米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO㊧とFTCのリナ・カーン委員長=ロイター
【シリコンバレー=渡辺直樹】
米競争当局がバイデン政権末期にテクノロジー企業への攻勢を強めている。米連邦取引委員会(FTC)が米マイクロソフトに対し、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで調査を始めたことが27日わかった。
ライドシェア大手米ウーバーテクノロジーズへの調査も判明した。独占監視を強め、トランプ新政権での路線継続を狙う。
ブルームバーグ通信など複数の米メディアが報じた。報道によるとFTCはマイクロソフトに対し、独占の証拠を判断するための情報開示を要請した。
マイクロソフトはインターネット経由で様々なソフトが使えるクラウドコンピューティングを企業に提供している。自社の業務用ソフトをクラウドとセットで使わせるため、他社製に移りにくくする料金を課したことをFTCは特に問題視している。
調査は人工知能(AI)やサイバーセキュリティー製品を含む幅広い分野に及ぶという。FTCからコメントは得られていない。マイクロソフトはコメントを拒否した。
FTCはウーバーの定額課金の手法についても調査していることが判明している。バイデン政権下では日本の公正取引委員会に相当するFTCがアマゾン・ドット・コムとメタ、司法省がグーグルとアップルに対しそれぞれ独禁訴訟を続けている。
特にFTCは巨大テック企業への強硬派で知られるリナ・カーン委員長を中心に独禁訴訟や調査を繰り返してきた。2025年1月に発足するトランプ新政権でこうした動きが継続するかが焦点になっている。
競争当局のトップが交代となったとしても、政権末期に調査を始めておくことで新政権でも案件を継続させる狙いがあるとみられる。
FTCはマイクロソフトによる米ゲーム大手アクティビジョン・ブリザードの巨額買収にからみ、23年に裁判所に差し止めを求めた。
古くは1998年に司法省がマイクロソフトのパソコンの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の提供手法をめぐり反トラスト法違反の疑いで提訴し、法廷闘争を繰り広げた歴史がある。

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