Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

2030年「代」の原発ゼロという野田民主党政権と、脱原発を言いもしない自民党総裁選5候補の呆れた戦い

2012年09月15日 | 原発ゼロ社会を目指して

 

 政府が2012年9月14日にまとめた革新的エネルギー・環境戦略は、内容に矛盾や問題点を抱えつつも「二〇三〇年代に原発稼働ゼロ」の実現を掲げました。

 国民全員突っ込むわ。

「いつの間に、2030年から30年代に10年延びとんねん!?」

 パブリックコメントや意見聴取会で国民に選択するよう呼びかけ考えさせたのは、2030年の原発依存度として0%、15%、20~25%の3選択肢でした。最悪でも「2030年の原発比率」だったはずなのに、いつの間に、10年も計算を誤魔化す話になったのか。

野田首相が脱原発デモ主催者と面会 パブリックコメントの9割が原発0%支持! もう脱原発しかない!!


 全国で最も新しい北海道電力泊原発3号機は2009年の年末に運転を開始で、そもそも2040年を越えて運転できる原発はこれを含めて5基しかないのです。結局、これまで作った原発は全部最後まで使い切ろうという話になってしまっています。

 福島原発事故の原因もわからず、収束もできない今の事態の反省はどこに行ってしまったのか。

 地震などの災害国日本で、すべての原発が何事もなく寿命を終えられるという保証はないのです。数十年以内に首都圏や東南海での超巨大地震が予想されています。私のように全原発即時廃炉ということでなくても、少なくとも今こそ、できる限りの人材と資金を投入し、最大限速やかに原発をゼロにするのがあるべき新たなエネルギー政策のはずです。

 また、原子力ムラの安全神話と低コスト神話の淵源である核燃サイクルについても政府の方針はあいまいで、原発がゼロになれば使用済み核燃料の新たな排出もゼロになるということを意味します。リサイクルは成り立たないはずなのに、政府は、使用済み核燃料から利用可能なウランやプルトニウムを取り出す再処理事業は当面続け、もんじゅもいずれ運転を再開するというのです。

 これでは、原発ゼロは撤回する予定だと自白しているようなものです。

写真

 

 他方、次の総選挙で政権に返り咲くであろうと予想される自民党は、民主党に輪をかけた悲惨な体たらくです。

 以上のように問題だらけの政府の2030年「代」原発ゼロ構想に対しても、9月14日の演説会やテレビ出演で「典型的なポピュリズムだ」(石原氏)、「福島の事故原因を究明できないまま議論するのはナンセンスだ」(石破氏)などとそろって批判したというのです。

 多くの国民がむしろ遅すぎると批判するであろう2030年「代」構想を『ポピュリズム』と呼ぶ石原幹事長の頭の悪さも相変わらずですし(この人は原発事故で汚染された土の運搬先を、福島第1原発の第1サティアンしかないとも発言した。終わってる)、賢しらに話す石破氏には事故原因が解明できないくらいの技術力なのだから原発ゼロは早めるとならないといけないのに論理矛盾のオタクは使えないとしか言いようがありません。

 そもそも、原発を半世紀推進してきたのは自民党です。自民党政権は原発利権の元となる電源開発促進対策特別会計(現エネルギー対策特別会計)を設け、原発の立地自治体や周辺自治体に公共事業を優遇するなど原発建設を推進し、福島原発事故直前の2009年の衆院選では発電比率を当時の25・6%から40%に引き上げる目標を示していました。

保安院のやらせを産んだ原発推進利権 自民党・経産省・財界・マスメディア・自治体の癒着の構造


 このように自民党は民主党よりも原子力ムラとの結び付きが強く、積極的 に脱原発依存を打ち出すことはありません。上の石破氏なんて御嬢さんを東電に入社させてもらったばかりです。ですから、次期衆院選の公約最終案でも、原発再稼働の是非について「三年以内の結論を目指す」と意味不明なないようになっています。。

 総裁選に出馬した五人は全員が公約でエネルギー政策に触れましたが、地下式原発議連の顧問である安倍晋三元首相は「脱原発依存」に言及したものの、原発をゼロにするかは明らかにしませんでした。ほかの四人は脱原発依存には触れもしませんから、安倍氏以下です。

 民主党と自民党の惨状は、二大政党制、つまり小選挙区制が日本の政治のガンであることを示しています。

 死票が大量に出る小選挙区制ではなく、民意が反映されやすい比例代表制の比率を最大に高めることが、結局日本を良くする道だと強く感じました。

中曽根・小泉・安倍自民党原発推進議員人脈 地下式原発議連のお笑い

 

(民意はできるだけ早い原発ゼロ)

 

 

民主、自民以外の選択肢が維新とは世も末でんなあ。

よろしかったら上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

 

 

写真

 政府は十四日、今後の原子力政策をめぐり、関係閣僚らによるエネルギー・環境会議を開き、二〇三〇年代の原発ゼロを明記した「革新的エネルギー・ 環境戦略」を決定した。使用済み核燃料から新たな核燃料をつくる再処理事業は不要になるにもかかわらず、続けることを決めた。原発の稼働は原則四十年に制 限するが、安全が確認されれば期間内は「重要電源」として再稼働を認め、三〇年時点での原発依存度は実質的に15%になる。多くの国民が求めたすべての原 発からの脱却を含め、三〇年までの稼働ゼロから大きく後退した。

 戦略には判断の先送りや矛盾を抱える内容が多い。だが、野田佳彦首相は会議後、「見通せない将来について確定的なことを決めるのはむしろ無責任だ」と説明した。戦略は、近く国家戦略会議に報告し、閣議決定する。

 戦略は「原発に依存しない社会の一日も早い実現」を目指し「三〇年代にゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と表現した。

 原発の運用は▽四十年運転制限を厳格に適用▽原子力規制委員会で安全が確認されたものは「重要電源」として再稼働▽新設や増設はしない-ことを原則とした。

  二〇〇〇年代に入り運転を始めた中部電力浜岡5号機(静岡県)や北陸電力志賀2号機(石川県)など五基は、三九年時点で稼働四十年を迎えない。エネ環会議 議長の古川元久国家戦略担当相は「ゼロにする努力をする」と述べるにとどめ、廃炉の明言を避けた。中国電力島根3号機など建設中の原発も「個別のものは決 めてない」と稼働に含みを残した。

 また、核燃料サイクル政策自体の判断も先送りにした。サイクルの中核となる高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)は、「年限を区切り使用済み核燃料処理の研究に使う」としたが、終了時期を定めなかった。

  使用済み核燃料再処理工場などサイクル関連施設を受け入れてきた青森県を「最終処分地にしないとの約束は厳守する」と強調。一〇年時点で発電電力量が千百 億キロワット時だった再生可能エネルギーは、設置手続きの簡素化や送電網の強化などで三〇年までに三倍に拡大する計画を盛り込んだ。

 <革 新的エネルギー・環境戦略> 東京電力福島第一原発事故を教訓に、原発に依存しない社会に向けた目標や方策をまとめた中長期的な指針。今後のエネルギー、 環境政策の柱となる。政府はこの戦略をもとに電力システム改革戦略や、再生可能エネルギーの拡大策などを盛りこんだ「グリーン政策大綱」、新たな地球温暖 化対策や、原子力関連の人材・技術の維持策を年末までにまとめる方針だ。

(東京新聞)

 

 

自民党総裁選5候補生出演 「原発依存」を尋ねる

自民党総裁選が14日に告示され、5人の候補者が出そろった。
その5人の候補者が「スーパーニュース」に生出演した。
「原発依存」について質問した。
まず、各候補に原発依存度何%を目指しているか質問。
安倍氏は「?」、石破氏は「-」、町村は「?」、石原氏は「今、具体的な数字を示すは拙速」、林氏は「未%」と答えた。

(今は拙速ということだが?)
石 原氏「やっと再生エネルギーの定額買い取り制度がスタートしたばっかりですよ。これが、いったいどの程度で定着するのか。ドイツでは、すでに高すぎると、 一般の方が文句を言い出してきている。そして技術革新で、原発に代わるもの、わたしは新エネルギー構造改革って言っているんですけど、これ5年や10年 じゃできませんよ。20年、30年長いスパンでものを見て、どれだけのものを廉価で国民サイドに供給できるのか、すなわち家庭の2倍というお話よりも、 もっと重要なのは、日本に製造業がなくなっていいのか。日本に工業がなくなっていいのか。そういうことにつながるわけですね。それを考えずして、日本を農 業国家にする、漁業国家にするなら、いざ話は別ですけど、その国民の生活、わたしは富と仕事だと思います。これがどうなるのかを数字を出さないで、こんな ことを議論するのはナンセンスですし、もう1つだけ言わせていただければ、使用済み核燃料の最終処分場ありません。じゃあこの中間貯蔵場の青森から、いや ですよと言ったときにどういうことが起こるのか。それをやっぱり政府が考えてなくて、これは典型的なポピュリズムのある姿だと思いますね」

(?やバー(石破氏)と答えた候補は最終的に目指す方向は? 依存を減らしていくのか、維持していくのか?)
町 村氏「方向感覚を下げていくっていうことについて、たぶん共通なんじゃないかと思います。ただ、具体的にどこまで下げられるのかということについて、この 時点でまだ技術開発の進捗(しんちょく)度合いもはっきりしないときに、何年に何%、ゼロなんていうことは、本当に私は、無責任極まりないと思います。そ してもう1つ、最近皆さんあまり話題にしないが、地球温暖化対策。あれどこいっちゃったんでしょう。もう原発の事故以来原発をどんどん減らす。いまだに民 主党さんは、例の温室90年比25%減。あれ、まだ固執しているんですよ。全く両立しない話を平気で掲げている。僕は地球温暖化だって重要だと思います よ。これをね、並べておくというのは、本当に論理矛盾の最たるものだと思います」

石破氏「それは、福島第1原発の事故がなぜ起こったのか という原因もきちんと究明もできないままに、こういう議論をしてもナンセンスなんだ。どうしたら防ぐことができたのかっていうことを、きちんと究明をしな ければいかんでしょ。そして、それに対する、ありとあらゆる安全策を講じることも大事でしょ。そして、また安全だけではだめで、安心ということも大事なん です。それをできるかぎりやるっていうことが先決なんじゃないですか。そして、風力であり、太陽光であり、時間がかかりますよ。コストもかかりますよ。そ れを全力でやっていく。そのことを全部、あわせてやっていった結果として、どうなるかであって。それはゼロのほうがいいな、みんな、そうですよ。だけれど も、そこを目指してどうやってやっていくのかということも考えなければいけないし。原子力発電っていうのは、24時間発電をするわけです。そうすると、ど うやってエネルギーを効率的に使うか。電気をどういうふうに蓄電をするか。それによって温暖化をどう防ぐか。エネルギーの浪費をどう防ぎ、どうやって産業 を活性化させるか。そういう、きちんとした議論も行わないままに、じゃあ何%ですか。そういう議論をしてはいけません」

林氏「原子力規制 委員会っていうのをもうつくったんですね。残念ながら、国会同意の人事は、民主党の事情でかかりませんでした。だけど、政府のほうが19日に任命して発足 する。ここで数カ月かけて、基準をつくって、それをきちっとあてはめる。地道な作業も、フィードインタリフとあわせてやっていったうえで、こういう数字が 出てくると思いますね」

安倍氏「2つのことを言わせてください。昨年の過酷な事故を経験して、なるべく原発依存については、この割合を減 らしていくというのは、これはコンセンサスができていると思います。しかし、当面の電力需要に対しては、対応していかなければなりません。全部止めたまま では、3兆円という国費が奪われていくんですね。製造業は、じゃあ日本で製造拠点を置き続けることができるかどうかっていう岐路に立たされているんです。 雇用の問題が起こります。ですから、安全が確認されて、プロセスが国民にとって大丈夫だなということが、皆さんに思っていただけるような中において、再稼 働を進めていく。そして中長期的なことについては、なるべく再生可能エネルギーに対して、国家支援をもっと投入していけば、新たなイノベーションが生まれ てくるという可能性はありますよ。そしてまた、メタンハイドレード等、自前のエネルギーをちゃんと確保していく必要があります。ほとんど中東に頼っている んですから。これでは、とっても危険です。その中において、確実に、これはいけますねという中において、原発依存度を減らしていく。いきなり今ゼロといっ たら、もう技術者を維持できないですよ。原発を徐々に減らしていくというときにおいても、技術者は必要です。また使用済み核燃料をどうするか、世界の課題 ですね。この中においても、日本は期待されてるんです。技術者を確保していくうえにおいても、もうやめたっていうことでは、技術者の確保ができない。今、 持っているせっかくの技術なんですから、それを利用して、選択肢としてとっておくっていうのは、わたしは責任ある考え方だと思います」

(原発事故で汚染された土の運搬先を、福島第1原発の第1サティアンしかないというふうに発言。サティアンとはオウム真理教がサリンを製造された施設。これはいったい、どういう意味?)
石 原氏「言葉足らずで、わたし間違ったことを言ったんですが。正確には、福島第1原発から5km以内の地域と、そういうふうに言えばよかったんですけど、頭 の中で侵せざるところ、踏み入ることができないというイメージがあったもんで、その発言をしてしまって、訂正をさせていただきました」

(FNN 09/14 18:31)


コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 怨念の政治家 橋下徹大阪市... | トップ | 発狂する東アジア 中国での... »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (K-T)
2012-09-15 19:00:22
発送電分離で競争させれば、効率の良い方向へコストダウンへ格段に進む。民主からも自民からもこの言葉が出てこない。国内の産業の発展は競争と見込みある所への補助、これに尽きる。
アメリカでは原発よりも火力の方が既に安価。電気料金の安易な値上げは避けられるはず。
自民は時が経てば、脱原発の民意が多少弱まると思ってるのではないか、だから原発の是非を3年後と~。
使用済み燃料が福島の4号機のように溜まるのを予想できるなら先ず止める。

こんな感じなので自民もたまりませんが、民主だと国がどんどん蝕まれそうでこれもパス。
維新→再稼働何とも思ってないし、消費税UPもTPPもOK。、棄民政党ばかりです。
返信する
事実上の原発廃止棚上げ? (1大阪府民)
2012-09-15 21:38:12
 2030年が2030年代に言い変わったりしますが、野田首相も解散の時期をいろいろ言い換えていたりして、ほんとうにこの民主党の約束っていうものは信用ができません。というか信用できないことに慣れてきました。

 同僚が、夏に福島へ支援に行った時、避難勧告があった時「すぐに帰れるもの」と思って避難して、そのままいつ帰れるか分からなくなったという避難所の方々の言葉を聞いたそうです。
 へえーそうなのか、でも原発は必要だよねっていうのは、人間として考えられない思考だと私は思います。
 政府が、結局は「原発事故が起こって福島で大変なことになって、苦しんでいるのか、へえーそうなのか、でも原発は(今のところは当面)必要だよ」という感じでは…悔しいですね。
 
返信する
訂正 (時々拝見)
2012-09-16 13:46:19
ミスターアメリカじゃなくてキャプションアメリカでした。アメリカのキャプションを伝えるだけ。しかし、何とかの息子とか孫が多いメンバーですね。
ブラックウィンド、放射性物質もれやら政党補助金とか、黒い風が得意技。
返信する
「維新八策」にも ( 浪速姫)
2012-09-17 02:53:08
「脱原発依存」が入っていましたけれど、「話題になってることは何でも入れとけ。あとでいくらでもひっくりかえせるから。」ということでしょう。 「領土問題」についての言明もしかり。

 「震災がれき」の受け入れについても説明会で捨て台詞を吐いてそれっきり。本当に東北の復興を思うなら粘り強く市民を説得するはず。 彼にとっては、東北はよそ事なんでしょう。放射能被害も。

 「維新八策」で東北の復興・再生については一言半句も述べていません。日本にとって最重要事ですのに。

 それで「国政進出」を目指すというのですから……。

 
 
返信する
数字の入力ミスのようです。 (時々拝見)
2012-09-28 18:28:01
ボツかとカン違いし申し訳ありません。
この面々を見て、アベンジャーズならぬスカベンジャーズを妄想してしまいました。
言うこと聞きますアイアイマン、ウィドウメイカー配備しますブラックウィドウメイカー…
ハイエナやタスマニアデビルやシデムシの皆さんごめんなさい。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

原発ゼロ社会を目指して」カテゴリの最新記事