Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

一律と言うなら「全国民」ではなく、日本に暮らすすべての外国籍の人にも10万円を支給するのが当たり前だ。これは人権の問題であり、彼らも日本人以上に困っており、そして税金は負担している。

2020年04月19日 | 人権保障と平和

これからもぜひ毎日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!

にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

社会・経済ランキング

 

 

 基本的人権というのは、人が生まれながらにして持つ権利で、国家によって与えられるものではありません。

 ですから、外国人にも(学説上参政権などの例外はありますが)、基本的人権がそこの国民と同じように保障されるというのが国際的な常識で、日本でももちろん基本的人権は原則として外国人にも保障されると、判例・通説は考えています。

 なので、ネトウヨの人が良くデマを流していますが、日本で外国籍の方にも生活保護費が支給されているのは、生活保護が生存権の具体的な表れであることからは当然で、最高裁もこの運用を合憲としています。

 もともと、これら社会福祉の財源となる国税や保険料は所得税や消費税や社会保険料など、日本人外国人関係なく負担しているものですから当たり前です。

 

 

 さて、安倍政権が10万円を給付することにしましたが、これは新型コロナによる困窮を救う生活支援ですから、やはり生存権に基づくものであり、国籍関係なく支給されることが当然です。

 ところが、2020年4月17日の安倍首相の記者会見ではあえて

「国民」「全国民」

に支給すると表現されていました。

 これは生活保護でさえ外国人に支給するなという右翼が安倍政権の支持者に多いことを配慮してのものだと思いますが、もちろんこの通りに運用されたら外国籍の方々の基本的人権の侵害です。

 実際には、住民登録がある外国籍の方には支給すると総務省が発表しましたが、安倍首相の記者会見の方がインパクトがはるかに大きいですから、日本に暮らす外国人の方々は自分たちも生活に困っているのに、10万円の支給の対象から外されるのかと不安や動揺が走りました。

 

 以下に、外国人労働者の人権についての第一人者、私の畏友、指宿先生の文章をご紹介します。

 私がうかつにも気づかなかったことですが、住民登録している外国人を対象にすると、在留期間が徒過するなどして仮放免になっている外国人の方々には支給されないことになります。

 彼らは在留期限については違法状態にあるかもしれませんが、当然基本的人権は保障されています。

 例えば犯罪を犯して実刑になり、刑務所にいる日本人にも当然10万円は支給されます。

 まして、在留期間が過ぎているだけの外国人も、生活に困っていることに関しては普通の人以上なのですから、当然生活を助けるのが当たり前です。 

 私も今指宿先生にそれをお聞きして目を開かせていただきましたので、ご紹介します。

なぜ「国民」に一律現金10万円給付なのか?~外国人軽視に違和感

弁護士 指宿 昭一


*写真提供=仮放免者の会

 安倍晋三首相は16日夜、新型コロナの政府対策本部で、1世帯当たり30万円の支給策を撤回し、「すべての国民を対象に一律10万円の給付を行う方向で与党に再度検討してもらう」と公表した。メディアは、「全国民に現金10万円給付」と報道した。

 私は、首相の方針表明にもメディアの報道にも強い違和感を感じる。なぜ、「国民」への給付なのか? 日本に在住する外国人は対象にしないのか? 2009年に1万2000円の定額給付金支給の時は、住民基本台帳に基づき、日本に滞在する外国人の多くには支給がなされている。ただし、旅行中の外国人(短期滞在の在留資格)と在留資格のない非正規滞在者には支給がなされていない。

 その後の報道によると、総務省では、今回も住民基本台帳によって支給する方向で検討しているという。つまり、住民票を有する外国人には支給がされる方向だということである。

 第一の疑問は、なぜ、安易に「国民」「全国民」という言葉を使うのかということである。実際に、多くの外国人は、「自分たちはもらえないのか」という不安を感じたという。安倍首相もメディアも、「国民」という言葉を使ったときに、そこから排除されてしまう外国人たちのことを考えていなかったのであろう。多文化共生を目指す国としては、あまりにもお粗末だ。

 第二の疑問は、住民票を有しない外国人には支給しないでよいのかということである。各国の入国制限のため帰国できない旅行者には支給しなくていいのか。在留資格のない外国人には支給しなくていいのか。在留資格がないとないといっても、難民申請をしていたり、日本に家族がいるため在留特別許可を求めていて帰国できない事情の外国人は多くいる。しかも、今は、各国の入国制限のため、帰国しようと思ってもできない場合もあるのである。新型コロナウイルス感染症に伴う経済対策としての支給であれば、在留資格の有無で区別する必要はないはずである。また、入管から仮放免許可を受けている外国人については、本人の同意の下で、各自治体にそれぞれの居所が届け出られているのであるから、支給手続きを取ることは可能である。

 現金10万円の支給対象をどうするかによって、日本がどういう国であるかが試されている。

 

 

 

私もブログを書くときに、人権問題については

「日本に暮らすすべての方々」

と書くようにしているのですが、つい国民と短く書いちゃうことがあります。

気を付けますm(__)m

一日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!

Amazon タイムセール商品

 

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2回洗ったらこんなに縮むア... | トップ | 安住紳一郎アナ「橋下さんは... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
コロナ禍の中で忘れてはならぬ事 (肱雲)
2020-04-19 12:09:21
日本経済を下支えしてくれる
真面目な外国人労働者への
コロナ休業補償を抜きにして
対策は完結しない

我々が見落としがちな視点を
指宿 昭一氏は鋭く指摘してくれている
自分の事で精一杯になりがちな今だからこそ
氏の著書に目を向ける余裕を持つ必要がある
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

人権保障と平和」カテゴリの最新記事