空の色

Ricaの気まま日記と詩の世界

『1リットルの涙』最終話:レビュー

2008-09-12 01:46:01 | ドラマ・映画(ネタバレ有もあり)
『1リットルの涙』第11話

出演:
  • 池内 亜也:沢尻 エリカ
  • 池内 潮香:薬師丸 ひろ子
  • 池内 瑞生:陣内 孝則
  • 池内 亜湖:成海 瑠子
  • 池内 弘樹:真田 佑馬
  • 池内 理加:三好 杏依
  • 麻生 遥斗:錦戸 亮
                他…
    [あらすじ]
    11月14日。
    病院の屋上で一人、詩を書き綴る亜也。
    そこへ潮香が高野を連れてやってくる。
    高野は亜也の書いた詩を"神経難病ふれあいの会"が発行する
    "かけはし"という会報に載せるために詩の受け取りにきたのだ。
    今月号には亜也の書いた詩が載せられている。
    それを見てにっこりと微笑む亜也。

    そんな高野と結婚したまどかは現在妊娠8ヶ月だという。
    確実に時が流れている。
    亜也はゆっくりと空を見上げた。
    そこへ瑞生たちが洗いたての洗濯物を持ってやってくる。

    「家族みんなで洗濯物を干した
     空が青くてキレイだった
     風は少し冷たかったけど
     気持ちよかった
     冬のにおいがした」

    その頃、遥斗は自室で医学部の論文を書いていた。
    机の上にはあの"かけはし"が置かれている。
    引き出しにはあの時亜也に渡された手紙とイルカのストラップ。
    手紙の言葉が遥斗の脳裏によみがえる。
    そして、また真っ直ぐに論文に向かう遥斗。
    そんな遥斗の姿を何もいわずに見守る芳文。
    遥斗は芳文に心を閉ざしてしまっていた。

    亜也は二十歳になっていた。
    病気になって5年の月日が過ぎ、今では終日病院で過ごす日々。
    少しずつ自分に出来ることが減っていくことを痛感していた。
    今、自分が出来ること…。
    遥斗に貰った植木鉢に水をやるのも一苦労だ。
    そんな亜也はもう、健康だった昔の自分を思い出せない…。

    水野は脊髄小脳変性症について研究発表をしていた。
    初期にはわずかながら効果は見られるものの、
    それは治療と言うには程遠く、今後の見通しも暗い。
    亜也の病気を治すためには長い月日の研究が必要なのだ。
    そんな現実に水野は落胆を隠せなかった。
    これでは亜也には間に合わない…と。

    午後、亜也の病室は賑やかだった。
    家族でお弁当を持ち寄り、亜也と一緒にお昼ご飯を食べている。
    弘樹も中学生になり髪の毛にワックスを付けたり、
    亜湖に彼女ができたこともバラされ、瑞生は弘樹に早すぎると騒ぎ立てる。
    理加は遠足で紅葉を描いた絵を持ってきた。
    時は流れて、家族はみんな成長している。
    そして亜湖は絵画で審査員特別賞を取り、東高に飾られるのだと言う。
    そんな話を聞いた亜也がポツリともらす。
    「見て…みたいな…。行き…たいな…、東…高…」
    亜也を見つめる瑞生と潮香。

    家族はさっそく亜也を東高に連れて行く。
    そこはかつて亜也がクラスメイトと過ごした場所。
    懐かしく見つめる亜也の目に映る在校生達の姿。
    それと同時に走馬灯のように駆け巡る思い出の数々。
    合格発表や部活、教室での何気ない会話たち。
    みんなキラキラしていた。
    ある教室を通り過ぎると、亜也が指揮をつとめた
    合掌コンクールの歌を練習している。

    東高の廊下に絵は飾られていた。
    亜湖の絵には元気だった頃の亜也と家族が描かれていた。
    とても上手に描かれた油絵には
    2本の足でしっかりと地を踏み、東高の制服に包まれた自分の姿。
    「来てよかった、思い出したから。
     15歳の私はココで確かに生きていた」

    病室では遥斗に貰った植木鉢にも花が咲き始めていた。
    そんな日々の小さな変化に昨日が今日と繋がっている喜びを感じる。
    しかし、それと同時に亜也の症状も進んでいるのだった。
    植木鉢に水をあげようとベッドを降りるも、うまく動けずに床に座り込んでしまう。
    そこへやってくる水野と潮香。
    どうしたのかと心配する潮香と水野。
    すると、涙ぐんで亜也は「お母さん、もう歩けない…」と呟く。
    それでも頑張ろうと潮香は亜也を励ます。
    日記には「お母さんわたし何のために生きてるの」と書かれている。
    何も出来なくなっていくことに生きている意味を無くしていく亜也。
    亜也の身体は想像以上に弱っていたのだ。

    水野は潮香と瑞生を診察室に呼び、
    亜也が運動能力、体力の低下が激しく、急に危険な状態になる恐れもあると言い、
    今後は家族がいつでも直ぐに連絡が取れるようにしておいて欲しいと話す。
    ついに恐れていた事態がやってきたと、動揺し目を合わせる潮香と瑞生。

    診察室を後にした瑞生が病院の外へ出ると、そこに遥斗がやってくる。
    瑞生が元気かと尋ねるも遥斗の表情は暗い。
    もう1年。あの手紙を渡されて1年経っていたのだ。
    そんな遥斗に瑞生は本当に十分すぎるほど感謝していると言う。
    そして、これからは自分の人生をきちんと生きてくれと続けた。

    一方、潮香は病室に戻る途中、芳文と会った。
    遥斗の事を聞くと、自分の殻に閉じこもって出てこず、
    昔に戻ってしまったようだとため息をついた。
    そして、亜也の事を聞かれた潮香。
    日に日に症状が進む中、何もしてやれないことを悔やんでいると話すと、
    芳文は長男を事故で亡くしたことを話し出した。
    太陽みたいに周りを明るくしてくれるような、自慢の息子。
    突然の事故で別れの言葉すらいう暇も無かったと。
    そして、今、亜也との時間を大切にして欲しいと潮香に伝えた。

    病室に潮香が戻ると、亜也は懸命に詩を書いていた。
    その手は震えている。
    頑張り過ぎないようにと、言うも亜也は書くことをやめない。
    そして目には涙をためて、潮香に言うのだった。
    「怖いの…。今、思ってる気持ち、書かなかったら
    明日には、忘れて消えてなくなっちゃうでしょ
    日記は今私がちゃんと生きてるって証だから
    亜也には書くことがあるって、言ってくれたでしょ
    お母さんが私の生きる意味見つけてくれた」
    言葉ひとつひとつを懸命に声に出して伝える亜也。
    そんな亜也の姿を見てただただ亜也の肩をさする潮香。

    遥斗が病院を訪れると、
    大学病院では新しい白衣姿の学生達が亜也に挨拶をしていた。
    これから臨床実習に入るこの大学の5年生達だ。
    そんな亜也を見て声をかけられずに見守る遥斗。
    「こん…、に…、ちは」
    ぎこちない挨拶しかできない亜也を見て、
    医学生は「ちょっと難しかったかな、ごめんね」と言う。

    立ち去ろうとする学生達にむかって遥斗は
    「あの…、もっとちゃんと勉強して下さい」と彼らを呼び止める。
    「アイツ、身体うまく動かせないけど、上手く離せないけど、幼稚園児じゃありません。
     頭の中ははあなたと一緒です。ちゃんとわかりますから」
    きっぱりと伝えるのだった。
    そして亜也が去っていくのをじっと見つめる遥斗。
    亜湖はそんな遥斗の姿を見ていた。

    水野は相変わらず研究室に篭り、研究を進めていた。
    病室では亜也が食事の途中、廊下を通る看護婦達が水野が研究熱心な様子を見て、
    病院を変わるかもしれないと噂したのを聞きいて驚き、
    食事を喉に詰まらせ、咽てしまう。
    病室に来た亜湖が慌てて水野を呼ぶも亜也は危険な状態に。
    食べ物を喉に詰まらせたことがきっかけなだけに亜湖は驚きを隠せない。
    亜也の身体はもうそこまで衰弱していたのだ。
    潮香がちょっと食べ物を詰まらせただけだから、大丈夫だと励ます。
    「みんなの泣き顔が涙でぼやけた
     きっと私はこんな些細なことで死ぬのだろう」
    亜也の目にうっすらと涙がにじんでいた。

    病院では亜也宛てに葉書が届いていた。
    水野が葉書を病室に持っていくと、亜也は詩を書きながらの姿勢でつっぷしている。
    慌てて声をかけるも亜也はぐっすりと眠っていた。
    安心し、亜也の手からゆっくりとペンを取り、肩にブランケットをかける水野。
    ふと葉書の内容を見た水野はその足で遥斗に会いに行く。

    遥斗を診察室に呼んだ水野は最近、亜也と会ってないのかと聞くと、
    人の役に立つ仕事がしたいと言いながらも何もわかってやれなかったと俯き、
    何も出来ない自分を責めて亜也に会う事が出来ない遥斗。

    水野は医師を志していた頃の話をはじめる。
    自分なら未知の病気を治すことが出来るかもしれないと思い、
    医者を志すも、自分も何もわかってなかったと漏らす。
    脊髄小脳変性症の完治が難しいことで、挫折しかけていたこと、
    けれど、患者が諦めていないのに自分が諦めるわけには行かないと。
    そして亜也宛ての葉書を遥斗に見せた。
    葉書を読んだ遥斗はいつか亜也に言った言葉を思い出す。
    「動物も植物も生まれた時から自分の寿命を知ってんだよな。
     人間だけだよ。欲張って余分に生きようとするのは」

    その夜、亜也が眠れないでいると、遥斗が病室にやってきた。
    亜也が驚いて水野が来たのかと思い、「せんせ…?」と声をかけると。
    カーテン越しに話しかける遥斗。
    亜也が"かけはし"に日記の詩を載せていることや
    詩を読んだ中学生からから葉書が届いたことを話した。
    そして水野に受け取った葉書を取り出し、読み聞かせる。

    手紙の主は亜也と同じ病気で苦しんでいた。
    クラスメイトの好奇の目、彼氏が離れてしまったこと、
    そして、そんな自分が嫌で母に八つ当たりをしてしまったこと。
    しかし、亜也の詩を読み、辛いのは自分だけじゃないと思い始め、
    亜也のように強くなりたい、辛くて泣いてもその分前に進みたい、
    亜也のおかげでそう思うようになったと書かれていた。

    「お前と初めて会った頃さ、俺、
     人が死のうが生きようがどうでもいいと思ってた。
     けど、今は違う。
     お前には欲張ってでも無理にでもずって生きてて欲しい。
     だから、俺…」
    言葉が詰まる遥斗。

    すると、カーテンの隙間から亜也が手を伸ばしている。
    遥斗はカーテンを開いて亜也に手紙を渡す。
    亜也は歩けなくなったけれど、人の役に立てたと話す。
    自分が誰かの役に立てたことに喜び、涙を流す亜也。
    そんな亜也を見つめ、涙が止まらない遥斗。
    亜也は葉書をきゅっと握り締めた。

    そしてクリスマスの時期がやってくる。
    少し早いが、病院にもツリーが飾られている。
    亜也はまだ詩を書き続けていた。
    ふと、ペンが手元から転がってしまった。
    しかし、床にペンを落としてしまっても拾うことすら出来ない。
    病室を訪れた水野が落としたペンを拾って渡した。

    亜也は水野に他の病院にいくのかと尋ねる。
    看護婦達の噂話を気にしていたのだ。
    水野が違う、どうしてかと聞くと、亜也はずっとここにいるのと尋ねる。
    水野がずっとこの病院にいると答えると、亜也はほっとして微笑んだ。
    自分がよくならないから見捨てられるのかと思ったという。
    すると水野は絶対に見捨てない、亜也は自分の患者だから。
    絶対に諦めたりはしない、だから、亜也にも諦めてはいけないと、
    力強く言うのだった。

    亜也はそんな水野にもしもの時は病気の研究のために
    自分の身体を使って欲しいと、献体を申し出るのだった。
    水野や同じ病気の人の役に立ちたいと瞳を輝かせる亜也に言葉が出ない水野。
    「まだ今はこんなに元気なのだからそんな考えたりしては絶対いけないよ」
    搾り出すように言うのが精一杯だった。
    新しい治療法が見つからない今、彼もまた焦りを感じていた。

    「見捨てないよと言うひとことがどんなに心強いか。
     先生ありがとう。
     私を見捨てないでくれて」

    そして病室にも亜也が小さなツリーを持ってきた。
    クリスマスプレゼントは何が言いかと聞くと、亜也はうちに帰りたいと言った。
    さっそく瑞生と潮香が水野に相談すると、
    危険な状態のため、本来なら許可できないが、今回だけは1日だけ許可すると言う。
    そして、亜也に献体を申し出られたことを潮香と瑞生に話すと、
    言葉無く、涙を流す二人。
    二人は亜也の最後が近いことを感じた。
    そして、水野は今の亜也の要望を全力でかなえてあげようと提案した。
    亜也に生きていることを実感してもらうために許可したのだ。
    水野は病院で待機して、万が一に備えると話し、
    亜也は1日だけ家に帰れることになった。

    池内家では瑞生と潮香がみんなの前で亜也の身体がよくないことを話した。
    心配そうに聞く亜湖や弘樹。
    「次に入院する時はしばらく帰れないかもしれない、
    今度帰ってくるときは…」、と言葉を詰まらせ、涙で話が途切れる瑞生と潮香。
    亜湖がそんな二人に精一杯明るく亜也を迎えよう、と元気付ける。
    家族は亜也が今度帰ってくるのが最後なのだと覚悟をしたのだった。

    そして、亜也を載せて瑞生と潮香が自宅へ帰ってきた。
    明るく迎える亜湖たち。
    うちでは少しはやめのクリスマスパーティーが開かれていた。
    ひとりひとりプレゼントを渡す潮香。
    亜湖には茶色のベロアのワンピース、弘樹にはPUMAのスポーツバッグ、理加にはたくさんの絵の具。
    そして、それは亜也からのプレゼントだと話す潮香。
    亜也が家族のために選んだのだ。

    亜也から家族への手紙を読み上げる潮香。
    亜湖や弘樹、理加へひとりひとりへの「ごめんね」が綴られていた。
    そして最後にいつもありがとう、ずっとお母さんを取っちゃってごめんね、と書かれていた。
    ゆっくりと力なく微笑む亜也。
    そして華やかにクラッカー音と共にパーティーは始まるのだった。
    久しぶりに亜也の顔に満面の笑顔が戻る。

    翌朝、学校へ向かう亜湖は弘樹や理加を呼び止める。
    亜湖は学校に行く前にある提案をする。
    それは亜也と一緒に家族写真をとることだった。
    「ずっとあるからね、亜也ネェ。
    亜也ネェの帰ってくる場所。
    これからもかわらないで、ここにずっとあるから」
    涙をこらえきれない瑞生。
    「アリガト、みんな」亜湖の気持ちに感謝する亜也。
    家族の大事な瞬間を切り取るシャッターの音がする。
    昔の写真とは違うけれど、家族が並んだ写真。

    「胸に手を当てる
    どきどきおとがする
    うれしいな
    あたしは生きている」

    ある日、高野が池内家を訪ねてきた。
    亜也の詩が"かけはし"で反響が大きく、過去の日記も載せたいと相談に来たのだ。
    潮香は喜び、亜也に聞いてみる、と話すのだった。

    病室では亜也が水野と話していた。
    亜也は言葉ではなく、文字盤を指しながら。
    もう、話すことも出来ない体になっていたのだ。
    亜也は懸命に文字版で日記を書きたいと伝える。

    潮香は病室を訪れる前に、芳文と話していた。
    これまでの遥斗の行動にお礼を言いたかったのだ。
    そして、子育てが自分の思い込みではじまってはいないか、と話を始める。
    自分は亜也の気持ちをわかっているつもりだったが、
    亜也の日記を読んで、亜也が一人で戦って自分を励ましていたことを知ったのだ。
    自分が悲しんでいる間に亜也はたくましくなっていて、
    親も子供達に育てられているのだと伝えた。

    病室を潮香が訪れると亜也は懸命に両手でペンを持ち、
    ノートに文字を書こうとしていた。
    しかし、上手くいかない。
    文字を書くことも難しくなったことを悟り、困惑する潮香。

    夜の病院で遥斗と芳文が二人、ベンチに座っている。
    遥斗の手には花束。
    遥斗は課外を終えてから亜也の見舞いに訪れていたのだ。
    そんな遥斗に遅くまで大丈夫か、と芳文は声をかける。
    今の自分には大したことはできないから、と遥斗は答える。
    彼には亜也を見舞うことしかしてやれることは無いのだ。
    そんな遥斗に芳文は医者も同じだと話し出す。
    「自分の無力さを感じるばかりで、人の運命は簡単には変えられない。
    けれど、どうして亜也だったのか、どうして圭輔だったのか」
    そう思ってしまうと。
    そして、遥斗が頑固で意地っ張りで不器用で、圭輔とは違って自分に似ている、と続けた。
    少し驚いたように芳文に顔を見る遥斗。
    芳文は最後に「もう何も言わない。自分の信じたことをやりなさい。
    お前はもう十分大人だ」と言い残してその場を去った。

    小さなクリスマスツリーを見つめる亜也。
    その病室に遥斗が花を持って見舞いに来た。
    すると亜也は文字盤で遥斗に「寒かった?」と聞く。
    外は3mの大雪だったと話す遥斗ににっこりしながら「うそつき」と話す。
    微笑みあう二人。
    そこにはいつもの会話があるのだった。

    そして足元にある自分の日記を遥斗に読んで欲しいと伝えた。
    遥斗が亜也の日記を読み始める。
    最初は上手い事言うな、と茶化しながら読み進めるも、
    少しずつ亜也の心の声に触れていき、言葉が詰まる遥斗。
    亜也は昔のことを思い出しながらゆっくりと聞いていた。
    外は雪が降り出していた。

    どうして自分なのか、過去に戻りたい、今の自分を認めて生きていきます…。
    そんなひとつひとつの言葉が胸に突き刺さり、
    亜也に頑張って生きてきたな、と微笑む遥斗。
    その瞳には涙がにじんでいる。
    亜也は文字盤で「そうだよ」とだけ指差し、微笑み返し、
    最後に「生きてね ずっといきて」と続けて、
    亜也の目から涙が零れていった。
    しっかりと「わかった」、と亜也の気持ち応える遥斗。
    日記を開くと最後には「ありがとう」と書かれている。
    どれだけ亜也が自分の命の短さを知り、
    生きることの大切さを実感していたかを知った遥斗。
    すると、亜也はすぅっと穏やかに眠りに着くのだった。
    そんな亜也に布団をかけ、優しく見守る遥斗。

    東高の体育館でバスケットをしている亜也。
    パスを受けた亜也が決めたゴールで東高が勝利する。
    チームメイトと歓喜の声を上げる亜也。
    かつてバスケットをしていた自分の姿は遠い。
    そんなに昔のことじゃないのに、身体が自由に動いていた自分は遠い。
    そして、亜也の病室から緊急コールが鳴る。
    5年の月日がたったある日。
    ゆっくりと穏やかにその時はやってきた。
    開かない瞳、呼吸をしないその体。
    潮香は亜也の手を取り、ただ涙を浮かべる。
    瑞生は堪らず鳴き声を上げた…。
    亜也は別の世界へと旅立ったのだった…。

    あれから1年。
    亜也の部屋にはたくさんの亜也の写真と共に思い出の品があふれている。
    そこで、潮香が喪服姿で日記を読んでいる。
    最後の言葉は「ありがとう」だ。
    瑞生はアルバムの中で輝いている亜也を見つめ、微笑んでいる。
    潮香は亜也に手紙を書いていた。

    『亜也へ
     あなたと会えなくなって、もう1年が経ちました。
     亜也、歩いていますか?ご飯が食べられますか?
     大声で笑ったり、お話が出来ていますか?
     お母さんが側にいなくても
     毎日ちゃんとやっていますか?
     お母さんは、ただただ、それだけが心配でなりません。

     どうして病気は私を選んだの、何のために生きているの、
     亜也はそう言ったよね
     苦しんで苦しんでたくさんの涙を流したあなたの人生が
     何のためだったか、お母さんは今でも考え続けています
     今でも答えを見つけられずにいます
     でもね、亜也…』

    真っ赤な花束を持って亜也の墓石を訪れる瑞生と潮香。
    二人、手を合わせていると、そこへ水野が花を盛ってやってくる。
    亜也が亡くなって以来、久しぶりの再会だ。
    最後の最後まで諦めようとしなかった亜也をすごい人だったと語る水野。
    謙遜するもどこか誇らしげな二人を横に、墓石に手を合わせ、
    まだ難しい病気ではあるが、少しずつ医学は進歩していると伝えるが、
    本当は亜也がいる間にもっとやれることがあったのかもしれないと悔やむ。
    そんな水野に瑞生と潮香はとても感謝していると言った。
    ゆっくりとその場を後にする水野。
    すると、その足が止まる。
    そして、やっぱり亜也はスゴイ人だったと語る。

    二人が水野の側へ歩んでいくとその見る先にはたくさんの喪服姿の人たちが。
    皆、手元に花を持って歩いてきている。
    亜也の一周忌に献花にやってきたのだ。
    たくさんの人が亜也の言葉に励まされ、生きることを大切にしてきたのだ。
    亜也の言葉が人の心に届いたのだ。

    『でもね、亜也
     あなたのおかげでたくさんの人が生きることについて考えてくれたのよ
     普通に過ごす毎日が嬉しくて、温かいもんなんだって思ってくれたのよ
     近くにいる誰かの優しさに気づいてくれたのよ
     同じ病気に苦しむ人たちが 一人じゃないって思ってくれたのよ
     あなたがいっぱいいっぱい涙を流してくれたことは
     そこから生まれたあなたの言葉たちは
     たくさんの人の心に届いたよ
     ねぇ、亜也、
     そっちではもう泣いたりしてないよね?
     お母さん、笑顔のあなたにもう一度だけ会いたい…』



    * いつかの学校の体育館。
    * バスケットボールをゴールに入れる制服姿の亜也。
    * それを入口からそっと見ている遥斗。
    * ふと、目が合って微笑む亜也。

    * 「生きるんだ」


    ~ エンディングロール ~
    昭和63年5月23日午前0時5分
    木藤亜也さん25歳で永眠
    花に囲まれて 彼女は逝った

    亜也さんが14歳から綴った日記『1リットルの涙』は
    現在、約180万部を発行 ―
    29年もの歳月を経て今もなお多くの人々に勇気を与え続けている

    現在、妹の理加さんは塾の先生として子供たちに勉強を教えている
    弟の弘樹さんは警察官として地域の安全を守っている。
    妹の亜湖さんは亜也さんの通っていた東高を卒業
    潮香さんと同じ保健師として働いている
    父・瑞生さんと母・潮香さんは今も亜也さんの想いを伝え続けている
    ※部数等はドラマが放送された2005年当時のもの。
    ------------------------------------------------

    [作品レビュー]
    どんどん亜也の身体は弱っていって寝たきりになってしまいました。
    最後はとても穏やかでした。
    日記ベースなので、劇的な何かというのは難しいのですが、
    亜也の最期が穏やかだったから、
    ドラマのラストも穏やかだった方が良かったのかな?
    今までがあまりにも劇的でしたから、ギャップが大きく感じました。

    後半の5年後って突然でした。
    寝たきりで日記書いたり、動いたりしていないから仕方ないけど、
    亜也の最後はあまりにもあっさりし過ぎたような気がしました。
    個人的には亜也の最期はもっと盛りだくさんな感じを期待していたので
    ちょっと印象が薄い感じがしました。

    本が出来たことを知らせに来ることも、
    花や音楽に囲まれてゆっくり逝くというシーンも盛り込んで欲しかったです。
    闘病生活も大変なことはいっぱいあっただろうし、
    最期まで亜也が生きることを諦めなかったこと、
    もっと伝えて欲しかったな、と思いました。
    ドラマだからそこはキレイにしたかったんだろうけど…。

    遥斗との絡みも実質、10話がメインと言った感じでしたが、
    最終話の前半部分は実質二人の最後の会話で
    亜也の「ずっと生きて」という言葉が胸に刺さりました。
    最後は出てこなかったのがちょっと寂しい気がします。
    せっかく、あんなに支えてくれていたのになぁ…。

    たくさんの人が一周忌にに花を手向けに来うるシーンは
    ちょっとやりすぎている感がありますが、
    亜也の残した言葉達がたくさんの人たちに伝わって、
    元気をくれたことは確かで、それを表現したかったのでしょうね。
    その私も、原作本を読んで、衝撃を受けた一人ですし。
    そして、最後の遥斗と亜也の笑顔がとても素敵でした。

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