設立から50周年を迎えた米Microsoft(マイクロソフト)は、なぜ今も強さを維持できるのか。改めて50年の歴史を振り返ると、同社の強さを示す5つのキーワードが浮かび上がった。
そのキーワードとは、時代の進歩に合わせて自らの姿を変え続ける「変化」、時には競合の模倣をいとわず事業を拡大する「貪欲」、成果を生まない事業からはすぐに撤退する「大胆」、顧客の課題解決に徹底的にこだわる「執着」、幅広い製品で顧客の要望に全て応えようとする「全方位」だ。
このうち変化・貪欲・大胆の3つはマイクロソフト50年の歴史で変わらぬ特徴であり、第2回で詳しく見ていこう。
残りの執着・全方位の2つは、Satya Nadella(サティア・ナデラ)氏が2014年にCEO(最高経営責任者)に就任して以来、顕著になった特徴であり、次回以降で取り上げる。
「変化」はマイクロソフト50年の歴史で一貫している。パソコンの登場とともに生まれた同社は、ITの進化に合わせて自社の事業領域を変え続けてきただけでなく、時には自社のビジネスモデルや文化も刷新してきた。
50歳のマイクロソフトは、様々な点で過去とは正反対の企業に姿を変えた。
(1)エンタープライズIT市場で首位に
マイクロソフトは個人用のコンピューター、つまりはパソコン(パーソナルコンピューター)向けのソフトウエアを開発し販売するために設立され、創業から長らく消費者向け市場を主戦場としていた。
それが今では企業向け(エンタープライズ)IT企業として世界最大手の立場にある。
(2)OEM供給から最終製品主体に
ビジネスモデルも大きく変わった。マイクロソフトは元々、顧客に対して「最終製品」を販売しない会社だった。
同社が開発する「MS-DOS」や「Windows」といったOSは、コンピューターメーカーにOEM(相手先ブランドによる生産)供給し、パソコンやサーバーなどの最終製品に組み込まれて販売されていた。顧客に対してOEM版OSのサポートを提供するのは、コンピューターメーカーの仕事だった。
今もマイクロソフトはメーカーへOSなどのOEM供給を続けているが、ビジネスの中心はクラウドサービスなど最終製品の販売にシフトした。
OSやミドルウエア、アプリケーションといったソフトに加えてハードウエアも含めてサービスとして顧客に提供するのがクラウドだ。
(3)ソフトから「巨大ハード」の会社に
クラウドを支えるハードは、マイクロソフトが自社で設計・開発し、ODM(相手先ブランドによる設計・製造)メーカーに製造させている。
その対象には、サーバーやストレージ、ネットワーク機器だけでなく、それらを収容するデータセンターも含まれる。
マイクロソフトは社名が表すように、マイコン(マイクロコンピューター)と呼ばれたパソコン向けのソフトを開発する会社として始まった。それが今やデータセンター規模の「巨大ハード」を開発する会社へと変貌した。
(4)「プロダクト」から「サービス」へ
マイクロソフトが売り切り型の「製品」の会社から、「サービス」の会社へと変貌したことは本特集の第1回で紹介した通りだ。
10年前、同社のサービス売上高が全体に占める割合は26.1%に過ぎなかったが、今では73.6%を占めるまでになった。
50歳になったMicrosoft、次に目指す「エージェンティックWeb」の主役
日経記事2025.4.4より引用
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