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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

トランプ大統領はプーチン大統領もかつて在籍したKGBの影響下?アメリカの政策急変更で広がる傀儡説。マスク氏支配のXが「アルゴリズム変更」で世論誘導し「親トランプ」「親ロシア」投稿を優先拡散。

2025年03月27日 | ロシアによるウクライナ侵略

米政権を操作することも可能なのだから、日本で親露派陰謀論者を操るなど造作もないこと。

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 トランプ政権の安全保障担当者たちが、「ど素人集団が!」と馬鹿にされています。

 米誌アトランティックのジェフリー・ゴールドバーグ編集長は2025年3月24日の記事で、3月13日にメッセージングアプリ「シグナル」で「フーシPCスモールグループ」と名付けられたグループに意図せず招待されてしまったと説明しました。

 このグループでマイク・ワルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)はアレックス・ウォン副補佐官(国家安全保障担当)に対し、フーシ派への攻撃を調整する「タイガーチーム」を立ち上げるように命じているのをゴールドバーグ氏も読んじゃったんだそうです(笑)。

  そこで、 米ホワイトハウスも3月24日、トランプ政権の高官らがイエメンの親イラン武装組織フーシ派を攻撃する直前、戦闘の計画についてジャーナリストを含むメッセージンググループで誤って漏洩したと公表せざるを得なくなりました。

 CNNはこの事件を『トランプ氏、安全保障の要職に「素人」起用 劇的な失態招く』と報道しているほどですが、トランプ氏や政権ナンバー2のイーロン・マスク氏を含めて、まともなスタッフがトランプ政権にはいないことは1月20日に政権が発足する前から明らかでした。

リアリティ番組の出演者だったトランプ大統領とFOXテレビの司会者だったヘグゼス国防長官。

彼らにゼレンスキー大統領は元コメディアンと揶揄する資格はない。

ドナルド・トランプ次期米大統領の政権スタッフが史上最低。国防長官候補は性買春疑惑で辞退。司法長官に強姦疑惑。教育長官に児童の性的搾取疑惑。反ワクチン陰謀論者が保健福祉長官で政商納言マスク氏も参戦。

  

 

 さて、ただのド素人ならまだいいのですが、トランプ大統領について、ロシアがウクライナに侵略しているウクライナ戦争に関してもあまりにも親プーチン姿勢が露骨なので、トランプ大統領が旧ソ連の諜報機関、国家保安委員会(KGB、現ロシア連邦保安庁)による工作の影響を1980年代から受けてきたとの言説がまたも広がっています。

 トランプ氏がロシアの影響下にあるとの指摘は同氏の第一期政権の時代からくすぶっていたわけですが、1月の大統領就任以降、徹底してロシア寄りの姿勢を示すトランプ氏の言動を背景に、多くのウクライナ人を含み世界の市民が共感している状況です。

ロシアゲート揺らぐ米政権〉トランプ氏司法妨害 焦点 疑惑解明 本格捜査へ - 日本経済新聞

2017年から2020年の第一次トランプ政権で主張されていたロシアゲートの構図。

 

 

 ニューヨークやボストンなどの地方メディアの編集局長などを務め、海外から米政権幹部への資金の流れなどを抑える調査報道の手法で、複数の書籍を出版しているジャーナリストのグレッグ・アンガー氏はメリカの著名なジャーナリストおよび作家で、主にテロリズム、アメリカとサウジアラビアの関係、石油産業などの問題について取材・執筆活動を行っています。

 アンガーの最新の著作には、ドナルド・トランプ前大統領とロシアの関係を詳細に描いた『アメリカン・コンプロマット』があります。

 この本では、旧ソ連のKGBがトランプ氏を1980年代から「アセット」(情報提供者または協力者)として育成してきたという衝撃的な主張が展開されています。

 また、アンガーは以前にも『ブッシュの野望 サウジの陰謀 石油・権力・テロリズム』という著書を出版しており、アメリカとアラブ諸国の複雑な関係を探っています。

 このような彼の調査報道は高く評価されており、CNNやABCなどの主要メディアに頻繁に登場し、「ニューヨーカー」「エスクワイア」「ヴァニティフェア」などの著名な雑誌にも寄稿しています。

American Kompromat: How the KGB Cultivated Donald Trump, and Related Tales of Sex, Greed, Power, and Treachery ハードカバー – 2021/1/26

 

 

 さて、このアンガー氏はトランプ氏がロシアのアセットになっていく過程について

「トランプ・タワーなどトランプ氏が手掛ける物件を所有したロシア人13人が、マフィアとの関係を持っていた」

「トランプ氏はビジネスの失敗で幾度も破産した経験を持つが、そのような状況を救ったのがロシアマネーによる不動産投資だった」

「そして、そのような長年にわたるロシアへの恩義が、トランプ氏を親ロシアに仕立て上げたとしている。」

としています。

 また、アンガー氏は、トランプ氏はビジネスの失敗で幾度も破産した状況を救ったのがロシアマネーによる不動産投資だったと語り、そして、そのような長年にわたるロシアへの恩義が、トランプ氏を親ロシアに仕立て上げたとしています。

 また、英メディアの報道によれば、トランプ氏は1987年の訪露でチェコ出身の妻とともにモスクワとレニングラード(現サンクトペテルブルク)を訪れたが、それはソ連の駐ワシントン大使からの招待によるもので、帰国後、トランプ氏は約10万ドルをかけて複数の米主要紙に、当時の米国の外交政策を批判する全面広告を掲載したということです。

米大統領選介入が成功した理由:2016年、ロシアはトランプ勝利と「分断」も狙った:春名幹男 | インテリジェンス・ナウ | 新潮社  Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト

 

 

 

 そんなトランプ氏とプーチン氏に同時に取り入ったのがイーロン・マスク氏。

 プーチン政権は2022年2月に国連憲章に違反するウクライナへの侵略戦争を開始し、同年9月にはこれも国際法違反であるウクライナの4州の強制併合宣言をしました。

 少なくともその2022年からマスク氏はプーチン政権とコンタクトを取っていたことが明らかになっていますが、マスク氏は強制併合の翌月の10月にウクライナ戦争の即時停戦論を主張し、ウクライナでの「長期間にわたる殺戮」に対して「うんざりしている」と述べ、早期の停戦を求めました。

 彼は

「真に心配し、考え、理解する者は誰でも肉挽き機を止めることを求めている。今こそ平和を

と伊勢崎賢治氏ら「今こそ停戦を」一派と全く同じ主張をして、ウクライナ戦争の早期終結を訴えました。

 その中でマスク氏は、自社の衛星通信サービス「スターリンク」がウクライナ軍の「バックボーン」であると述べ、これを利用して

「無期限に資金を出し続けることはできない」

と述べて、ウクライナへの支援の継続に条件を付け、間接的に停戦を促す意図を示唆して、ウクライナを早くも脅迫しています。

トランプ政権のイーロン・マスク氏が「経営する企業の従業員・元従業員で結成したチームを駆使し、220万人に上る連邦政府職員に対する空前の支配力と、政府機構を劇的に改変する権限を手に入れた」(ロイター)


 

 そんなイーロン・マスク氏がTwitter(現在のX)を買収したのも2022年10月27日ですが、今から考えるとこれはマスク氏のロシア援助のための一環だったかもしれないという情報が出てきました。

 2024年10月に発表されたワシントンポスト紙の調査によると、米大統領選挙の真っ最中だった2023年7月~2024年10月下旬、マスク氏が「アルゴリズムの変更」によってトランプ氏のメッセージが拡散しやすいようにしたというのです。

 このマスク氏のアルゴリズム操作で若年票が流れるなど世論誘導につながった可能性があるということです。

 現に、米大統領選で共和党支持者がXに発信した投稿の閲覧数は75億回に上り、33億回だった民主党支持者の倍以上となりました。

 そして2024年11月4日の投票前日、米CBSのニュース番組を装い、

「FBI(連邦捜査局)がテロ攻撃の可能性を発表した。投票所に行かないように」

と警告する偽映像がⅩで拡散して混乱を招いたのですが、この映像はロシア関連グループの作成とみられるそうです。

トランプ政権のナンバー2にのし上がったイーロン・マスク氏が大統領就任行事でナチス式敬礼を連発。トランプ大統領は議会襲撃事件の容疑者1600人全員に恩赦。第2次トランプ政権はもはやファシズム政府だ。

 

 

 また、マスク氏は、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領は独裁者だ、実は4%の支持しか得ていないなどと主張していた2025年2月20日のXへの投稿で、トランプ氏の法螺話がⅩのコミュニティノート機能で訂正されているのが逆にけしからんと言い出し、

「残念ながら、コミュニティーノートが各国政府やレガシーメディア(オールドメディア)によって悪用される事例が増えている。

 これの修正に取り組んでいる」

「ゼレンスキーがコントロールする自身の支持率に関する世論調査が信用できないのは火を見るより明らかだ!!」

「実際には彼はウクライナ国民に嫌悪されている。それが彼が選挙の実施を拒否している理由だ」

と主張しました。

 このように、トランプ氏とマスク氏が巨大な資本力やⅩというツールを使って、トランプ政権とプーチン政権寄りの世論操作をしていることは明らかです。

 そこで、フランスの検察当局は2025年2月7日に、ヨーロッパの極右政党を支援しているイーロン・マスク氏の所有するXについて、アルゴリズムがデータ処理をゆがめた可能性があるとして捜査を開始したと明らかにしました。

 パリ検察当局によると、Xの偏ったアルゴリズムが自動データ処理システムの運用をゆがめている恐れがあるとの議員からの報告を受け、1月12日に捜査を開始しているとのことです。

 
 
 

 米国とロシアの代表団は3月24日、サウジアラビアでウクライナでの停戦について12時間も協議し、黒海での停戦などを議論したとみられます。

 そしてロシアの国営タス通信は3月24日に、米露が3月25日にも共同声明を発表する見通しだと伝えていたのですが、ロシアのペスコフ大統領報道官は3月25日に突然

「協議結果は公表しない」

と言い出しました。

 その間もロシアによるウクライナ攻撃は続いていて、3月23日にロシアのミサイル攻撃により北東部スムイで学校と病院に攻撃があり、ウクライナ政府は13人の子供を含む少なくとも74人が負傷したと明らかにしました。

 ウクライナのシビハ外相は
 
「ロシアは、ウクライナの主要都市の人口密集地域に残忍な攻撃を遂行しながら平和を語っている」
 
「ロシアは平和について空虚な発言をするのではなく、民間人に対する戦争を終わらせなければならない」
 
と述べました。

 そもそもど素人の集団と言われるほど能力の低いトランプ政権が、しかもロシアのアセットと呼ばれるトランプ大統領以下、ロシアに誘導されて動いているわけですから、トランプ政権によるウクライナ戦争停戦の努力が実を結ぶかは全く予断を許さないと言えるでしょう。

ゼレンスキー大統領とトランプ大統領が首脳会談で決裂!「彼はプーチン大統領についてあれこれネガティブなことを言う必要はない」と言い切る親露派のトランプ氏は、和平ではなくウクライナの資源だけを狙っている。

 

 

追記

統一教会のことを調べていたらたまたま見かけた紀藤先生の投稿。

めちゃくちゃ流ちょうな関西弁のロシア女性の語りに爆笑しましたww

 

 

編集後記

マスク氏の投稿のうち、少なくとも87件が虚偽または誤解を招くと評価された米国の選挙に関する主張を宣伝しており、20億回の閲覧があったとの報告もあります。

またロシアは、中国のTikTokなどのSNSプラットフォームを利用して、自国に有利な情報を拡散しようとしていることが指摘されています。例えば、ウクライナ侵攻開始直後に、180人以上のロシア人TikTokインフルエンサーが協調して「ロシアン・ライブズ・マター」というメッセージを拡散しようとした事例が報告されています。

そしてそのTikTokまでマスク氏が引き取るという話もあるのです。

そもそもSNSのオーナーは政権入りしてはいけないとか、逆に権力者はSNSを所有してはいけないとか、国際的な何らかの枠組みを作らないと、彼らの世論捜査で我々が知らない間に誘導されているという事態を阻止できません。

それでなくてもトランプ信者や親露派陰謀論者が世界中にウヨウヨいて、日本でも斎藤・立花・石丸騒動みたいなことが起きているのですから、言論の自由を盾にSNSを野放しにしておけばいいという時代ではないと思います。

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ビジネスインサイダー

「KGBはトランプ前大統領を『協力者』として育成してきた」元諜報員が証言。英ガーディアン報道

Thomas Colson

Feb 1, 2021, 12:40 PM

<picture><source srcset="https://media.loom-app.com/bi/dist/images/2021/02/01/kawamura_trump_KGB_top.jpg?w=640" media="(max-width: 767px)" /><source srcset="https://media.loom-app.com/bi/dist/images/2021/02/01/kawamura_trump_KGB_top.jpg?w=960" media="(min-width: 768px)" />kawamura_trump_KGB_top</picture>
大統領退任の日、フロリダ州のパームピーチ国際空港に到着して支持者の歓迎を受けるトランプ前大統領。同地に新たに「前大統領オフィス」を構えたことを後日発表している。
REUTERS/Carlos Barria
  • 旧ソ連の国家保安委員会(KGB)の元諜報員が、英ガーディアンの取材に応じ、トランプ前大統領を「アセット」(=情報提供者あるいは協力者)として育成してきたと語った。
  • 元諜報員のユーリ・シュヴェツはガーディアンに対し、KGBがトランプ氏をアセット候補として見出したのは1980年代だったとふり返った。
  • トランプ氏がモスクワ旅行から帰ったあと、西側を批判し、ロシアを擁護する言説をくり返すようになったため、驚いたという。

かつてプーチン大統領もその一員だったKGBが、トランプ前大統領をアセットとして40年間育成し、結果として西側陣営を批判するロシアのプロパガンダをアメリカでまき散らし、きわめて素晴らしい役割を果たしてくれたと、元諜報員がガーディアンの取材に対し語った。

証言したユーリ・シュヴェツは、過去数十年にわたるトランプ氏とロシアの関係を詳細に描いた、ジャーナリストのクレイグ・アンガーの新著『アメリカン・コンプロマット』の主要なネタ元だ。

ロシアとアメリカの元諜報員への取材をベースに書かれたこの著作では、KGBが1980年代にアメリカで数多くのビジネス関係者を(本人の知らぬうちに)アセットとして育て上げ、活用していた当時の状況が詳細に描かれている。

大統領になる前はKGBのスパイ! プーチン若かりし頃のキャリアとは

大統領になる前はKGBのスパイ! プーチン若かりし頃のキャリアとは

シュヴェツはガーディアンの取材に対し、KGBは1980年代、当時新進気鋭の不動産デベロッパーとして頭角を現し始めていたトランプに、アセット候補として目をつけた

 

 

ロシアによる侵略を受け続けるウクライナで、米国のトランプ大統領が旧ソ連の諜報機関、国家保安委員会(KGB、現ロシア連邦保安庁)による工作の影響を1980年代から受けてきたとの言説が広がっている。トランプ氏がロシアの影響下にあるとの指摘は同氏の第一期政権の時代からくすぶっていたが、1月の大統領就任以降、徹底してロシア寄りの姿勢を示すトランプ氏の言動を背景に、多くのウクライナ人が共感しているもようだ。

(ロイター/アフロ)

 トランプ氏は否定するが、敵国の要人をあらゆる手段で篭絡するのはソ連、ロシアのお家芸で、同じ旧ソ連のウクライナで、そのような見方が一層真実味をもって受け止められている側面もありそうだ。

KGBの〝傀儡〟

「モスクワから引かれた赤い絨毯は、ワシントンの大統領の家にまで伸びているようだ」

「トランプがKGBの手先ならば、これこそが今彼がプーチンを救おうとしている理由だろう」

「こんな偶然があるものか!すべては真実だ!!」

「トランプ氏の行動こそが、彼がKGBの傀儡であることを明らかに裏付けている」

 トランプ氏とKGBの関係を指摘するウクライナメディアや、ユーチューバーらのチャンネルには、その内容を支持するウクライナ語の書き込みが多数並ぶ。

 現職の米大統領がKGBの影響を受けていた――。にわかに信じがたい主張だが、そのような指摘は決して新しいものではない。2017~21年の第一期政権時から、ロシアに親和的だったトランプ氏の姿勢も相まって、同氏とロシアの関係性を疑問視する声が相次いでいた。

 特に代表的なものは、米国の調査報道ジャーナリスト、クレイグ・アンガー氏による主張だ。アンガー氏はニューヨークやボストンなどの地方メディアの編集局長などを務め、海外から米政権幹部への資金の流れなどを抑える調査報道の手法で、複数の書籍を出版している。ブッシュ元大統領への中東からの資金の流れなどを糾弾する本などでも知られている。

 トランプ氏とロシアの関係をめぐっても、19年、22年と、2冊の本を出版している。トランプ氏の大統領就任以降、ウクライナメディアの取材などにも積極的に応じているもようで、アンガー氏が登場するウクライナメディアの動画は100万回以上の再生回数を記録していた。視聴しているのはウクライナ人だけではないが、いずれにしても高い注目を集めている。

資金洗浄の手段か

 アンガー氏がウクライナや欧州のメディアに語ったところによれば、トランプ氏とロシアの関係は、旧ソ連時代の80年代にまでさかのぼる。ニューヨークで開業したばかりの超高層ビル「トランプ・タワー」において、デビッド・ボガティンという名前の男性が600万ドルを投じてタワー内の5つの部屋を購入したことがそのきっかけという。

 ボガティンはロシア・マフィアとつながりを持つ人物で、物件の売買を通じて資金洗浄を行った。アンガー氏によれば、トランプ・タワーなどトランプ氏が手掛ける物件を所有したロシア人13人が、マフィアとの関係を持っていたとしている。事実であれば、トランプ氏の物件を舞台に、旧ソ連の諜報機関が暗躍していたということになる。

 トランプ氏はさらに当時、KGBのフロント企業とされる亡命ロシア人が経営していた電化製品店から、数百台ものテレビを購入していた経緯もあるという。自社物件に設置されるものだったが、そのようなことからKGBがトランプ氏に着目し、その後の87年の同氏のロシア訪問につながっていった。

 英メディアの報道によれば、トランプ氏は87年の訪露でチェコ出身の妻とともにモスクワとレニングラード(現サンクトペテルブルク)を訪れたが、それはソ連の駐ワシントン大使からの招待によるものだった。

 当時のトランプ氏の足跡は、すでに多くのメディアが報じているところだ。アンガー氏の主要情報源とされる元KGB工作員で、ロシアのタス通信社のワシントン支局員だったユーリー・シュベツ氏が語ったところによれば、トランプ氏はこのロシア訪問を経て、ロシアとの関係を深めることとなる。

 帰国後、トランプ氏は約9万5000ドルもの巨額をはたいて複数の米主要紙に、当時の米国の外交政策を批判する全面広告を掲載したという。トランプ氏は当時、将来的にビジネスでロシアに進出する可能性も示唆していた。トランプ氏はこのころから、外交に関する情報発信を積極的に行うようになっていった。

トランプ氏は「ロシアのアセット(資産)」

 アンガー氏はまた、トランプ氏は直接KGBから報酬を得て、一定の仕事をこなす「エージェント(工作員)」ではなく、「アセット(人的資産)」と位置付けられていたと指摘する。アセットとは、いわば強い親近感を持って、相手の立場を考慮して行動する人物のことだ。

 石油業界で巨額の資産を築いた米国の富豪、アーマンド・ハマー氏もそのようなアセットだったとアンガー氏は指摘する。ハマー氏は、ソ連でも支店を設けるなど活発なビジネスを展開していたが、ハマー氏が高齢になるなか、当局は同氏に代わる人物を探しており、その過程でアプローチした人物の1人が、トランプ氏だったという。

 アンガー氏は、トランプ氏はビジネスの失敗で幾度も破産した経験を持つが、そのような状況を救ったのがロシアマネーによる不動産投資だったと語る。そして、そのような長年にわたるロシアへの恩義が、トランプ氏を親ロシアに仕立て上げたとしている。

アンガー氏の主張を補強するような情報はほかにもある。英紙ガーディアンは18年、トランプ氏が77年に結婚した妻、イワナ・ゼルニスコヴァさんが東欧チェコの出身だったことから、同国の情報機関がトランプ氏に目をつけ、イワナさんの父親を経由して、トランプ氏の情報を収集していた事実を暴露した。

 ガーディアンはチェコメディアと協力して、チェコの元情報機関員にも直接取材を行い、当時の記録ファイルなどとともにチェコ当局が当時、トランプ氏の動静を注視していた事実を報じている。チェコ当局の情報がソ連にわたっていたかはわからないが、いずれにせよ旧共産圏において、トランプ氏は目立つ存在であったことは間違いない。

即時停戦を無視し、攻撃続けるプーチン氏

 もちろん、トランプ氏は自身がロシアの影響を受けているなどとする指摘に対しては、「私はロシアのために働いたことは一度もない。すべてはデマだ」と述べて強く否定している。トランプ氏が勝利した16年の大統領選にロシアが介入したかをめぐる調査においても、トランプ陣営がロシア政府と協調して、彼らの介入行為を許したといった事実も認められなかった。

 第1期のトランプ政権が、一貫して親ロシア的であったともいえない。トランプ氏は確かに、大統領選においてはロシアに対し極端なほど融和的な姿勢を示したが、就任からわずか3カ月後にロシアが後ろ盾のシリア政府軍の拠点に「化学兵器を使用した」との理由で巡航ミサイルを撃ち込み、プーチン氏を激怒させた。

 その後もトランプ政権をめぐっては、相次ぐロシアとの関係性の発覚を受け「ロシア・ゲート」とも呼ばれる状況になり、同政権下でロシアに対する経済制裁は、むしろ強まったとも指摘される。

 外交上、他国の有望な人物に対して様々な施策を通じて、その人物を自国の味方に引き入れようとする動きは決して珍しいことでもない。富裕なビジネスマンで、旧共産圏との関係もあったトランプ氏の動静をソ連、ロシア当局が注視していたとしても、何ら不思議ではないだろう。

 ただそれでも、バイデン前政権からトランプ政権への移行で起きた米国の外交上の方向転換は、トランプ氏がロシアの影響を受けて政策を実行しているとの疑問をかきたてるものばかりだ。米国の後ろ盾でロシアの侵略行為に対抗してきたウクライナへの支援を止めれば、ウクライナに勝ち目はない。軍事面での協力削減や米国際開発庁(USAID)の解体など、欧州やアジア地域における米国の影響力を落とすかのような行為も、ロシアが強く願ってきたことで、トランプ氏の政策でロシアに有利に働かないものを見つけることの方が困難だ。

 ウクライナの全面的な支配を狙うプーチン氏は、トランプ氏による即時停戦の呼びかけを無視し、米国の後ろ盾を失いかけているウクライナへの進撃の手を緩める気配はない。トランプ氏がロシアの影響下にある、ないにかかわらず、プーチン氏は笑いが止まらないに違いない。

 

マスク氏買収のX、「アルゴリズム変更」で世論誘導か…「親トランプ」投稿を優先拡散

 世界各国・地域の選挙で、SNSは有権者に訴えかける手段として主流になりつつある。偽情報や中傷の拡散、世論の分断といった負の側面も無視できなくなってきた。SNSへの向き合い方を模索する海外事情を報告する。

        ◇

 「激戦州を民主党の地盤に変えるため、大量の不法移民を流入させている」。昨年11月の米大統領選の投開票日が近づくにつれ、共和党支持者がX(旧ツイッター)で民主党の移民政策を非難する投稿が相次ぐようになった。Xを所有する実業家イーロン・マスク氏も同様の主張を繰り返し、「根拠のない陰謀論だ」(米CNN)と問題視された。

 

マスク氏に限らず、大統領選ではトランプ大統領陣営のXへの発信が圧倒的に目立った。虚実ない交ぜの内容も含まれる。

 2023年7月~24年10月下旬、大統領選で共和党支持者がXに発信した投稿の閲覧数は75億回に上り、33億回だった民主党支持者の倍以上となった。米紙ワシントン・ポストが昨年10月末に公表した調査結果だ。同紙はマスク氏が選挙期間中、「アルゴリズムの変更」によってトランプ氏のメッセージが拡散しやすいようにしたと指摘した。若年票が流れるなど世論誘導につながった可能性がある。

 大統領選でXの投稿の傾向を調査したオーストラリア・モナッシュ大のマーク・アンドレイエビッチ教授は、アルゴリズムの変更について「必要な情報が開示されず不透明だ」とした上で「右派の投稿が優遇される傾向が明確に見られた」と指摘した。

 バイデン前政権時代にSNS規制を巡る議論が活発化したが、包括的な法整備には至らなかった。米ブルッキングス研究所のシニアフェロー、ダレル・ウェスト氏は「米国内のSNSは連邦政府の規制がない状況だ」と説明する。

 SNSに無防備な中で行われた大統領選では、米国と敵対する外国勢力の関与が疑われるケースも見られた。昨年11月4日の投票前日、米CBSのニュース番組を装い、「FBI(連邦捜査局)がテロ攻撃の可能性を発表した。投票所に行かないように」と警告する偽映像がSNSで拡散し、混乱を招いた。映像はロシア関連グループの作成とみられ、即日削除された。

 トランプ氏は1月の就任演説で、「政府による全ての検閲を即時に停止する大統領令に署名し、自由な表現を米国に取り戻す」と宣言した。後に署名された大統領令は「SNS上の言論への政府介入を禁止する」と明記した。SNS規制の流れは途絶える形となり、SNSやフェイクニュースに関する民間の自主規制も大幅に緩和される恐れが出てきた。

 フェイスブックを運営する米メタは1月、虚偽の内容を含む投稿の削除を目的とした「ファクトチェック」機能を米国で廃止すると発表した。メタは16年の大統領選で偽情報が横行したことを受け、第三者機関に真偽判定を委託していたが、トランプ氏が「検閲だ」と批判的だったことが廃止決定の要因とみられている。

 米ジョージ・ワシントン大学のスティーブン・リビングストン教授は「規制の見通しが立たない中、Xとトランプ氏自身が運営するSNS『トゥルース・ソーシャル』は事実上プロパガンダ機関と化している。民主主義の規範を破壊する危険性がある」と警告した。

 トランプ氏が1月3日、Xに「トランプはあらゆる面で正しい!」と投稿すると、マスク氏は「100点」と返信した。3月11日には、トランプ氏がトゥルース・ソーシャルで「我が国を助けるために全力で素晴らしい仕事をしている」とマスク氏をたたえた。やり取りには蜜月ぶりだけでなく、異論や検証を排除する危うさも帯びていた。

 

 マスク氏の発言は、盟友のドナルド・トランプ米大統領がかつて同盟者だったゼレンスキー氏を「独裁者」で、ロシアとの戦争を始めたと批判していることを受けたもの。これは長らくロシアが主張してきた内容と一致する。

 トランプ氏の方針転換を受け、欧州当局者やジャーナリストを含むソーシャルメディアユーザーはXを活用し、特にウクライナとゼレンスキー氏を擁護している。

 多くは「コミュニティーノート」を使い、誤解を招く可能性があるポストに背景情報を追加している。

 マスク氏は20日のXへの投稿で、「残念ながら、コミュニティーノートが各国政府やレガシーメディア(オールドメディア)によって悪用される事例が増えている。これの修正に取り組んでいる」と主張。

 「ゼレンスキーがコントロールする自身の支持率に関する世論調査が信用できないのは火を見るより明らかだ!!」「実際には彼はウクライナ国民に嫌悪されている。それが彼が選挙の実施を拒否している理由だ」と続けた。

 2022年にロシアがウクライナに侵攻した。

 ゼレンスキー氏の5年の任期は昨年満了したが、ウクライナの法律では戦時中に選挙を行う必要はない。

 キーウ国際社会学研究所(KIIS)が今月実施した世論調査によると、ゼレンスキー氏の支持率は57%で、「正統性を維持」している。【翻訳編集AFPBBNews】

〔AFP=時事〕

 

 

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2 コメント

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Unknown (秋風亭遊穂)
2025-03-28 00:08:08
アトランティックの記事がギフトされているので必読ですね。トランプ政権の無能と素人ぶりが生んだ失態劇です。

The Trump Administration Accidentally Texted Me Its War Plans
https://www.theatlantic.com/politics/archive/2025/03/trump-administration-accidentally-texted-me-its-war-plans/682151/?gift=hVZeG3M9DnxL4CekrWGK3xdPixlFILlDsEy7CHZbAq0&utm_source=copy-link&utm_medium=social&utm_campaign=share

 ゴールドバーグ氏は、Signalでマイケル・ウォルツと名乗るユーザーから接続リクエストがあったものの、誰かがなりすまして、自分を罠にかけようとしているのではないかと思ったようです。米国の国家安全保障指導部が、差し迫った戦争計画についてシグナルで通信するとは信じられなかったからです。
 しかし、その後のフーシ派への攻撃がSignalでの書き込みと一致したことをもって本物であると確信しました。ヘグセスは「兵器のパッケージ、標的、タイミングに関する正確な情報」を開示しました。

 弁護士の話では、当局者が軍事活動について話し合いたい場合、SCIF (注) と呼ばれる特別に設計されたシステムに入るか(ほとんどの閣僚レベルの国家安全保障当局者は自宅にSCIFを設置している)、承認された政府機器でのみ通信するべきだとしています。
 もし、彼らの携帯電話が紛失、盗まれたりしたら、国家安全保障に対する潜在的リスクは深刻だっただろう、とゴールドバーグ氏は指摘します。この脇の甘さからして、彼らのデバイスはすでにハッキングされてしまっているんじゃないかと私は思いますが。イーロン・マスク率いるDOGEの予算削減で、軍事外交方面に対する影響が今後あるかもしれません。イラク戦争のように誤った情報で他国に武力行使するとかです。現在においても、ウィトコフのようなド素人がロシアに丸め込まれているのを見れば、トランプが外交専門家をいかに無視しているかわかります。

 また、ウォルツ氏はシグナルグループの一部のメッセージを1週間後に、また一部を4週間後に消去するように設定していました。この点について、Jason R. Baron(メリーランド大学教授で元国立公文書記録管理局訴訟部長)氏は、
「ホワイトハウスと連邦政府機関に適用される記録法では、すべての政府職員は、メッセージを速やかに政府の公式アカウントに転送またはコピーしない限り、公務のためにシグナルのような電子メッセージ・アプリケーションを使用することを禁じられている」としました。 つまり、政府としてきちんと議事録を保存しなさいということです。
 それにしても武力行使という重大な決断の記録をなぜ消去したかったのでしょうか。

 トランプ政権が武力行使をいかに軽々しく考えているのか。国家を運営する自覚があるのか。この失態劇は今後を占うかもしれません。

【注】
1, Sensitive Compartmentalized Information Facility
返信する
自称? (時々拝見)
2025-03-28 13:54:12
世界の警察だったアメリカが、警察は無理ってことで、一気に世界のならず者になってしまいました。

それにしても、カナダを51番目の州にしていたら

トランプ氏が共和党最後の大統領

トランプ氏がいろいろあって有罪

ホワイトハウスIIと改称した刑務所に収監だったでしょうに(生きてれば)
返信する

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