会談を前に握手する中谷防衛相㊨とNATOのルッテ事務総長(8日、防衛省)
中谷元防衛相は8日、防衛省で北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長と会談した。
ウクライナへの軍事支援などを調整する「NATO対ウクライナ安全保障支援・訓練組織」(NSATU)に日本の参加を検討すると表明した。
中谷氏は参加が実現すれば「ウクライナ侵略の教訓を収集することができ、大変意味がある」と語った。
NSATUは装備品の提供や修理、訓練などでウクライナを支援している。日本が担う具体的な協力内容はこれから詰める。
ルッテ氏は「欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分だ」と強調した。「NATOと日本のパートナーシップがより強固になる重要性が増している」と話した。
会談に先立ち、ルッテ氏は海上自衛隊横須賀基地(神奈川県)で最新鋭の護衛艦「もがみ」を視察したほか、三菱電機鎌倉製作所(同県)も訪れた。会談で中谷氏に「防衛産業協力をさらに強化することができると自信を持っている」と伝えた。
ルッテ氏は9日、石破茂首相と会談する。
日本はNATOとの協力を深めている。背景にあるのは軍事力の増強を進める中国やロシア、北朝鮮の存在だ。
中国は台湾周辺で軍事演習を重ねるほか、南シナ海でも周辺国を威圧するような行動を繰り返し、アジア地域の火種の原因をつくっている。
ウクライナを侵略するロシアも支援しており、中国の存在はNATOにとっても安保上の脅威といえる。
さらに北朝鮮はロシアに兵力や兵器を送り、ウクライナとの戦線で実戦経験を積む。
北朝鮮軍の能力が向上すれば日本の安保にも影響する。アジアと欧州で地域が異なるものの、日本とNATOの安保上の問題意識は重なる部分が多い。
岸田文雄首相(当時)は2022年にNATO首脳会議に日本の首相として初めて出席し、24年まで毎年参加した。24年10月には中谷氏も招待を受けて、防衛相として初めてNATO国防相会合に出た。
部隊間での連携も進む。これまでに自衛隊はNATOが主催する演習に参加した実績がある。NATOも24年に開いた日米による最大規模の演習にオブザーバー参加した。

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