インフィニオンが製造する半導体ウエハー=AP
フランクフルト=林英樹】
ドイツ半導体大手インフィニオンテクノロジーズは4日、2025年9月期の売上高予想を上方修正すると発表した。想定為替レートを対ユーロでドル高に修正したため。中国市場向けが堅調だとも説明した。同社株は同日、欧州市場で一時10%超上昇した。
同日発表した24年10〜12月期の売上高は8%減の34億2400万ユーロ(約5500億円)だった。為替レートを修正した25年1〜3月期は約36億ユーロとなる見込みで、25年9月期通期の売上高予想を前期比で「若干の減少」から「横ばいから若干の増加」に引き上げた。
経営不振から米インテルの最高経営責任者(CEO)が辞任し、ロームが12年ぶりに最終損益で赤字に転落する見通しなど、過剰在庫から世界的な半導体不況が続いている。
ハネベック氏は同日の決算記者会見で「中国の自動車産業で幅広い顧客層を開拓し、同事業の売上高は四半期ベースで過去最高だった」と強調した。
もっとも、今後の業績に懸念は残る。インフィニオンのヨッヘン・ハネベック社長はトランプ米政権の関税政策の影響を「織り込んでいない」と述べた。業績が下振れる可能性は残る。
欧州連合(EU)からの輸入品に加え、各国から輸入する半導体についても関税引き上げを検討している。
インフィニオンは中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク)が開発した生成AIに触れ「データセンターの建設ラッシュを鈍化させる可能性がある」との懸念を示した。
