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世界大戦の主原因は石油 アラビアの獅子王

2023-04-11 20:27:52 | 麻薬・阿片・石油

 

英国人宣教師ハーウッド師と若き宣教師スパイ
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a1bd17544a77bbce43769437c99df20b
からの続き

 

イラク王フェイザルは権力と富を愛したばかりに、喜んで英国の傘下にはせ参じ、英国にあごで使われました。 しかし、彼と同民族で宗教と権力以外には何も望まないような鉄血男が出現しました。 ワハビ族の酋長イブン・サウードがそうであります。

イブン・サウードは1881年。海峡の分派中でも最も戒律の厳しいワハビ族の宗家であるサウード家(現在のサウジアラビアの王家)に生まれました。 サウード家はアラビア半島の中部ネジトの首長の家柄です。 イブンは二十歳前後、人質として隣国クウェートの長老マハルクの許に托されて、味気ない月日を暮らしていたこともありましたが、23歳の秋、部下の荒武者をかり集めて、故郷ネジドの首都リヤードを襲い、酋長イブン・ラシッド傘下の太守の命を奪い、ネジド一帯を奪還しました。

その後、世界大戦の波に乗じ、トルコ軍やイブン・ラシッド軍を撃破して、着々とその勢力を伸ばしていきました。 大戦後、トルコの勢力をアラビアより駆逐するため、英国の援助によってヒジャーズ王となったエミール・フセインが1923年、自らトルコ廃帝の後を継いでカリフを呼称し、イブン・サウードは憤然と怒りました。

1925年初夏、ワハビ族の狂信的回教兵数万を率いたイブン・サウードは怒涛の如くヒジャーズ王国に侵入し、10月にフセインをイラクに追い払ってしまいました。 12月、イブン・サウードはジェッダに入り、ヒジャーズ王国を併合してヒジャーズ・ネジド王国を建設しました。

更にその2年後には仇敵イブン・ラシッド一党を征服して、アラビア統一を果たしました。イブン・サウードの勢力がラビア全土を覆うと、英国はこれを見逃しはしませんでした。 今までイラク王フェイザルを支持し知多とはいえ、明日のフェイザルの運命を考える時、どうしてもイブン・サウードとも通じておく必要があったのです。

英国諜報部内,で、アラビアのロレンス大佐やカートルード・ベルとは反対側にあったフィルビーは、苦心してイブン・サウードに接近しました。 元来、コーランを狂信する余り、その他の宗教を信仰するものはことごとく異教徒として排斥するワハビ族の王でしたがイブン・サウードはフィルビーに対して信頼の情を示し始めました。


(注)イスラム教は大きく分けて、コーランに忠実なサウジアラビア中心のスンニ派と、イスラム教創始者ムハンマドの血を引くアリーの血族であるシーア派のイランに分かれて争っています。 イスラム原理主義のイスラム国は匙アラビアと同じ、スンニ派です。 信者の人口比はスンニ派vsシーア派は、9:1と圧倒的にスンニ派が多いのが現状です。

 

・イスラム社会の女性差別
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a0e16d490c9edff3f0161da3eb7d322c?fm=entry_awc
・シーア派内部の抗争
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/3641e2c4dad285600e139d8fd1e07366?fm=entry_awc
・イスラム教もユダヤ教も教義は、自分たちが世界征服するワンワールド化が目標
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/94984ccc4857ddd74e55abaaff7bb12b

・ユダヤ教とグローバリズム、そして軍需産業
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/4e72aabfe26b5c0785a7772bf8409fb2
ノアの呪い と 黒人差別
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/2249ddeed98bdc201a35db01d5d38957



しかし、間もなく、イラク王フェイザルとアラビア王イブン・サウードとの間に戦端が開かれました。フェイザルの背後には依然としてまだ英国勢力があり英国兵器がありました。 これに対して、イブン・サウードはどこから兵器を入手していたか? 当時、伝えられるところによれば、米国の石油資本家が背後で糸を引いていたと伝えられています。

その真偽は別として、米国汽船が兵器をジェッダに運んできたことは疑う余地がないようです。戦いは長期にわたり、激戦が続けられました。 イブン・サウード軍は次第にフェイザルを圧迫して、次第に占領地域を砂漠の上にひろげていきました。このまま続ければ、フェイザルの運命は危うくなります。 遂に英国が仲に立って和を講じさせることになりました。1929年のことです。

講和会議はイラン湾のラス・タノウラア沖に停泊していた英国汽船リュービン号上で行われました。 英国のメソポタミア長官の仲介で、国境画定、宗教問題、通商促進などの問題が論議されました。フェイザルが欧風なもの慣れた態度で、如才なくかつ雄弁にしゃべるのに対し、イブン・サウードは終始黙々として身動き一つしませんでした。

戦争に於いては彼が勝っていたのであるし、彼にはコーランに対する狂信とその狂信を押しひろげていく権力に対する野心があっただけなので、経済的面に関する限り、英国長官は自分の思うように引っ張りまわすことができました。

 

遂に両王の間に協定が成立しました。イブン・サウードは益80万ポンドの償金を得ることになりました。 しかし、メソポタミアのデリック(クレーンの一種)が安全に石油採取をつづけてい事ができるようになった結果から見れば、それは過大な代償ではありません。

記念のための写真が撮られることになり、フラッシュに両王を護衛する従者を驚かせてイラクとアラビア間の講和は最後の幕を閉じることになります。 イブン・サウードはいかにも大王らしい貫録を示し、彼を乗せて会議場にあてられた汽船リュービン号に運んでくれた英国のケーブル船の乗組員に対し、一人残らず1ケ月のサラリーに相当するチップをばらまいたといいます。

この会議の結果をロンドン政府に打電する重大な役を務めた無線技士は、100ポンドのチップを貰って驚きました。 ともあれ、イブン・サウードはある程度まで懐柔されたのでした。 しかし、彼は依然としてアラビアの獅子王です。 王はその後、回教の聖都メッカで、イエメンの刺客4人に襲われたことがあります。 

王は少しも驚かず、斬りかかってきた一人の手を押さえ、「殺すな、引き取れ括れ!と部下に命令しました。 結局は、刺客の3人は護衛兵に殺され、一人は傷ついて捕らえられましたが、そのときの、落ち着いて動じない態度は、獅子王の名を傷つけることはありませんでした。

 

次の投稿は、「トルコ石油と欧米列強」です。

 

 

 

(参考、 石油の話、今までの投稿)


英国人宣教師ハーウッド師と若き宣教師スパイ
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石油地帯の傀儡王フェイザル王
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世界大戦の主原因は石油 アラビアのベル嬢
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