
11月24日、トルコ・シリア国境地帯で、トルコ軍に撃墜されたロシアの戦闘爆撃機スホイ24=ゲッティ・共同
トルコ軍の戦闘機が2015年11月24日、シリアとの国境付近でトルコ側の領空を侵犯したとしてロシア軍機を撃墜しました。
トルコ軍側は
「10回にわたり警告をした後で撃墜した」
としています。
パイロット2人はパラシュートで脱出したとみられていますが、1人はさらに地上から銃撃され死亡とのこと。。。
せっかく助かったのに。。。
プーチン大統領は
「今日の損失は、テロリストの共犯者に背中を刺された結果だ」
として、トルコを「テロリストの共犯だ」と表現し、強く非難しました。
こうした中、パイロット2人の救出に向かったロシア軍のヘリコプターが、シリアの国境地帯で緊急着陸しました。シリアの反体制派は「ミサイルでヘリコプターを破壊した」とするビデオをインターネット上に公開しています。
一方、NATO=北大西洋条約機構が24日に緊急の理事会を開き、ストルテンベルク事務総長は撃墜されたロシア軍機についてトルコ領空を侵犯していたとの認識を示し、トルコ政府の立場を支持しました。
「イスラム国」に対して、英仏米露が協力して空爆するという時点で、第二次世界大戦みたいだと思っていたのですが、今のシリア・イラク・トルコ付近の錯綜した状況は第一次世界大戦開始の時の状況を彷彿とさせます。
プーチン大統領はトルコを「イスラム国」の共犯だと名指しで批判しましたが、確かに、「イスラム国」が採掘した原油をだれが買って彼らの資金源にしているのか、誰が彼らに武器を売っているのかという疑念はずっと指摘されています。
たとえば、トルコにとってはクルド民族を抑えるのに「イスラム国」の存在が都合がいいと。
一説には、シリアのアサド政権を倒すために、英米仏が「イスラム国」を支援しているとする説さえあります。現に、9・11テロの首謀者とされたアフガニスタンのタリバンは、もともとアフガンに侵攻したソ連に対抗するためにアメリカが育てた勢力です。
ブレア首相が「イラク戦争がイスラム国台頭の原因との見方にも一片の真実」と謝罪。戦争は何も解決しない。
「アメリカよ、ありがとう」という題をつけてネットに投稿された写真。ISISの戦闘員らしき人物が、投下されたアメリカ製の弾薬を手にしている。2014年10月22日。米軍側はクルド人に武器を提供しようとしたところ、ISISに奪われたと説明している。
逆に、トルコ大統領は、シリア政府を支援しているロシアが爆撃しているのは「イスラム国」とは関係ない、反シリア政府のトルコ系民族だと非難しています。
確かに、ロシアはアサド政権をずっと支持してきており、シリアに軍事基地を持っていて、シリア政府が倒れることは絶対に阻止しようとしています。
ロシア機墜落は「イスラム国」のテロ?ロシアの空爆は原油価格上昇目的?そんなことのために死にたくない!
イラク戦争を始めるときに英米が「正義の戦争」として大義名分にした、イラクには大量破壊兵器があるという話が嘘だったように、戦争を正当化する言説ってなにがなんだか、本当のところはよくわからないんですよ。
戦争そのものは「悪」。これ自体は間違いありません。
また、「テロとの戦いに勝つために、報復攻撃する以外にどんな手段があるのだ」という人がいるのですが、ほかに手段がないことは事態をさらに悪化させる方法を取ることを正当化しません。
9・11テロから15年目。2001年に始まったアフガニスタン戦争、2003年からのイラク戦争で、テロは減ったと思いますか?
対テロ戦争を始める前の2000年には409人だったテロによる死者数は、対テロ戦争をへて2014年には3万2727人と14年間で80倍も増加したのです。
少なくとも、テロとの戦争だけは止めた方がいいというのは、「正しい」判断です。
ロシアによるシリア空爆。民間人が巻き添えになるとか知ったこっちゃないんだと思う。
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NPT条約再検討会議が決裂 最終合意文書を葬った核保有国イスラエルに武器を輸出する安倍政権。
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ロシア機撃墜2人死亡 トルコに対抗措置

プーチン大統領は、ロシア機は領空侵犯はしていないと強調したうえで、「テロリストの手先がロシアの爆撃機を背後から襲った。2国間関係に深刻な影響を与えるだろう」と述べ、トルコを強く非難しました。ロシアのラブロフ外相は25日に予定されていたトルコ訪問を急きょ取りやめ、ロシア国民に対しトルコへの旅行を控えるよう呼びかけたほか、ロシア軍もトルコとの軍事的な接触を中断するなど、事実上の対抗措置を打ち出しました。
一方、トルコのエルドアン大統領は「トルコが自国の国境を守ることを各国が尊重しなければならない」と述べ、ロシアの爆撃機がたび重なる警告を無視して領空侵犯を続けたため撃墜したもので正当な判断だと強調しました。そのうえでエルドアン大統領はロシア軍が空爆を行っているシリアとトルコの国境沿いの地域について、「トルコ系民族が暮らす地域で過激派組織IS=イスラミックステートとは関係がない」としてロシアを非難しました。
パリの同時テロ事件を受けてアメリカやフランス、トルコなどの有志連合とロシアが連携してISの壊滅を目指す動きが強まっていましたが、ロシア・トルコ関係の緊張によって、その包囲網の形成に乱れが生じる懸念も出ています。
プーチン大統領 トルコを強く非難
トルコ大統領「国境を尊重せよ」
トルコはことし9月にロシアがシリアでの空爆に乗り出して以降、ロシアによる領空侵犯にたびたび神経をとがらせてきました。先月初めには2度にわたってロシアの戦闘機がトルコの領空を侵犯したとしてトルコ政府はロシア政府に再発防止を求めたうえで、「対策がとられずに何か発生した場合には、その責任はロシア側にある」と警告しました。
米仏首脳は事態のエスカレート懸念
この中でオバマ大統領は、「トルコには、自国の領土と領空を守る権利がある」と述べたうえで、「トルコとロシアが直接話し合いを行い、事態がエスカレートしないようにすることが重要だ」と述べました。同時にオバマ大統領は、「ロシアが、穏健な反政府勢力を攻撃していることが問題だ」と述べ、ロシアが、過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅を掲げながら、アサド政権を擁護することを目的に反政府勢力への攻撃を行ってきたことが、今回の事態の背景にあるのではないかという見方を示しました。
またオランド大統領は、「重大な事態で残念なことだ。事態がエスカレートすることは避けなければならない。われわれが取り組まなければならないのはISとの戦いだ」と述べて、今回の撃墜をきっかけに、ISへの国際的な包囲網形成にマイナスの影響を及ぼさないよう求めました。
国連報道官「冷静な対応を」
そのうえで、「シリアでの空爆に関わる国々は、不測の事態を招かないよう、細心の注意が必要だ。とくに一般市民の巻き添えを避けるよう、最大限の配慮をしなければならない」と述べ、IS=イスラミックステートへの軍事作戦を進める各国に対して慎重な対応を呼びかけました。
「イスラム国」包囲網に亀裂 トルコ、ロシア軍機撃墜
- 2015/11/25 1:31
【モスクワ=田中孝幸、ドバイ=久門武史】トルコ軍が24日、シリア国境付近でロシア軍機を撃墜したことで、過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)との戦いをめぐる国際協調に亀裂が入るのは避けられそうにない。ともにIS打倒を掲げてきたトルコとロシアは、もともとシリアのアサド大統領の去就をめぐって対立してきた。異なる思惑でシリアに軍事介入する各国間の緊張が高まる可能性がある。
ロシアは9月からアサド政権を支援するため、IS掃討の名目でシリア領内の空爆を開始した。実際にはアサド政権と敵対する反政府勢力も標的にしているとされ、トルコのエルドアン政権はトルコ系トルクメン人も空爆されているとして不満を募らせていた。
トルコは反アサド政権で米欧などと歩調を合わせるが、IS掃討よりもアサド政権を支援するイランや、エルドアン政権と対立するクルド人の勢力をそぐことに主眼を置く。パリの同時テロを契機に欧米とロシアの協調機運が高まり、アサド政権の存続の是非を巡る問題が棚上げされることを懸念する。今後の交渉をにらみ、存在感を示すためにこのタイミングでロシア軍機の撃墜という強硬策に踏み切ったとみられる。
トルコは北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるだけに、ロシアは欧米との全面対決につながるトルコへの大規模な報復には踏み切らないという計算も働いた可能性がある。NATOは24日、トルコと「緊密な連絡」を取っていると表明した。
ロシアのプーチン政権はIS対策を含めたシリア問題の収拾やエネルギー協力を進めるために中東の地域大国であるトルコとの関係修復を探っていた。それだけに、今回のトルコ軍によるロシアの軍用機撃墜への対応には苦慮しているようだ。
インタファクス通信によるとプーチン大統領は24日、ロシア軍機を撃墜したトルコ側を「テロの支援者による裏切りだ」と強く非難した。トルコがIS打倒を掲げながら、実はISの主要な資金源である石油密輸のルートになっているとも批判した。ロシアのラブロフ外相は25日に予定していたトルコ訪問の見送りを決めた。
プーチン氏は16日にトルコのエルドアン大統領と会談し、親ロシアのアサド政権の処遇を巡って両国が対立するシリア問題について政治的解決を急ぐことで一致したばかりだった。ロシアからトルコ経由で欧州に天然ガスを送るパイプライン構想についても協議し、12月のエルドアン氏の訪ロも決めていた。
プーチン氏がトルコ側を強く非難した背景には、自国軍機への攻撃を不問に付せば政権の求心力が低下しかねないとの危機感があるとみられる。国際社会の敵であるISへの協力疑惑を持ち出すことで、トルコに対して外交的に優位な立場を確保する狙いも透ける。
ただ、トルコとの関係が決定的に悪化すれば、ロシアの対ISの空爆作戦にも支障が生じる可能性がある。
ロシアのプーチン大統領は24日、ヨルダンのアブドッラー2世国王と会談し、ロシア機スホイ24をめぐる事件について、次のようにコメントした。
「シリアでのスホイ24の墜落は、テロリズムとの通常の戦いの枠外であり、これはテロリストの共謀者たちによるロシアに対する裏切り行為だ。」
「ロシア機スホイ23はトルコ機の空対空ミサイルによってシリア上空で撃墜された。」
「ロシアのパイロットとロシア機は、トルコにいかなる脅威も与えなかった。これは明白だ。」
「ロシア機は、トルコとの国境から1キロのシリアで攻撃され、(国境から)4キロの場所に墜落した。」
「シリアで撃墜されたロシア機は、「IS(イスラム国)」との戦いに関する公然たる任務を遂行し、テロリストに対する予防的攻撃を行っていた。」
「ロシアは、ISが管理下に置く油田から(採掘された)原油がトルコ領内にたくさんあることを、ずいぶん前から確認していた。」
「トルコは、ロシアが米国とこのような出来事を防止するための合意を締結したにもかかわらず、ロシア機を攻撃した。」
「シリアにおけるロシア機をめぐる悲劇は、ロシアとトルコ関係にとって深刻な影響を持つことになるだろう。」
「ロシアは、トルコに対して、隣国としてだけでなく、友好国として接していた。これは誰にとって必要だったのか?分からない。しかし、(これを必要としていたのは)我々ではない。」
プーチン大統領は、「トルコがロシア機をめぐる事件についてNATOのパートナーに訴えたことについて、NATOをISのために役立たせようとしているかのようだ」と指摘した。
またプーチン大統領は、「ロシアは、国際社会が、共通の悪であるテロリズムとの戦いで団結するための力を自らの中に見出すことに期待している」と述べた。
プーチン大統領はまた、「ロシア機スホイ24に対する攻撃のような犯罪が実行されることを、ロシアはこれ以上許さない」と指摘した。
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トルコ国家は対ISISと称する軍事作戦を今年7月から思い出したかのようにはじめ、イラク国家実効支配地域内の”PKKテロリスト拠点”を丹念かつ執拗に越境爆撃し、対テロ特殊作戦部隊を地上からも越境させました。90年代から懇ろであったクルド民主党(KDP)などがイニシアティウ゛を持つイラク国家内クルド地域自治政府(KRG)への事前の手回しとKDPの黙認があったにせよ、90年代から数次に渡って行われた越境”PKKテロリスト掃討作戦”でもそうだったように、それは対クルド戦争というべき破壊・殺戮と固有言語などを捨てて”トルコ人としての振る舞い”を強いるものでした。
7月から対ISIS有志連合にトルコ国家が作戦参加したとされていますが、対イスラムジハーディスト(ISISやアルヌスラ戦線など)はトルコ国家AKP政権にとっては対クルド・対”反AKP的なもの”への”テロリスト”呼ばわりとトルコ極右を煽ってクルド人狩りをさせたりする事、同国家域内クルディスタンで7月から現在に至るまで飽くことなく続けられている”PKKテロリスト掃討”と称した丸腰のクルド人住民をほぼ連日のように銃撃で負傷させ死亡させ、住居群を破壊して力で隷属させようとする”テロとの闘い”とやら以上の優先課題ではありません。
また、トルコ軍は旧シリア国家実効支配地域内北部国境地帯のクルディスタンでもっとも激烈にISISと対峙しなければ生きていけなかったクルド人の民兵組織である民衆防衛部隊(YPG)やその女性防衛部隊(YPJ)、自由シリア軍(FSA)とYPGの混成連合部隊であるユーフラテスの火山部隊の拠点のみならずコバネ近郊の村などに砲撃を加えるなどする同国家域内からの越境攻撃を続けているという報告もあります。
ダウトオールとかいう”首相”を名乗る人物が越境攻撃を許さない旨の発言をしたといいますが、トルコ軍およびトルコ警察のやってきたことを見れば、ロシア国家やその軍を非難できる立場になく、ロシア・トルコ双方の非難合戦はいずれ劣らぬ暴虐極まりない同じムジナの争いに過ぎません。
日本列島のアベ政権は、原発や新幹線という盃を交わしたトルコ国家の立場を何らかの形で支持すると思われますが、そのトルコ国家が対外的に隠そうとしている暴力支配と域内クルディスタンでの蛮行を報道しない日本列島メディアによって、アベも見たというトルコとの親交を描く映画によってイメージをつくられてはならないと思います。
トルコ国家内の刑務所に収監された女性たちの看守たちによる日常化した性暴力は報告されているものだけでも全くもって酷いものであり、トランスジェンダーの収監者への性暴力や不当な扱い、同性愛者への不当な扱いは数少ない報告だけでさえも酷いものがあります。
体制に不満を持つものや不満を持っている疑いのあるものは総て”テロリスト”であるという弾圧する側の論理など、絶対に許せません。(一読者のたわごと)
ロシアの国益からは、ISを除く、シリア反体制派への攻撃が優先される筈です。
一方、米英にとっては、シリア反体制派の政権奪取が望ましい訳で、その限りにおいてISを叩く必要があるだけです。
従って、米英その他は、クルド人武装組織を援助しているのですが、同盟国のトルコは、同組織の武装闘争に悩んでいるのですから、同組織の増勢には、警戒している訳です。
この時点では、米英その他のISへの対テロ攻撃は、別言すれば、シリア反体制派への援軍となる訳です。
ただ、ロシアは、米英その他との対立に至る羽目になるかも知れないとの警戒心は持っている筈なので、シリア反体制派攻撃のカムフラージュが必要であったのしょう。 と推理すれば、ロシア民間機のテロに依る爆破・墜落が事実かどうか、と疑われるのですが。。。
今回は、トルコにそのカムフラージュが見破られてしまったのかどうかは別にして、自国領空侵犯を口実にしてロシア機を撃墜した訳で、欧州勢に亀裂が出来たのです。 と言うか、歴然とした訳です。
この間隙は、また、ISを利する結果になるでしょうから、世界からは、ISに依るテロの可能性が消えることは無いでしょう。
この情勢を睨んで、ロシア民間機へのテロを実施したのであれば、ISは、孫子の兵法を地で行く恐るべき政治情勢分析をしていることになります。
即ち、敵の中に味方を作る結果になるのです。
そもそも、ISの構成員の多くは、米英を始めとする諸国から多くの参加者を出していますし、その資金源も諸国からの送金が豊富にあるようです。
米英その他諸国が、ISへの自国からの参加者が、中東での抗争で戦死してくれればそれで良い、と放置していた責めが今に至るのです。
テロは、軍事で封殺されません。 直接には、地道な警察力に依る取り締まりが効果を発揮する訳で、間接的には、経済、福祉、等の内政充実に依るテロへの暴発防止策を講じる他には、無いのです。
それでも、テロは完全に防止出来得ないのは、各国ともそれらへの刑罰を観れば理解出来ます。
日本でも、内乱等の罰条では、犯人は、「確信犯」として遇しています。
即ち、一定の思想・信条や、教義を信奉して犯す犯罪なのですから、それ相当にそれらの犯罪には、極刑や、禁固刑が定められていて、懲役刑は、ありません。
翻って、世界の諸国から、これ等の罰条が無くなる日が来ない限り、テロの根絶は無いでしょうね。
さて、”ロシアのシリアでの軍事行動はシリア政府の要請だから国際法上合法、英仏米土の爆撃・直接間接の介入は国連のお墨付きさえないから侵略で違法じゃないの?””なぜ、マスメディアやこうした大手法学ブログでも論じられないの?”というところがあります。
水島朝穂先生も
>国際法は「軍事報復」(正確には武力復仇)を禁止
>今回は国家による攻撃ではない。テロ集団が潜むとされる国を一方的に攻撃することは、正当な自衛権の行使とは認められない。いかなる理由をもってしても、無辜の第三者を犠牲にすることは正当化できない
と書いています。http://www.asaho.com/jpn/coverright.html
また、田岡俊治さんは
>国際法上も外国の内乱の際、政府を援助して治安を回復させるのは正当だが、反徒を援助するのは間接侵略に当たる。http://diamond.jp/articles/-/81498?page=3
>シリア政府は米軍などによるISへの航空攻撃は内心歓迎だから黙認しているが、「アサド政権打倒」を公言してきた米国などの地上部隊がシリア政府に無断で同国領内で行動するのは明白な国際法違反だ。http://diamond.jp/articles/-/82152?page=3
>「アサドは自国民20万人以上を殺した」というのも少し考えれば変だと分かるプロパガンダだ。「自由シリア軍」が反乱を起こし、内戦になり、他国が反徒を支援して長期化したから多数の死者や難民が出た。内乱が起こればそれを鎮圧し治安と国の統一を回復するのは政府の責任だ。南北戦争では62万人の死者が出たし、西南戦争では1.3万人が死亡したが、リンカーンや明治天皇が自国民を殺害した、とは言えないだろう。http://diamond.jp/articles/-/82152?page=5 と書いています。
シリア政府がロシアに軍事支援を要請したのは確かで、
>ラブロフ外相は~米国主導の有志連合国のISに対する攻撃は国連安全保障理事会の承認を得ておらず、シリア政府の要請もないのに対し、ロシアの行動は国際法に沿っており、シリア政府の支援要請を受けたものだと語ったhttp://jp.wsj.com/articles/SB10363634014521574701704581267670899178658
この辺りへの論評も法学ブログには必要でしょう。
あと、
>9・11テロの首謀者とされたアフガニスタンのタリバンは、もともとアフガンに侵攻したソ連に対抗するためにアメリカが育てた勢力です。
は、タリバンをアルカイダに替えてさえ不正確で通俗的な解説でしょう。
タリバン政権は、”9・11テロの首謀者とされた”ビン・ラディンをはじめとするアルカイダを「客人」として当時滞在させていたのです。アメリカのビン・ラディンをはじめとするアルカイダの引き渡し要求に対し「犯人だという証拠を見せてくれたら引き渡しを考えましょう」とタリバン政権が応えたら、ジャイアンがアルカイダごとアフガニスタンを攻撃・侵略したと。
正式な虐殺・白色テロ容疑者のアルベルト・フジモリを日本政府は半ば公式に亡命を認め庇護しましたが、この伝で行けば、ペルー政府は日本に報復戦争をして良いことになります。
で、タリバン自体は、ソ連撤退後、政権が内戦に敗れて軍閥による戦国時代が到来した後、パキスタン政府が、アメリカも噛んでいるでしょうが、情報機関を通じてパキスタン内の”イスラム神学校”を通して思想・軍事教育をした”神学生”を中心にした武装勢力です。彼らは八路軍のように規律正しく、住民の保守的なイスラム的倫理・道徳・法感覚に沿っていて、多数派民族出身であり、パキスタン政府の支援があり、士気が高かったので、短期間にアフガニスタンをほぼ再統一しました。中村哲さんも北部同盟の軍閥よりもはるかにマシだと評価しています。
アルカイダは79年ごろ、アメリカがソ連の足を引っ張ろうと、ソ連の影響下にあった世俗的で社会主義的なアフガン政府に対して、イスラム過激派を焚き付けたところに誕生の種があります。現地および海外のイスラム過激派をアフガニスタンに集め資金・武器・訓練の援助をして政府に対して攻撃させました。これがソ連の軍事介入を呼び、この戦争がソ連の寿命を縮めました。アフガニスタンは蟲毒の壷となって国際ジハーディストグループ・アルカイダを生んだというわけです。湾岸戦争の折、ビンラディンは祖国にして聖地の守護者サウジアラビアが外国の異教徒である米軍を受け入れたことに激怒し、それまでのイスラム理解にはまずなかった新しいコンセプト国際ジハードを行うアルカイダを実働させるようになり、ついに911に辿り着くということになります。
※国際ジハード主義 基本的に祖国の外で闘争。異教徒世界でも戦う。本来のイスラム教義では”外"である異教徒世界には干渉せず戦わない約束。
※ダーイシュ 基本的に祖国で戦い、今ここにあるべき世界・国を作る。フランスでやったのは枝葉というべき。まあ、やったのはフランス人だそうだから基本に沿っているか。シリアのパスポートは同じ物が3冊あってそれぞれ別人が持っていたそうな。
国際ジハード主義は溜飲が下がるが、外国で白人を殺しても今の自分の問題の解決には直接関係しないので人気が下がり、今困っているなら今ここで問題を解決しようというダーイシュの考えのほうが人気が出ている。腐った江戸幕府体制をぶっ潰して王政復古、尊皇攘夷、廃仏毀釈、ええじゃないかええじゃないかやれとんやれとんやれな、あるいは”希望は戦争”ということらしい。
実際、アラビストの酒井啓子さんや田原牧さんは、ダーイシュと在特会・ネトウヨは非常に発想が似ていると指摘している。また、ブレイディみかこさんが紹介するダーイシュ像もそれに合致するように思う。http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymikako/20151119-00051589/
この論理はわかります。
でも、これでテロはなくなりますか?
では、どうすればテロは無くなり、平和な世の中を創っていけるのか?
前記事のコメントにも書きましたが、「テロリストは放っておけ、こっちが何もしなければやられない」のスタンスが我々のあるべき姿ですか?
空爆でシリア市民が亡くなっている事も事実ですが、ISによって虐殺・人権侵害も行われているのも事実ですよね?
日本はそうした軍事介入からは一定の距離を置いたほうが良いと思います。日本はイギリスやフランスなどの西欧諸国と違い、歴史上、中東地域を植民地として支配した過去もありませんし、キリスト教文化圏でもないので、イスラム教徒キリスト教の対立の歴史からも離れた立場にある。そうした日本の立場は、これまでも中東との外交で大きな役割を果たしてきました。軍事面で「テロとの戦い」に参加することはそうした独自の立場を失いかねません。
週プレNEWSより引用
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/11/26/57244/
日本とフランスではおかれている状況が違う。軍事力で解決できるものではない。むしろ泥沼化する可能性が高い。距離を置くのが当然。国際社会の平和のための貢献は非軍事的によるものでも十分貢献できる。
空爆では被害者が増えて恨みを増幅してテロリスト予備軍を増やすだけ。実際今までの米国の空爆でISは勢力を拡大しています。
この図式はマッチポンプであることが徐々に明らかになってきており、各国の思惑がISを生きながらえさせているのです。
トルコはクルド人を殲滅することに利用し、石油の密売で協力関係にあります。
空爆が武器や戦闘機のプレゼンになり、フランスやロシアの戦闘機の受注が増えているそうです。
アメリカ製は高いのと弱いのと(わざとだという説も有りますが)で売り上げは芳しくないようですが。
イスラエルはパレスチナ人をテロリスト扱いして、やはり殲滅させるために利用しようとしているフシが有ります。
サウジは中東の欧米支配が実は面白くないので、やはり資金を提供しているようです。
まあ、これ等全てが事実だとすると、テロを無くすなど不可能ですし、日本の出る幕は有りません。トルコに忠告も出来ないでしょうし。日本が出来ることと言えば難民支援くらいでしょう。実はこれが一番効果が有ると思います。