測定と成果主義にもとづく学力幻想から私たちを解き放ち、民主主義と教育を結びつける新しい学びの様式へと誘う。
18歳選挙権の時代の新しい教育の姿を求めるすべての人にとって、必読の書である。
東京大学大学院教育学研究科教授・小玉重夫
はじめ、東京新聞だと勘違いして読んでいたので、「こちら特報部」と言ってることが真逆!と、文字通り飛び上がるほど驚いたのですが、読売新聞だと気づいて安心?しました。
読売新聞が今朝の社説で表題通り、文部科学省が高校生の政治活動について学校側の対応をまとめた「Q&A」で、高校生のデモ参加を事前に学校に届け出るように校則で決めたとしてもOKとしたことを支持しています。
いわく
・違法行為に発展する恐れがあるデモに、生徒が参加する事態は可能な限り、避けねばなるまい。休日に政治活動ばかりして、学業に支障が出るのも問題だ。
・たとえ校外の活動でも、教育上の観点から、学校が把握しておく必要はあるのではないか。
というのです。
まず第一に、バイトの中身が違法な場合もありますし、通学で痴漢行為をするかもしれません(笑)。
デモに限らず違法行為に発展しかねないことは学校外に山ほどあるのですから、違法な行為になる可能性があるから届け出制にすると言い出したら、すべての学外の行動を生徒は学校に届け出しないといけなくなります。
第二に、学校が生徒の校外での行動を把握しても、生徒の「不適切」な行動を止めることなどできません。なんなら、生徒が参加するデモにいちいちついていきますか?デモの参加者が増えていいかも。先生も外に出て学んだ方がいいし。
よい教育とはなにか: 倫理・政治・民主主義 | |
白澤社 |
本書でビースタは、成果主義時代の教育についての議論が、効率や効果についての技術的で管理的な議論に置き換えられており、エビデンスがよい教育に結びついていないことを明らかにする。さらに、よい教育とはなにかという問いに向きあうことが何を意味するのか。
日本の教育の民主主義的発展にとっても重要な示唆を与える、教育関係者必読の書。
根本的な問題は、読売が
「届け出をさせる場合には、学校側の配慮も欠かせない。生徒個人の政治的信条を問いたださないようにするなど、思想・良心の自由に十分留意せねばならない。」
としていることです。
生徒がどのデモや集会に参加するかをいちいち届け出させて学校が把握する自体が、生徒の思想・信条を知ることになり、これは内心の自由として絶対不可侵とされる思想・良心の自由侵害になるのです。
なぜなら、思想良心の自由はその内心を他人に知られることが最も重大な脅威になるので、絶対的な「沈黙の自由」を保障の内容としているからです。
つまり、デモや集会への参加を届け出させておいて、思想良心の自由に十分に留保することなど論理矛盾で、不可能なのです。
ここが、デモ参加の届け出と、バイトやバイク通学の届け出とが全く違うところです。
昔の判例に、デモを届け出制にする地方自治体の公安条例の違憲性について、「デモは暴動化する危険性がある」と書いた判決があったのですが、今は一顧だにされていません。しかし、読売の記事や文科省の「Q&A」は、まさにこのデモ暴徒化論に立っています。
現実を見よ。
許可制ではなく届け出制であれば、政治活動の自由に対する制約の程度は低いのですが、その前に思想良心の自由侵害でアウト。憲法違反です。
大人のデモ行進も道路交通の安全との兼ね合いで届け出制にはなっていますが、参加メンバーの名簿を出させたら違憲でしょ?個人にとってどのデモや集会に参加するかしないか知られないことが人権なのです。
この点、自衛隊の保全隊がイラク戦争反対集会に参加していた市民の個人情報を探ったことが、プライバシー侵害だとして国家賠償請求が認められた仙台高裁の判決を想起すべきです。
読売新聞が社説で堂々と主張していることが違憲・違法だというのですから、この新聞を発行することを毎朝届け出制にした方がいいんじゃないか。
自衛隊の恐怖。文官統制を拒否、秘密裏に米軍と作戦計画立案、市民の集会を監視、住民票を自由に閲覧。
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高校生が社会の仲間として、主権者として社会問題を考え、自由に声を上げることのできる社会へ!―制服向上委員会と高校生たちの挑戦!
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SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動) (編集) | |
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対談:高橋源一郎(作家)と中心メンバー奥田愛基が語る「民主主義とは?」 。著名人・識者からの応援メッセージ:茂木健一郎、高畑勲、後藤正文、小林節 ほか
高校生への主権者教育より、マスコミの人権教育の方が先じゃないかと思う今日この頃。
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高校生デモ参加 「届け出」でトラブル防ぎたい
高校生が節度を守りつつ、政治活動の経験を積めるようにしたい。
選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを受け、解禁された高校生の政治活動について、文部科学省が学校側の対応をまとめた「Q&A」を公表した。
Q&Aでは、政治活動への参加を例外的に制限・禁止できる具体例などを挙げている。文科省が昨秋、従来の通知を見直し、放課後や休日に校外でデモや集会に参加することを容認したためだ。
行進中、投石や警備活動の妨害に及ぶ。無許可デモを繰り返す団体が主催するデモや、他人の生命・名誉を害する内容を連呼する集会に加わる。部活動での人間関係を背景に、先輩が後輩に支持団体の集会への参加を強要する。
いずれも高校生の行動として、不適切なのは明らかだろう。
議論を呼んでいるのは、校外のデモに参加する際、事前に学校へ届け出をさせることの是非だ。Q&Aは「必要かつ合理的な範囲なら可能」との考えを示し、判断を教育現場に委ねている。
一部の教育委員会では、「届け出は不要」との方針を学校側に伝えている。「届け出制にすると、学校の監視が強まり、生徒を萎縮させる」といった批判もある。
無論、放課後や休日に校外で行う政治活動は、基本的に、保護者の理解の下で、生徒が主体的に判断すべきものである。
ただ、違法行為に発展する恐れがあるデモに、生徒が参加する事態は可能な限り、避けねばなるまい。休日に政治活動ばかりして、学業に支障が出るのも問題だ。
たとえ校外の活動でも、教育上の観点から、学校が把握しておく必要はあるのではないか。
届け出をさせる場合には、学校側の配慮も欠かせない。生徒個人の政治的信条を問いたださないようにするなど、思想・良心の自由に十分留意せねばならない。
政治参加について、生徒がきちんと判断できる力を養う上で、主権者教育は重要だ。
選挙管理委員会による出前授業で、生徒たちに模擬投票を体験させる学校が増えている。地元住民から地域の課題を聞き取り、議会への請願書を作成する「模擬請願」に取り組む学校もある。
安全保障法制など、国論を二分するテーマを積極的に取り上げることも有益だろう。立場の異なる複数の新聞記事を教材に使えば、多角的な視点を提供できる。
教育現場には、政治への関心を高める授業を求めたい。
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そうですよね。届け出制は、どう考えてもおかしいです。
それにしても、読売新聞の社説は、読んでいて不愉快になることが多すぎます。
安保法案や原発再稼働、沖縄の辺野古の問題も、これはひどいと感じる社説をどのくらい多く書いていることか・・・。
本当にこれじゃ、安倍政権の広報誌みたいですね。
本人と親に任せれば、ええんや。
なんで学校が、いちいちくちばし挟んで来るんや。
デモの届け出について、
■「届け出は不要」とし、各校に伝えた自治体
宮城、愛知、香川各県、大阪府、仙台、堺両市
あれ?
お維新のお膝元、大阪府が、以外にリベラル。府教委にはまだ魔の手が伸びていないのか。
よきかな。