2024年度のふるさと納税寄付額は過去最高を更新する見通しだ。
「日経グローカル」が予算調査で783市区に寄付受け入れ額を聞いたところ、見込み額は23年度から1割増の7690億円と19年度の2倍強に膨らんだ。
25年秋から仲介サイトの利用者へのポイント付与が禁止される。その影響も聞き、半数の自治体が影響は未知数と答えた。(日経グローカル507号に詳報)
自治体は競って返礼品を充実させ、制度も年々浸透している。これらを受けて全国の寄付額は増加傾向にある。
23年度は1兆1175億円と初めて1兆円を超え、4年続けて過去最高を更新した。
調査は全国の792市と東京23区を対象として25年2〜4月に実施、783市区が回答した。783市区の受け入れ額は23年度実績で全自治体の62%を占める。
寄付受け入れ額の見込みは23年度から11%増えて7690億円となり、伸び率を都道府県と町村を含めた全自治体に当てはめると24年度は1兆2000億円程度になる。
5年連続で過去最高となる見通しだ。24年度実績は総務省が夏に公表する。
宮崎市はマンゴーなど高額返礼品をそろえ、寄付受け入れ額を伸ばした
調査では制度改正の影響も783市区に聞いた。総務省は25年10月から、電子マネーなどに交換できるポイントを付与する仲介サイトを通じて自治体が寄付を募ることを禁止する。
08年に始まったふるさと納税は地域振興を目的としているが、返礼品や仲介サイトのポイント還元に魅力を感じて寄付する人も少なくない。
仲介サイト間のポイント付与競争は過熱しており、制度改正はそれを抑える狙いがある。
一方で利用者には「お得感」が減るともいえ、自治体は影響を図りかねている。
今回の調査でポイント還元がなくなることが寄付受け入れ額に影響するか聞いたところ、最も回答が多かったのは「わからない・答えられない」(53%)だった。次が「変わらない」(27%)で、「減る」(18%)「増える」(2%)と続いた。
総務省は自治体が仲介サイトに払う利用手数料がポイントの原資になっているとみて、手数料の引き下げにつながることも期待する。
アマゾンジャパン(東京・目黒)など仲介サイトの参入業者が増え、こうした動きも手数料の引き下げ要因になる可能性がある。
自治体の見方は割れ、783市区の調査では「現時点で手数料が下がる見込みはなく、期待もしていない」(40%)と「現時点で手数料が下がる見込みはないが、期待はしている」(38%)が拮抗していた。
寄付額トップは大阪府泉佐野市 泉州タオルが好調
2024年度のふるさと納税の寄付受け入れ額見込みを回答した自治体で、最高額だったのは大阪府泉佐野市の168億円だった。
「泉州タオルなどの返礼品が引き続き人気で、最終的には23年度実績を上回る」(ふるさと創生課)という。
2位はホタテやイクラなど海産物の返礼品がそろう北海道紋別市で、140億円を見込む。

3位の宮崎市は、前年度比65%増の135億円でマンゴーや宮崎牛、うなぎなど「寄付額が1万5000円以上の返礼品が人気」(市都市戦略課)だった。
コメを返礼品のひとつとしている北海道千歳市や新潟県南魚沼市は寄付受け入れ額が増える見込みで、「コメの品薄・高騰の影響でコシヒカリの人気が高まった」(南魚沼市財政課)という。
(斎宮孝太郎)
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