Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

「福島原発事故から10年」後編 もう取り返しがつかない福島第一原発の史上最悪の事故。いったん大事故を起こしたら回復不可能なシステム、人類は廃絶するしかない。

2021年03月11日 | 福島原発事故

原発ゼロしか選択肢はありません。

これからもぜひ毎日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!

にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村


社会・経済ニュースランキング

 

 

「福島原発事故から10年」前編 脱炭素社会実現は原発推進の大義名分にはならない。安全性でもコスト面でも再生可能エネルギーが上!

に続く後編です。

 2011年3月に何度も爆発した福島原発事故は地球上に取り返しがつかない被害を与えました。

 海に空に放出された放射性物質は経済産業省原子力安全・保安院が中間報告で約77万兆ベクレルとしていますが、これも推計でしかも少なく見積もっているに違いないとしか思えません。

 

 ですが、セシウムやストロンチウムなど30年も半減期がある猛毒というべき放射性物質が、潮流に乗り、また偏西風などで全人類にまき散らしてしまって、福島はおろか全世界の人々に被害を被らせたことは間違いありません。

 そして、宇宙戦艦ヤマトに出てくるイスカンダル星の放射能除去装置みたいな都合のいい機械は未来永劫作れっこないので、これらの放射性物質はもう二度と取り戻すことはできません。

 

 福島第一原発の1~3号機では水素爆発などが起こり、メルトダウン(炉心溶融)を起こして格納容器から飛び出して落下した原子炉はいまだに回収できていませんし、回収作業の日程は延期に次ぐ延期ですから、本当は莫大な放射線を放出し続けている原子炉を回収するなどと言うことは、もともと不可能なのではないかとさえ思われます。

 そもそも、まだ炉心がどこにあるのか正確に場所さえわからない状態なのです。

 政府は2050年までに福島第一原発の廃炉作業を終了するといっていますが、もう事故から10年がたち、50年まではあと30年しかないのですから、とても廃炉なんて無理で、あと100年はかかるという専門家もいます。

 

 原子炉を冷やし続けるために使用している冷却水と流れ込んでくる地下水が放射能汚染水となり、そこからできる限りの放射性物質を取り除いた汚染水をタンクに貯めているのですが、ご存じのようにそのタンク数は1000を超え、そしてもうタンクは足りなくなって数年以内に何とかしないといけなくなっています。

 政府はこれらの放射能汚染水(政府などは処理水と言っていますが)は水で薄めて海洋に放出する気でいるのですが、もちろん、そんな大量の放射能汚染水を海洋に何十年もさらに流し続けて、日本近海の海の生態系やそもそもそこでとれる魚介類を摂取する我々人間にどんな影響があるかは、壮大な実験ということになります。

 

 政府や原発推進勢力は、放射能処理水は海洋に放出しても安全であることは確認されており、あとは

「風評被害」

だけの問題だといいます。

 この風評被害という言葉は、現実かつ客観的には安全なものが危険だという風評が立って、それで福島の漁業従事者などが被害を受けるという意味の言葉です。

 しかし、福島の第一次産業の方々には本当にお気の毒ですが、例えば海洋への汚染水放出による危険はないのかどうか、誰も試して確認した人はいないのです。

 

 この実験の恐ろしさは、もし人体に有害な影響が出ていても、それがはっきり福島原発事故由来の放射性物質によるものかどうか、わかりようがないということにもあります。

 これから静かにがんなどが増えていっても、それが何が原因かわかるというのは不可能でしょう。

 もともと原発は放射性廃棄物を出すのですが、原発は

「トイレのないマンション」

と同じだといわれるように、稼働を続ける限り、出続ける放射性物質をどうするのか全く解決してません。

 

 再処理してまた発電に利用できるなどと言う世迷言はいまだに実現しておらず、世界各国で地中深くに貯蔵しているのが現状ですが、10万年管理が必要だというその廃棄物施設を人類が安全に管理し続けられるかなんて、10年後のこともわからないのに、10万年だなんて誰も保証のしようがありません。

 つまり、原子力発電所はその場しのぎにしかすぎず、事故が起こらなくてもいずれは人類を追い詰める存在です。

 まして、原発事故が起こると悲惨な取り返しのつかない被害をもたらします。

 そして、福島原発事故が「あの程度」で済んだのはむしろラッキーだったのだ、関東全域が人が住めなくなる事態さえあり得たという専門家もいます。

 

 原発が日本で1基も稼働していない夏も冬も、日本で電力が足りなくなって停電するという事態は結局一度も起こりませんでした。

 危険な原発は、無駄に、一部原子力マフィアの利益のために利用されているだけなのです。

 私たち人間が長く生き残っていきたければ、核兵器同様、原発も廃絶するしかないのです。

SPEEDIとは何だったのか – 福島再生見る知る学ぶ

 

もう10年前から原発との共存は無理、ってわかっているのに、まだ原発ゼロが実現しないどころか、さらに新設さえしようと政府が言っている現状。

人間ってのはなんて愚かなんだろうと思います。

これからもぜひ毎日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!

福島第一原発周辺の帰還困難区域の境界はバリケードでさえぎられている(2021年2月、福島県富岡町)
 
画像説明,

福島第一原発周辺の帰還困難区域の境界はバリケードでさえぎられている(2021年2月、福島県富岡町)

 

10年前の3月11日金曜日の午後、日本で観測史上最大規模の地震が、東日本の太平洋岸を襲った。

マグニチュード9.0の巨大地震は、地軸をずらしたほど強力だった。この地震が引きこした津波で、1万8000人以上が死亡または行方不明となり、複数の自治体が壊滅的な被害を受けた。

福島県大熊町と双葉町にまたがる東京電力福島第一原発にも、巨大な波が襲来。電源の喪失を招き、大災害を引き起こした。

政府は隣接地域での居住を制限。原発から放射性物質の放出が増すにつれ、制限区域を拡大した。その結果、15万人以上が避難生活を強いられた。

原発事故から10年がたったが、原発周辺はほぼ当時のままの状態で残され、住民は帰還できていない。関係当局は事故処理の完了まで最大40年かかると予測。政府はすでに処理作業に何兆円も費やしている。
A woman cries on a road in Miyagi prefecture after the 2011 Japan earthquake
 
画像説明,

東日本大震災は日本の観測史上最大規模の地震だった

 

福島で何が起きた

東日本大震災と呼ばれるようになる大地震が起きたのは、2011年3月11日午後2時46分だった。

福島第一原発では、地震の感知とともに、原子炉の稼動が自動的に停止された。極度の高熱状態が続く炉心の周りに冷却材を送り続けるため、非常用ディーゼル発電機が使われた。

まもなく、高さ14メートルを超える高波が福島に到達した。防波堤を越えて原発にもなだれ込み、非常用発電機などの電源を失わせた。

Waves breaching the sea wall of the Fukushima power plant, March 2011
 
画像説明,

防波堤を越えて福島第一原発を襲った津波

 
A satellite photo showing a fire at the Fukushima nuclear plant in March 2011
 
画像説明,

福島第一原発ではメルトダウンが発生し、水素爆発も起きた

 

作業員らは電源の復旧に勤めたが、数日中には1~3号炉が過熱し、一部で炉心溶融(メルトダウン)も発生した。

水素爆発も相次ぎ発生し、原発建屋が損壊した。放射性物質が大気と太平洋に流れ出し、住民に避難を求める区域はさらに広がった。

影響を受けた人々

原発事故による直接の死者は確認されていない。爆発の際には、少なくとも16人が負傷した。これらの人に加え、原子炉の冷却と原発の安定化に取り組んだ数十人が、放射線にさらされた。

うち3人は被ばく線量が高く、病院に搬送されたと報じられた。

放射線の長期的な影響は、議論が決着していない。世界保健機関(WHO)は2013年の報告書で、原発事故によって、関係地域のがん発症率が測定可能なほど高まることはないだろうとした。日本内外の科学者らは、原発に近接する地域を除けば、被ばくの危険性は比較的小さいままだと考えている。

また、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は今月9日2020年報告を発表し、これまで県民に被ばくの影響によるがんの増加は報告されておらず、今後も放射線による健康影響が確認される可能性は低いと評価した。「放射線被ばくが直接の原因となる健康影響(例えば発がん)が将来的に見られる可能性は低い」と言及している。

一方で、危険はもっと大きいと信じる人も多く、住民らは警戒を解いていない。これまでに多くの場所で居住の制限は解除されたが、元の家に戻った人は少ない。政府は2018年、原発の復旧などの作業に当たっていた労働者1人が被ばくによって死亡したと発表。遺族への賠償に同意した。

多くの死者が出たのは、原発事故発生後の避難の際だった。被ばくへの懸念から移送されることになった入院患者数十人の多くが、途中で亡くなった事案もあった。

Workers check a boy for radiation near Fukushima, March 2011
 
画像説明,

福島では住民たちの放射線の線量が測定された

 

責任の所在

東京電力と政府に対し、非常事態への備えの不足と、対応のまずさの責任が問われてきた。

政府が組織した独立の事故調査・検証委員会は、福島の原発事故を深刻な人災と断定。東電は大災害に備えた安全対策や計画が不十分だったとした。しかし、東京地裁は2019年、東電の当時の最高幹部3人が業務上過失致死傷罪に問われた裁判で、全員に無罪を言い渡した。これは、原発事故に絡んだ唯一の刑事裁判だ。

Activists outside a court in Tokyo following the trial of three Tepco executives over the Fukushima disaster 2019
 
画像説明,

事故後、東京電力などの責任を追求し、原発に反対する世論が高まった

 

2012年には、当時の野田佳彦首相が、原発事故の責任は国にもあると述べた。民事訴訟では前橋地裁が2017年、国の責任を一部認め、避難者らに賠償を命じる判決を出した。

2020年には仙台高裁、今年2月には東京高裁がそれぞれ民事訴訟で、原発避難者に対する国と東電の責任を認定している。

廃炉と除染作業

原発事故から10年たった現在も、福島には立ち入り禁止の区域が残っている。関係当局は住民が戻れるよう、廃炉と除染の作業を進めている。

ただ、大きな問題が残ったままだ。放射性物質で汚染された物や燃料棒、100万トン以上の汚染水などを安全に除去するには、今後30~40年間で何万人もの作業員が必要になる。

かつての住民の中には、放射線への恐怖から2度と元の家には戻らないと決め、別の土地で新たな暮らしを築いている人たちもいる。

メディアは昨年、政府が来年にも、フィルターで汚染を軽減した水を太平洋に流し始めると報じた。

一部の科学者は、放出された水は大海によって薄められることから、人間を含む生物に対するリスクは低いとしている。一方、環境保護団体グリーンピースは、放出される水に、人間の遺伝子を傷つける恐れのある物質が含まれていると主張している

関係当局は、汚染水の扱いについて、最終決定はされていないとしている。

(英語記事 What happened at Fukushima 10 years ago?

 

 

 東京電力福島第一原発事故で、現場を悩ませ苦しめてきたのは、毎日大量に発生する汚染水だ。高濃度の放射性物質を含む水を、海へ漏らさず、発生量を減らす-。そのために地中を凍らせて壁を造る前代未聞の工事もするなど、膨大な金と人を投じてきた。事故前に構内に広がっていた松林は消え、立ち並ぶ1000基以上の灰色のタンクが10年を物語る。(小野沢健太、地上からの写真は山川剛史)
①敷地内には、汚染水を処理した水をためるタンクがひしめく。上部左から1、2、3、4号機の原子炉建屋=福島県大熊町の東京電力福島第一原発で

①敷地内には、汚染水を処理した水をためるタンクがひしめく。上部左から1、2、3、4号機の原子炉建屋=福島県大熊町の東京電力福島第一原発で

 1月18日、敷地山側にある9階建ての大型休憩所の窓から構内を見渡すと、円筒形のタンクがびっしりと密集している。海沿いの原子炉建屋がタンクの中に埋もれているようだった。
②水漏れのリスクが高いボルト締め型タンクを解体する作業員たち。タンクはさびが目立った=福島県大熊町の東京電力福島第一原発で

②水漏れのリスクが高いボルト締め型タンクを解体する作業員たち。タンクはさびが目立った=福島県大熊町の東京電力福島第一原発で

 2013年3月に取材した際、東電は工期が約1週間と短い、ボルト締め型タンクの建設を進め、汚染水の保管先確保を急いだ。取材直後に、底部のつなぎ目から汚染水漏れが発覚。完成まで2カ月ほどかかる頑丈な溶接型タンクに置き換えざるを得なくなった。
③ボルト締め型タンクの解体現場。作業員は防護服を着て、顔全体を覆うマスク姿だった=福島県大熊町の東京電力福島第一原発で

③ボルト締め型タンクの解体現場。作業員は防護服を着て、顔全体を覆うマスク姿だった=福島県大熊町の東京電力福島第一原発で

 あれから8年、ボルト締め型タンクの解体現場に立った。作業員がさびついたタンク外壁にある足場の手すりに命綱をかけ、機具でボルトを外していた。2月13日深夜に起きた地震では、8基のタンクで足場が地面に落下。老朽化が進む中で危険は増している。
 高さ約10メートルのタンク解体は、1400個ものボルトを外す必要がある。タンクは汚染されてもいる。耐久性よりも早さを優先した結果、かえって工程や作業員の被ばく量が増大することになった。東電と政府の場当たり的な対応が、事故収束作業をより困難にした。
④トリチウム以外の放射性物質を除去する多核種除去設備をメンテナンスする作業員たち=福島県大熊町の東京電力福島第一原発で

④トリチウム以外の放射性物質を除去する多核種除去設備をメンテナンスする作業員たち=福島県大熊町の東京電力福島第一原発で

 汚染水は原子炉建屋に入った地下水や、炉内への冷却水が事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れて発生する。事故当初は毎日500トンほど発生していたが、建屋周辺の井戸から地下水をくみ上げるなどして、今では1日140トンほどに減った。ただ、根本的な止水のめどは立っていない。
 汚染水の浄化処理の要は、ほとんどの放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPSアルプス)。しかし、放射性トリチウムは技術的に取り除けない。タンクには、政府と東電が「処理水」と呼ぶ大量のトリチウムを含む水の保管が続いている。
 政府は、処理水を水で薄めてトリチウムの濃度を国の排出基準(1リットル当たり6万ベクレル未満)の40分の1(1500ベクレル)未満にして海へ放出処分する計画だ。しかし「風評被害が避けられない」と漁業や水産業者を中心に強く反対している。
 増設計画のないタンクは22年秋以降に満杯になる。放出を決めたとしても、準備に2年程度かかるとみられ、タンクの増設は避けられない。甘い見通しで事態を深刻化させた歴史を繰り返すのでは-。疑問と不安を拭えぬまま、解体されるタンクを見上げた。
 

「廃炉には100年かかる」米原子炉専門家に聞く 3号機3つの懸念 福島原発事故10年 #あれから私は

飯塚真紀子 | 在米ジャーナリスト3/11(木) 9:34

福島第一原発3号機のトップ部分。(写真:ロイター/アフロ)

 福島第一原発事故から10年。

 

 この間、福島第一の問題と原発の危険性を声高に訴えてきた人物がいる。米“フェアウィンズ・アソシエイツ”でチーフ・エンジニアを務める原子炉の専門家、アーニー・ガンダーセン氏だ。長年にわたって、原子炉の設計、運営、廃炉に携わって来た同氏はスリーマイル島の原発事故を研究したことで知られ、福島原発事故後も日本を訪問して独立調査を行っている。2016年に福島を訪問した際は、同地で再汚染が起きている可能性について調査した。

 

 事故直後、筆者は、バーモント州にあるガンダーセン氏のオフィスを訪ねてインタビューを行い、その後も、折に触れ、何度も話を伺ってきた。

 

 そのガンダーセン氏は、日本テレビが2月12日に公開した、リマスターされた福島第一3号機の爆発ビデオとビデオ内で紹介されている原子力規制委員会の報告を見て3つの懸念を見出している。いったい、どんな懸念なのか話をきいた。

ーーリマスターされた爆発ビデオについて、どのように分析されますか?

 まず最初に、10年前にあの爆発映像を撮った日本テレビの勇気に感謝します。また、今回、リマスタリングされたことも科学者にとっては喜ばしいことです。しかし、私はこの映像を見て、3つの懸念を抱きました。

 

 第1に、爆発原因に関するTEPCO(東京電力)の技術的な解釈に大きな懸念を感じています。

 爆発には大きく爆燃と爆轟の2つがあります。前者は福島第一1号機や私が研究したスリーマイル島の原発事故で発生した爆発で、600マイル/時(965キロ/時)の速度で起きました。後者は福島第一3号機で発生した、非常に破壊的な超音速での爆発です。映像を見ると、最初に明るい赤い閃光が起きていることがわかるでしょう? 我々がその赤い閃光の速度をその近くにあるタワーの高さをベースにして測定したところ、900マイル/時(1448キロ/時)という超音速だったのです。

 2011年に私がこのことを発表すると、爆発専門のエンジニアたちがコンタクトしてきて、爆轟だとする私の分析に同意しました。

 

 爆轟に耐えられる格納容器など世界中のどこにもありません。そのため、原発産業は、爆轟の発生を認めることができないのです。格納容器が爆轟で破壊されるものであることを認めてしまったら、その中に、肝心の核燃料を入れられなくなりますから。

 

 3号機については、この爆轟がどのようにして起きたかまだ解明されていません。水素は室温では爆轟を引き起こさないからです。

 私としては、爆轟がどのようにして起きたかついて解明されるまでは、いかなる原発も稼働されるべきではないと考えています。そうしないと、福島第一の悲劇が繰り返されることになるからです。

 

 第2に、TEPCOが、格納容器の上部で新たなに見つかったと指摘している致死的な放射線量の原因を爆発に見出していることに懸念を感じています。

 というのは、私の分析では、放射能は爆発前からリークしていたからです。1号機と3号機は3月12日の朝までにはリークを始めていたはずです。ベントするために作業員が送り込まれましたが、放射線量は作業員が来る前から高まっていました。ベントの時はすでにリークが始まっていたのです。リークが始まったのは、冷却水がストップして、格納容器内の温度が高まり、プレッシャーが急上昇したからです。

 

 第3に、TEPCOが最初の爆発の3秒後に、2回目の爆発が起きた可能性について議論していないことを懸念しています。

 リマスターされた日本テレビの爆発映像は2回の爆発が起きたことを示しています。大きな黒煙が垂直に舞い上がった直後、白い煙が北の方角に水平に流れたのが見て取れます。これも、何が起きたかまだわかっていません。

ガンダーセン氏は、最初の爆発で黒煙があがった(赤いサークル)後に2回目の爆発(黄色いサークル)が起きた可能性があると考えている。写真:fairewinds.orgからキャプチャー。
ガンダーセン氏は、最初の爆発で黒煙があがった(赤いサークル)後に2回目の爆発(黄色いサークル)が起きた可能性があると考えている。写真:fairewinds.orgからキャプチャー。

 

ーー解明されていないことがたくさんあるわけですね。

 特に、3号機にはミステリーが多いのです。2号機もはっきりとは目に見えないものの、私の分析では爆発が起きていました。3つの原子炉はいずれも爆発していたのです。

ーー2月にも福島沖で大きな地震が起きましたが、原子炉への影響をどうお考えになりますか?

 1号機は水位を維持することができなくなっているようですね。それは、地震により、格納容器の割れ目から水が漏れ出していることを示唆していると思います。水が漏れ出ているため、水位が低下し、注水量を増やさなくてはならなくなっているのでしょう。また、その汚染水が地下水になったり、太平洋に流れ出したりすることも懸念しています。

ーーさらなる調査が必要になりますね?

 何度かお会いした菅元首相が、私にこう言いました。

「TEPCOとMETI(経済産業省)から受け取った情報は、タイムリーではなかったし、正確でもありませんでした」

 IAEA(国際原子力機関)やTEPCO、METIなどと繋がりがない、例えば、大学の研究機関などが独立調査を行う必要があると思います。

ーー廃炉にもまだまだ時間を要するのでしょうか?

 福島第一は2050年までに廃炉すると言っていますが、あと30年で廃炉できるとは思いません。私は事故から100年かかるとみています。スリーマイルの原発事故の場合は、炉心は原子炉内に留まっていましたが、福島第一の場合、溶融した放射性炉心がどこにあるのかさえ見つけることができていない状況なのですから。

 また、TEPCOが炉心をどのように取り除き、その炉心をどうするのかもわかりません。

 それに今、高放射線量の土壌と水が福島第一の下にあります。それをクリーンナップするのにまた30年かかるでしょう。廃炉まで100年かかる問題なのです。廃炉のコストも最低でも5,000億ドル(約54兆円)はかかると予測しています。

ーー社会にかかるコストは大きいということですね。

 菅元首相は「原発事故が起きると、人々が苦しみ、国も危険に晒される」とお話されていましたし、ゴルバチョフ元大統領も回顧録の中で「ペレストロイカではなくチェルノブイリがソ連を崩壊させた」と述べています。

 私たちは原発は国を崩壊させる可能性があるものなのだと認識する必要があると思います。

 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「福島原発事故から10年」... | トップ | 総務省が菅総理の長男の接待... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
安全と言うなら (ゴメンテイター)
2021-04-14 16:47:38
海洋放出はまだまだ少し先になるとはいえ、10年前に大爆発を起こした福島第一原子力発電所の汚染水を、処理して希釈して海へ放出することを、スカ政権は決めてしまいました。
「国の基準以下だから安全」との説明ですが、ではなぜもっと早くに放出しなかったのでしょう。そうすれば、汚染水を貯蔵するタンクの建設費も節約できました。
自公政権は、この8年余りの間、いったい何をされていたのでしょうか。長引けば長引くほど関連予算を流用して私腹を肥やすことができる?
あれ? これって、新型コロナウイルス感染対策と同じですね。
返信する
クソ自民滅すべし (Chroma)
2021-04-14 20:00:40
汚染水を海洋投棄するってとんでもねえ暴挙に出やがったよクソ自民。ふざけんじゃねえよ。
もう自民を本気で滅しないと日本は完全にゴミ国家扱いされるよ。
自民党がやったことなんです、わしらは反対してたんですなんて、世界に通じるわけがない。
膨大な放射性物質を全世界に垂れ流すクソ国家に落ちぶれる。誰も日本製品なんか買わなくなる。
一応すぐには放出されないけど、一刻も早く自民どもを追い出そう。是が非でも。

そこで一点。処理水でも汚染水でも、「トリチウム水」とは言わないようにしようよ。
くそったれの復興庁がトリチウムを「ゆるキャラ」化してきたでしょう。これは汚染水に入ってる「トリチウム」だけが問題になると見せかけてる。
「トリチウムは自然界にもあるんだよ」からの「だから特に問題ないのさ」に持っていこうという小狡い手法だよ。
問題はトリチウムだけなわけなくて、セシウムもストロンチウムもコバルトも、プルトニウムすら混ざってる。なんせ核燃料に直で触れてるんだから当たり前だね。こいつらはALPSとかいうヤツでも完全に取り除けない。
トリチウムトリチウム言ってる奴は、そこから意図的に目をそらさせようとしてる。引っかかっちゃいけねえぜ。

だから「トリチウム水」じゃなくて単に「汚染水」でいいと思う。「放射性汚染水」「核汚染水」でもいいけどね。電通の手に乗らないよう気をつけよう。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

福島原発事故」カテゴリの最新記事