ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

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2019-02-28 | アメリカ事情

 

 

 

色褪せたギンガムドレスを着た女性と質素なスーツを着た夫は、ボストンで電車を降り、大学構外にある事務室へ予約なしに大学学長に会おうと、トボトボと歩いて行った。秘書は、二人を一瞥して田舎者夫婦がハーバードに何の用があるのか、そしておそらくケンブリッジにいることさえ値しないような田舎者だ、と判断していた。彼女は眉をひそめた。


「大学学長にお会いしたいのです」とその男はそっと言った。


「彼は一日中忙しくなるでしょう」と秘書は噛み付くかのように言った。


「お待ち致します」とその女性は答えた。


何時間もの間、秘書は長い時間待たせることで、がっかりして退散するのを希望しつつ、二人を無視した。彼らはそうしなかった。そして秘書はイライラし始め、ついに執務中の学長の部屋へ行った。 「二人は、ほんの数分間学長にお会いすれば、すぐに去るでしょう」と彼女は言った。学長は憤慨してため息をつき、うなずいた。彼のような立場の者は、オフィスで色褪せたギンガムドレスと質素なスーツを着込んだ田舎者夫婦などと会う時間はないのだ、と独り言ちた。尊厳を極めた大学学長はその夫婦に向かって歩いて行った。


その女性は彼に言った、「私たちにはハーバードに1年間出席した息子がいました。彼はハーバードを愛していました。彼はここで幸せでした。ところが、一年前、彼は病死しました。夫と私は彼の慰霊記念碑を建てたいのです。キャンパスのどこかに。」軽いショックを受けた学長は、それには触れなかった。


「マダム、ハーバード大学に出席して亡くなったすべての人のために彫像を立てることはできません。そうすれば、この場所は墓地のようになるでしょう。」


「ああ、いいえ、」と女性はすぐに説明した、「私たちは彫像を建てたくはありません。私たちはハーバードに校舎となるような建物を差し上げたいと思ったのです。」


大統領は目をギョロッとさせた。彼はギンガムドレスと質素なスーツをちらっと一瞥してから言った。「校舎建物! それにいくらかかるのか、現実的なお考えをお持ちですか? ハーバードの物的設備には750万ドル以上の資金があります。」しばらくの間、女性は黙っていた。


大学学長は喜んだ。たった今この田舎者夫婦は出ていくだろう。


その女性は夫を振り返り、静かに言った。「大学を始めるのに必要なのはそれだけなのですね? 私たちが自分自身で大学を始めたらいいのではありませんか。」彼女の夫はうなずいた。学長の顔は混乱と当惑と横柄にしていたことの後悔で萎れた。


リランド・スタンフォード夫妻はカリフォルニア州パロアルトを訪れ、彼らの名前を冠した大学を設立した。ハーバード大学がもはや気にかけなかった息子への記念碑である!

 

(上院議員そして州知事でもあった鉄道王の一人)リランド・スタンフォードと ジェーン・レイスロップ・スタンフォード, 息子のリランド・スタンフォード・ジュニア。1878年撮影。

Image credit: Stanford University Archives


 

ブログ主の注記:

ページトップの写真はスタンフォード大学提供。

アメリカの鉄道王の一人で元カリフォルニア州知事だったリランド・スタンフォードとその妻のジェーン・レイスロップ・スタンフォードは、二人の唯一の子供であった息子リランド・ジュニアを1884年に、腸チフスで失った時、二人は最愛の息子に最もふさわしい記念館として大学を建てることにした。 キャンパスになった8,180エーカーのパロアルト牧場を含む大きな財産は大学創立に費やされた。 キャンパスは、原住民ムウエクマ・オーロネ部族の伝統的な領土内にある。 スタンフォード夫妻は、現代研究大学(例えばハーバード大学)と同じような計画の上で大学を作った。スタンフォード大学の正式名は未だ、リランド・スタンフォード・ジュニア大学と言う。1891年10月1日に開校した。中部あるいは北部カリフォルニア州で、ガン患者のほとんどは尖端医療の極致で有名なスタンフォード大学医学部病院で治療を受ける。


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