。
それがそれからの愁里愛に入れ変わり、それからの瑯壬生が愁里愛を抱きしめたその時…
瑯壬生は崩れ落ちる。
そして、屍となった瑯壬生はズベリアの地で名もなき屍の山に捨てられる…
…もう号泣ですよ、このラスト。
私のつたない文章でわかってもらえないかもですが、ほんとに切ない、胸が痛い、つらいお話しでした。
初演の時より胸が痛かったのはいま、ロシアがウクライナに侵攻しているまさにその時期だからだろう。
ズベリア=シベリア抑留のことは遠い昔のことのように思えていたのが、再演では隣に感じるようになった。
時代は源氏と平家だけど、現代にまで争いの続きとは…をからませて何も生まない、ただ奪うだけ…という現実を突きつけるところはすごすぎる。
そして、ストーリーに絡んでくるQUEENの曲が悲しくて美しい。
アルバム「オペラ座の夜」の曲が使われています。
お芝居のタイトルがオペラ座が歌舞伎座になっただけでほぼそのまんまですね。
メインの曲は「LOVE OF MY LIFE」です。
※和訳している方のブログ引用させていただきました。
和訳を知るとこのお芝居に奥行きがでました。
他にも瑯壬生が源義仲を殺したシーンでは
「ボヘミアンラプソディー」が流れて、
「ママ、僕、人を殺してしまったんだ」の歌詞がリンクします。
タイトルのQがQUEEN以外になにか意味があるのかはまだ謎ですが、
歌舞伎はあるときピン!ときました。
歌舞伎座で公演しているからですよね?
いやいや、それ以外にも。
実は自分のブログを見て思い出したんですよ。
屋久島へ行った時に立ち寄った薩摩硫黄島、そこで見た銅像。
「俊寛」!
この人、島流しにされたんだけど、恩赦で他の人は戻れたのに、この人だけ罪をゆるされず取り残されたって話だった。
それを歌舞伎にして、薩摩硫黄島で上演してたらしいってブログで書いてたのよね。
なるほどー!
最初のシーンが歌舞伎モチーフだったんだ。
ほんとうに良い作品でした。
つぎ再演しても観に行きたいです。