空の色

Ricaの気まま日記と詩の世界

『ドライブ・マイ・カー』凱旋舞台挨拶レビュー(バレ無し)

2022-04-24 22:41:53 | ドラマ・映画(ネタバレ有もあり)

『ドライブ・マイ・カー』凱旋舞台挨拶レビュー(バレ無し)

・第94回アカデミー賞
 国際長編映画賞 受賞
・第74回カンヌ国際映画祭
 脚本賞受賞等 4冠 
                他多数…

監督・脚本:濱口 竜介
原作:村上 春樹
出演:

  • 家福 悠介:西島 秀俊
  • 渡利 みさき:三浦 透子
  • 家福 音:霧島 れいか
  • 高槻 耕史:岡田 将生

                他…

 


[あらすじ]
舞台演出家・俳優である家福悠介は脚本家で妻の音と
物質的にも精神的にも満ち足りた日々を送っている。

夫妻には過去に幼い娘を失った経験があり、
大変なショックを受けた夫妻はそれぞれ、
悠介はテレビの仕事から舞台に戻り、
音は女優を辞めてしまった。

そして、その頃から音は不思議な物語を語り始める…。

それは夫妻の営みの後に時折現れるもので、
突然、音が紡ぎ出す言葉を悠介が記憶し、
翌日、記憶が全く無いと言う音が聞き取ることで
物語としての形を成していくのだった。
やがてそれが脚本家としての音のルーティンとなる。

以降も子供をもうけることはなかったが、
音が悠介の舞台を観に行ったり、
新しいドラマのキャストを悠介に紹介したり、
互いの仕事を尊重し合い、良好な関係が続いている。

ある時、出掛ける悠介を玄関先で見送る音は
「今日、帰ったら話せる?」と、神妙な面持ちで語り掛けた。
その場では笑顔で了承する悠介だったが
音を避けるようにわざと帰宅時間を遅らせてしまう。

そして、夜遅く帰宅した悠介は真っ暗なリビングで
ひとり床に倒れた音の姿を発見する…。
声をかけるが既に意識はなく、
力なく救急車を呼ぶ悠介の声だけが部屋に響く…。

突然の音の死で悲しみに暮れる悠介は
彼女が胸の内に秘めていたものを
二度と知ることが出来なくなってしまった。

しかし、音が話し合いたかったこととは
悠介には心当たりがあるようで…
やがて彼は罪の意識に押し潰されていく。
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[作品レビュー]
全体的に穏やかな時間の流れと
車窓からの風景が美しい作品だと感じました。
劇中に登場する赤いサーブがとても印象的で、
タイトル通り車内のシーンも多いです。

上映時間が3時間ほどと長いのですが、
時間の長さを感じられないほど引き込まれていきます。
私自身は今回が2回目の鑑賞なのですが
それでも結末まであっという間でした。

特徴的なのは、劇中で悠介が演出・出演している舞台です。
#私は普段、舞台を観に行くことは無いので、
他の作品はわからないのですが(^^;

まず、出演者の国籍が人それぞれです。
なのでセリフが全編多言語で構成されていて、
舞台上のスクリーンに字幕が表示されながら
物語が進行していくのが大変興味深かったです。

一見、解りづらいように感じたんですが、
出身国の母国語が違うのは当たり前なのか、と
考えると不思議ではない気もするし、
言葉では伝わらないからこそ、相手を思い寄り添えるのか?
なんて、深いテーマがあるのかしら。

舞台を作り上げていく悠介の演出方法も独特です。
何度も講義を受けるように席に座って本読みを繰り返し、
セリフも棒読みを指定されます。
役者たちはいつ舞台稽古が始まるのかヤキモキしますよね。

観ている方もなんとも不思議な気持ちですが、
そこには悠介の考えがあってのようです。
悠介がクルマの中でセリフを覚える工程も同じです。

クルマの運転が好きな悠介は
音がセリフを吹き込んだカセットテープを聴きながら
自身のセリフ部分を暗唱するのが日課です。
クルマを移動手段としてではなく
プライベートな空間として利用するような感じで。
私もクルマの運転は好きなのでそんな風に感じました(^^)


さて、物語の核ですが、
悠介と音との間には一見円満な夫婦関係の陰に
その関係を揺るがすような秘密が潜んでいます。

話し合うことで今の関係が壊れてしまうなら、
真実から目を背けたまま今の関係を維持する。
悠介の選択は波風を立たせないものでした。
そっちの方が気持ち的には楽だなぁ、とは思います。

ただし、それはこれからも音が存在するのが前提。
話し合いを避けた結果、悠介は音を助けることが出来ませんでした。

自身の小さな恐怖心から最愛の人を失ってしまった罪悪感で
「自分が殺したのではないか」と悠介は苦しみます。
彼女は向き合おうとしたのに、自分はと…。

長い間一緒にいるからこそ、難しい問題なのかも…。
まさか、急に亡くなるなんて思っていないから、
こんな展開切なすぎますよね…

そして、悠介は音が亡くなった後に
自分ではない第3者によって語られた音の最後の物語から
音が心に秘めていた思いを間接的に知ることになります。

永遠続く「ああすればよかった」、
「こうすればよかった」にずっと苛まれる…。
自身が同じような境遇に置かれたら?
想像するだけで心が締め付けられます。

大きな悲しみと苦しみを抱えながらこの先も
生きていかなければならない、
そんな悠介とワーニャ伯父さんが重なります。

この先どうやって生きていったらいいのか…
二人が再生の一歩を踏み出す瞬間がとても印象的でした。
ラストシーンは少し展開が読めなかったですけど、
大切にしてくれそうだったから譲ったのかしら。

どんなに絶望的な状況でも人は今を生きていかなければならない、
一筋の光を求めて前へ踏み出す人の強さを感じさせる作品です。
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[舞台挨拶]
かなり久しぶりに西島さん出演作品の舞台挨拶に
参加することが出来ました~!
席は舞台から割と離れてはいましたが、
西島さんのお姿を拝見できて良かったです♪

舞台挨拶前にMCの方が、ゲストが来るまでは
写真撮影を許可して下さって、
貴重なステージの撮影をすることが出来ました(^^)

その後、会場内に向かって複数回観た方、初見の方、
双方を挙手で確認されたところ、
私の感覚では複数回観た方の方が多かったように思います。

そして舞台挨拶が始まると、濱口監督、三浦さん、西島さん、岡田さん、
霧島さんの順で並ばれました。
舞台挨拶は終始和やかな雰囲気で進行していきました。

西島さんは黒っぽいスーツに白いワイシャツでした(^^)
(後ほどニュースを見たらチャコールグレイに
細いストライプの入ったスーツでした)

冒頭の挨拶で西島さんは2021年8月公開から
これまでロングランしていることに一スタッフとして
とても嬉しいと仰っていました。
気取らない素敵なコメントですよね(^^)

そんな作品作りの中で西島さんは
「現場がいい雰囲気で楽しくて、
こうして舞台挨拶で集まれるのも嬉しくて、
願わくば時を戻してあの頃(制作時)に戻りたい」と
語るほど思い出深い作品だったようです。

また、この日の時点で90以上もの賞を受賞し、
興行収入も10億円を突破したそうですね!
濱口監督は「普段、自分が作るものが
こんな額になると考えて作ってないので驚いている」
と仰ってました。


お仕事の都合でアカデミー賞には
参加されなかった三浦さんはTVで受賞の様子を観て
「家族がTVに出る私を観て喜ぶような感覚」だったようで、
とても誇らしかったそうです(^^)

現地で受賞を知った西島さんたちは
監督含め男子勢で抱き合って喜び、
それを微笑ましくご覧になりながら
霧島さんはその後方でぴょんぴょん飛び跳ねて
喜びを表現してたそうで。

受賞に対し、西島さんは
「観客の皆さんの力のおかげで
作品が世界に広がっていった」と
これまた心がほっこりするようなコントを(^^)
それほど素敵な作品だからこそ、ですよね♪

そして、なんと!あの!
米アカデミー賞のオスカー像が登場しました~!!

授賞式出席組は現地でオスカー像を手に取ったようで
どなたも思ったより重い、と仰ってました。
この時初めてオスカー像を手に取る三浦さんは
あまりにも「重い!」と言われ過ぎてしまい、
「皆が重いと言うのでどれくらいかと思ったが、
想像よりは重くなかった」と仰って
西島さんらは笑いながら、「重いって!」と
言っているようでした(^^)

私の席からは細かいディテールまではわかりませんでしたが、
とってもピカピカした眩いトロフィーでしたよ!
まさか、この目で本物のオスカー像が
見れると思っていなかったのでとても感動しました!
なんだか、ありがたい気持ちになりますね~(^^)


さて、米アカデミー賞では
濱口監督含め、西島さんら出演者皆さんは
現地の雰囲気をとても楽しまれたようでした。
有名な監督や俳優の皆さんと写真撮影をしたり、
いろいろお話もされたようで!

西島さんは特に緊張することもなく
作り手が集まってそれぞれがお互いを称え合う、
居心地の良い空間だったようですね。
あんなにたくさんのビッグネームが集う中で
緊張より楽しいが上回るなんて根っからの映画好きですね♪

そして、舞台挨拶の最後にはゲストのみなさんが
「これからもこの作品が浸透していくとうれしい」
と声を揃えられました。


その後、マスコミの方のフォトセッション等が始まりましたが、
私はこれまで見たことないくらいの人数でした!
アカデミー賞受賞の影響力すごい!


凱旋舞台挨拶ではちょっとした仕掛けがあって、
私たち観客も拍手のお手伝いをしてきました♪

「アカデミー賞受賞、おめでとうございます!」の
MCの方の掛け声の後、観客の大きな拍手と共に
久々に使うという、キャノン砲がさく裂し、
金・銀テープが会場に発射されました!

キラキラと客席上を舞っていて
とてもキレイな演出でした~♪
しかも、テープはお土産に持ち帰って良いとのことで
少しだけ、お祝いのお裾分けを頂くことが出来ました(^^)
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