納得できる - ままちゃんのアメリカからの続き
フリーウェイを使わず、「裏道」を使って、マリポサ郡へ夫と共に我が家から向かう。昨今珍しい雨量でやってきた先日の雨とその後の連日の霧で湿り気を帯びた丘陵地帯はきれいな明るい緑で、この裏道をひたすら走ること1時間半。森林地帯に入り、カリフォルニアゴールドラッシュの19世紀なかばに開けた山間の小さな町に着いた。そこに1854年に建造されたカリフォルニア州最古、ミシシッピ河以西でも最古の実際に使用されている裁判所がある。リンカーン大統領が就任した1861年より7年早くここマリポサにできた木製で白く塗られた裁判所だ。法廷は二階にある。その狭い階段を昇って法廷に入ると、すでに法衣の裁判官が迎えてくれた。
法廷の真ん中には大きな薪ストーブが備え付けられ、これからの季節、法廷のある時は薪が焚かれ、その熱は法廷内と小さめな各オフィスへパイプによって送風される。
私たちが着席すると裁判官は「みなさんはここに、離婚の申し立てでもなければ、訴訟のためでもなく、また事件を起こしたわけでもなく、裁判官にとっては本当に一番好きな式のためにお集まりくださいました。新しい弁護士の宣誓式です。」と始めたのだった。
裁判官は末娘の夫を前に呼び、宣誓の儀式を厳かに始めた。そして、おめでとうの言葉を持って、宣誓式は終了した。裁判官はもちろんマリポサ郡に住居を構えているわけではなく、近隣の郡からここの法廷へ詰める。だから、大抵は立て続けの法務があり、この日特別に時間を割いてくれたわけである。
宣誓式の後、裁判官も両家も子供・孫たちもにこやかに談笑しながら、法廷内の歴史ある写真や下の階にある古い金庫をのぞいたり、一種の博物館的な面もある裁判所を見学した。この裁判所を選んだのは、彼の父親がちょくちょくこの郡の公選弁護人として働き、その歴史からとても気に入っているのでここで、と提案したのだった。そしてその日167年の歴史ある場所で新しい弁護士が誕生した。
早速親子3人で記念写真。
ダダとお揃いのネクタイで。
こうして末娘家族の新しいチャプターが始まった。