医療破壊・診療報酬制度・介護保険問題を考える

リハビリ診療報酬改定を考える会を中心とするメンバーのブログ。リハ打ち切り問題や医療破壊等に関する話題が中心。

回復期リハビリ病棟の成果方式

2007-08-24 00:28:41 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
回復期リハビリ病棟の成果方式が取りざたされていますが、制度設計を誤ると、再度のとんでもない患者切り捨ての政策になってしまいます。

リハビリ打ち切り制度に引き続き、右往左往した診療科名の整理の問題などでも、厚労省はその政策立案能力の低下を露呈してしまいました。

慎重には慎重を期し、(一見)批判的な人の意見も取り入れなければ、リハビリ打ち切り問題と同じ結果が待っています。

今の案のままでは、

1)重度患者で、介助量を減らすことにより何とか自宅復帰できる例
2)軽度だが、発症から間もないために仕上げのリハビリをしなければ退院できない例
3)合併症が多い例
4)重複障害例
5)ほとんどすべての頚髄損傷、四肢麻痺
6)両側障害例、失調症例などADL改善の予測が困難な例

などの非常に多くの患者さんから、結果的にリハビリ医療を奪うことになるでしょう。なぜなら、成果方式の名を借りて、点取り虫にならなければ病院の経営が成り立たないような診療報酬制度を立案するに決まっているからです。そういう役所です。

要するに、そのような制度の中で生き残るためには、優良な病院も悪徳の病院も、同じように点取り虫となり、【制度に沿った】症例を集めることになるでしょう。【制度に沿った例】というのは、今現在で言えば、特定の病院の【好き勝手な回復モデルに合致した例】や【好みの例】ということであり、それを国にコンファームさせるような圧力をかけている人達がいるようです。

現場の声を聞く、と言って、特定の偏った病院の意見だけを厚労省が取り入れて制度に反映させることは、違法ではないにしてもインサイダー病院経営を助長し、患者の方よりもお上の方を見る病院を優遇する政策と言えます。これも厚労省が狙っていることです。

こうやって、徐々に、医療は生き残り戦争の中でマネーゲームの中に取り込まれて行きます。明日からムーア監督の映画「シッコ」が公開されますが、日本国の医療をハゲタカ外資の餌食にする流れが、もう始まっています。

そして、リハビリテーション医療は、【QOLの医療】を否定することで自壊し、【ADL自立強制科】に成り下がってしまうでしょう。これは最悪のシナリオです。今、それが始まっています。

少なくとも『回復期リハビリ病棟の成果方式』の中に、そのような見え透いた台本を挿入することだけはお止め下さい。

臨床医D
コメント (4)
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