ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

篤志家

2017-10-28 | アメリカ事情

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Philanthropist (フィランソロピスト)という英語。慈善家・篤志家のことである。大学に働いて、この言葉を幾度目にしたことだろうか。以前のブログにも書いたが、合衆国には桁外れに膨大な寄付をする個人や慈善団体が驚くほど多い。例えばアイビーリーグの大学出身者は、頻繁に母校に多額の寄付をして、新しい研究センターを建てたり、校舎さえ作る費用を出してしまう。教育、医学、芸術、青少年、地方オーケストラ、スポーツ、とありとあらゆる分野に寄付はなされている。


ビルとメリンダ・ゲイツ夫妻(Microsoft)は、世界中に恩恵のある小児予防接種促進援助などの保健衛生の分野から、合衆国での教育方面へ、去年一年で21億4千万ドル寄付している。合衆国で長者番付1,2位をゲイツ夫妻と競う、投資家で経営者のウォーレン・バフェット氏は、去年合衆国一の篤志家となり、28億6千万ドルを寄付している。さらにバフェット氏はゲイツ夫妻と協力、2006年に資産の85%にあたる374億ドルを寄付すると発表し、その後そのうちの310億ドルをビルとメリッサ・ゲイツ財団に寄付すると決めた。


天文学的な数字の多額な寄付を喜んでする裕福なアメリカ人は、人の生活の向上のために国の内外を問わず、健康の推進、教育、と様々な分野へ寄付をする。そして上記の人々のように経済的に大成功を収めた裕福な人以外に、通常の、市井のアメリカ人も、概して非常に慈善活動に気前がよく、出来うる限りの寄付をする。


私の勤める大学にも先週匿名で100万ドルを科学と数学学部へ寄付された方がいらっしゃると発表された。遺伝子学と分子生物学研究の費用に充てるよう寄付されたのだ。いままでこの大学に多くの方々が寄付をされ、校舎が一つ、二つ建てられている。


建物や設備でなければ、教授の研究費用や学生への奨学金にも、そうした寄付がある。今年ハワイ大学大学院を卒業した息子は、在学中必要な学費本代など100%支給する、ある寄付団体の奨学金を幸運にもいただいた。ここで言う奨学金は、学生ローンではなく、返済不要である。息子はたいへん感謝し、すぐに、その奨学金財団にお礼状を出した。次は息子が社会にお返しするバトンを渡された。


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どの国が世界中で一番気前がよいか、のリストトップは、合衆国、次はニュージーランド、次はカナダ、そして4位が英国である。個人的に国民が慈善寄付をした額を国内総生産(GDP)に対してのパーセンテージで表すと、合衆国は1.44%、ニュージーランドは0.79%、カナダは0.77%で、英国は0.54%である。これは寄付財団の数字ではなく、個人がする寄付に関してである。(www.independent.co.ukより)


何故この4か国はこれほど寄付をするのだろうか。少なくとも合衆国では、そこに二つの理由があり、それは、両親と信仰、が主な要因だと研究者は言う。そういえば、両親は育児する過程で、玩具を他の子供と分け合って遊ぶように、ということを口に出して言う。親切にされれば、その場で親は、子供に「お礼は?」と促す。そんなことから分かち合いを習うのかもしれない。


あるいは親が教会に什分の一や寄付を納めるのを見て、習うこともあろう。親の言動から学ばないでも、後に信仰を持ち、慈愛の大切さを理解して寄付をすることも多い。キリスト教精神が、たとえ今現在本人が定期的に教会へ行かなくとも、これと言った教会の会員ではなくとも、その人のDNAに満ちているかのように、寄付をする人々もいる。黄金律「他人から自分にしてもらいたいと思うような行為を人に対してせよ」(山上の垂訓)の倫理である。キリストの「為せ」と言う能動的な教えが、何世代にもわたって身に染み込んでいるのだろう。


お金持ちでなくとも、寄付はできる。金銭でなくとも寄付はできる。時間や力や子守や食事や留守番やお使いや運転や、献血もそのひとつ。ほんのちょっとの私達の”できる”ことが、潤滑油のように、世界をスムーズにする可能性を秘めている。あなたも、”篤志家”になれるのだ。

 

 

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 これは未熟児や病気の赤ちゃんの体温低下を防ぐために、帽子を編んで小児病院に寄付するプロジェクト

 

 

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日本の「伊達直人」さんやタイガーマスクさんも立派な篤志家である。かっこいい。


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