プーチン大統領との電話協議後、トランプ米大統領が欧州各国首脳らに対し「私はウラジーミルは和平を望んでいないと思う」。ロシアはローマ教皇仲介の停戦協議も拒否。ウクライナ戦争停戦の障害は侵略国ロシアのみ。

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親露派陰謀論者期待の星だったアメリカのトランプ大統領がロシアがウクライナを侵略しているウクライナ戦争の停戦仲介を半ばあきらめた形で、しかもそれが案の定ロシアのプーチン政権側に拒否されたからということが明らかになりました。
そもそも、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが4月20日に報道した、ロシアのウクライナ侵略の和平交渉で米国が提案した和平構想の概要によると、
1 現在の戦線に沿って戦闘を凍結
2 ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の併合を米国が承認
3 ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を排除する
と、まさにプーチン大統領が停戦条件として掲げてきたものをウクライナに丸呑みせよという内容でした。
ところが、プーチン大統領はそもそも停戦せずに戦争しながら協議すると言い出し、さらにロシアが強制併合宣言したウクライナ東南4州からウクライナ軍が即時撤退することや、停戦後に平和維持軍として欧州の軍隊が駐留しないことまで求めたそうなので、これではウクライナの方の安全は全く保障されませんから、さしもの親露派トランプ大統領もお手上げだったわけです。
アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは5月19日に行われた2時間40分もの米露首脳会談直後に行われた、トランプ大統領とウクライナやヨーロッパの首脳らとの電話会談の内容を報じました。
それによりますとトランプ氏は各国首脳らに対し
「私は、ウラジーミルは和平を望んでいないと思う」
と述べたということです。
親露派のトランプ大統領がこのように自白してしまったことで親露派の「即時停戦」論者たちも意気消沈、ウクライナに対して即時停戦せよという言動がめっきり減りました(笑)。
ロシアのプーチン大統領も親露派のアメリカのトランプ大統領もトルコでのウクライナ戦争の停戦協議に現れず。やはりウクライナ戦争の停戦を妨害しているのは侵略国であるロシアのプーチン大統領だ(当たり前)。
また、WSJ誌によると、トランプ大統領はプーチン氏は戦争に勝利していると信じているため、
「戦い続けるだろう」
とも語ったということです。
トランプ氏はプーチン氏との電話会談の後、和平交渉の仲介役から手を引く考えを示唆。
ただし、停戦に応じようとしないロシアに対して追加で経済制裁をするというヨーロッパ諸国には同調しない姿勢を見せています。
そこんところが、さすがロシアの「アセット」(資源)、ドナルドです。
トランプ大統領はプーチン大統領もかつて在籍したKGBの影響下?アメリカの政策急変更で広がる傀儡説。マスク氏支配のXが「アルゴリズム変更」で世論誘導し「親トランプ」「親ロシア」投稿を優先拡散。
さて、バチカンで5月にローマ教皇に就任したレオ14世は各地で続く紛争の平和的な解決を訴え、ウクライナとロシアの交渉の場としてバチカンを提供する意思を示しました。
そこでトランプ大統領もこれ幸いと、プーチン氏との電話協議が不発に終わった5月19日に
「教皇を代表とするバチカンが、交渉協議の主催に非常に関心を持っている。さあプロセスを始めよう」
と言い出し、新しいローマ教皇が仲介してバチカンでロシア・ウクライナの停戦協議をすることに賛同しました。
同じく仲介に意欲を示していた前フランシスコ教皇はロシア寄りの姿勢を示してウクライナの反発を招きましたが、レオ14世は5月11日の初めての日曜正午の祈りで、
「公正で永続的な平和」
を訴えてウクライナに寄り添い、前教皇との違いを明確にしていたこともあって、国際社会からレオ14世の仲介への期待が高まりました。
ローマ法王がロシア軍に侵略されているウクライナ政府に向けて「最も強い人とは白旗を掲げる勇気を持って交渉する人」「敗北し物事がうまくいっていないと分かったら、交渉する勇気を持たなくてはならない」と暴言
トランプ米大統領が親露派陰謀論者丸出しに「そこそこ売れたコメディアンのゼレンスキーが勝てる見込みもない戦争に突入した」「選挙を経ていない独裁者」「4%の支持率しかない」とデマを流し猛反撃される(笑)。
ところが、ロシアのラブロフ外相は5月23日、
「『ロシア正教会』の国が『カトリック』の領土で議論するのはふさわしくない」
として、ウクライナと停戦協議をバチカンで行うことは非現実的だと述べました。
ラブロフ外相はウクライナがロシア正教会の活動を事実上禁じ、ロシア正教会におけるクリスマスを従来の1月7日から12月25日に変更したことなどを念頭に
「ウクライナでロシア正教会が破壊されている問題も解決するべき問題だ」
として、宗教問題もテーマとなる以上、バチカン開催の中立性を疑問視しました。
トランプ米大統領がロシアのプーチン大統領は「望むのならウクライナ全土を手に入れることができる」と言い出し、プーチン大統領は「ドナルドに早く会いたい」。これに反発したウクライナ市民が団結を強め始めた。
このラブロフ外相のバチカン拒否の言い訳は全く非論理的で、ロシアとウクライナの正教会が対立しているからこそ、双方から距離があるカソリック教会が仲介をすることがむしろ中立性を保てるのです。
むしろ親露派であることが露骨だったトランプ大統領が停戦を仲介する方が無理がありすぎました。
というわけで、ロシアのプーチン政権はいつでも停戦協議に応じる準備があるなどと言い続けてきましたが、本当は全く停戦などする気はなく、トランプ大統領もプーチン大統領による時間稼ぎに利用されたことは明らかです。
親露派陰謀論者や反米拗らせ論者は、二度と侵略されている側のウクライナに停戦に応じろなどと口に出すべきではありません。
ウクライナ戦争停戦を邪魔する唯一の障害は侵略国ロシアのプーチン政権であることがまた明らかになったのですから。
トランプ大統領のウクライナ戦争和平構想がロシアの侵略を是認し、ロシアが侵略したクリミア半島併合を承認し、ウクライナのNATO加盟を排除するという親露派丸出し。ゼレンスキー大統領が呑めなくても仕方がない
編集後記
ロシアがウクライナを侵略しなければそもそもウクライナ戦争は起きていないのですし、ロシア軍が2022年2月24日の侵略開始以前の国境まで撤退すればおのずと戦争は終わるのですから、初めからロシアが停戦の唯一の障害なのは明らかです。
そんな簡単な理屈もわからず、3年余りも侵略されているウクライナにだけ「即時停戦」=降伏を求めて、れいわ新選組の政策委員に成り上がった伊勢崎賢治東外大名誉教授ら「今こそ停戦を」一派っていったい。
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「戦争と交渉は概して同時に進められるものだ」。ロシアの代表団を率いたメジンスキー大統領補佐官は16日、協議後の国営テレビのインタビューでこう強調した。今後も協議には応じるが、ウクライナが求める一時停戦には否定的で、戦闘は継続されるとの見通しを示した。
露側は「一時停戦はウクライナ側に戦場での態勢を整える猶予を与える」とみており、軍事的圧力をかけながら有利な立場で交渉に臨もうとする姿勢を変えていない。
ロイター通信によると、メジンスキー氏は協議で、17~18世紀に初代ロシア皇帝ピョートル1世がスウェーデンと20年以上続けた大北方戦争を例に出して「そちらが望むだけ、戦争を続ける準備はできている」と威圧した。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、露側は一時停戦を実現するためには、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州からウクライナ軍を撤退させるべきだとも主張した。4州にはウクライナ支配地域も残っている。露側は領土問題で譲らない考えを改めて示し、事実上、一時停戦を拒否する形となった。
協議ではウクライナ側が首脳会談の実施を求めた。ただ、プーチン露大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領の本来の大統領任期が2024年5月で終わり、戒厳令下で大統領選が延期されていることを理由に大統領としての正統性を認めていない。露側は首脳会談の要請があったことは認めたが、応じる可能性は極めて低いとみられる。
ロシアは侵攻を通じて、ウクライナを自国の影響下に置くことを最終目標としている。戦況はロシア有利に展開しており、米欧では「ロシアは夏に向けて大規模な攻勢を準備している」との見方が強い。今後も戦闘と交渉の両面でウクライナに圧力をかけ、自国に有利な条件の受け入れを迫っていくとみられる。【モスクワ山衛守剛】
ウォール・ストリート・ジャーナルは複数の関係者の話として、19日に行われた米露首脳会談直後のトランプ大統領とウクライナやヨーロッパの首脳らとの電話会談の内容を報じました。
それによりますとトランプ氏は各国首脳らに対し、「私は、ウラジーミルは和平を望んでいないと思う」と述べたということです。
また、プーチン氏は戦争に勝利していると信じているため、「戦い続けるだろう」とも語ったということです。
ただ、トランプ氏は、プーチン氏が「最終的には和平を望んでいると信じている」とも述べたと伝えています。
トランプ氏はプーチン氏との電話会談の後、和平交渉の仲介役から手を引く考えを示唆したほか、ロシアに対する追加の制裁にも消極的な姿勢を示していて、和平に否定的なプーチン氏の姿勢が影響しているものとみられます。
トランプ氏「プーチンは戦闘終わらせるつもりない」と欧州首脳に伝達 ロシアへの制裁強化も後ろ向き姿勢
TBSテレビ
2025年5月23日(金) 11:49
ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、アメリカのトランプ大統領が「プーチン大統領は戦闘を終わらせるつもりがない」との見方をヨーロッパの首脳らに伝えたと報じられました。
アメリカの「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領やフランスのマクロン大統領らに対し、「プーチン大統領は戦局が優勢だと思っているから、戦闘を終わらせるつもりがない」との見方を伝えたと報道しました。
複数のヨーロッパ高官の話として伝えたもので、トランプ氏が19日に行ったプーチン氏との会談の結果をゼレンスキー氏らに報告した際、そうした見方を示したとしています。また、記事はトランプ氏がロシアへの制裁強化についても後ろ向きな姿勢を示したと伝えています。
こうした中、ロシアのプーチン大統領は政府のメンバーとの会議を行い、ウクライナとの国境に沿った緩衝地帯の設置に向けた作業が行われていると主張しました。
ロシア プーチン大統領
「ウクライナ国境沿いに安全のための緩衝地帯を設けるという決定は、すでになされた。我々の軍は、それに向けて課題を解決している」
敵の拠点などを攻撃しているとしていますが、場所などの具体的なことについては言及していません。
ロシアとウクライナの停戦協議 バチカンでの開催案 ラブロフ外相拒否する考え
5/23(金) 21:57配信
テレビ朝日系(ANN)
"ロシアとウクライナの停戦協議 バチカンでの開催案 ラブロフ外相拒否する考え"
ロシアとウクライナの停戦協議を巡り、浮上しているバチカンでの開催案をロシアのラブロフ外相が拒否する考えを示しました。
ラブロフ外相は23日、「『ロシア正教会』の国が『カトリック』の領土で議論するのはふさわしくない」とし、ウクライナと停戦協議をバチカンで行うことは非現実的だと述べました。
ラブロフ外相はウクライナがロシア正教会の活動を事実上禁し、ロシア正教会におけるクリスマスを従来の1月7日から12月25日に変更したことなどを念頭に「ウクライナでロシア正教会が破壊されている問題も解決するべき問題だ」として、宗教問題もテーマとなる以上、バチカン開催の中立性を疑問視しました。
また、ラブロフ外相は和平案のための覚書の作成は進んでいるものの、2回目の協議の時期や開催場所はまだ決まっていないと述べました。
さらに、戒厳令によって大統領選を行っていないゼレンスキー大統領について「正当性がない」と改めて主張しました。
そのため、合意案ができたとしても誰が署名をするかは依然として問題だと主張しました。
ロシアは停戦協議の過程でウクライナの大統領選実施も求めていくとみられます。
テレビ朝日
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ウクライナ人はこれを聞いてどう感じたでしょうか? 「ふざけるな!バカヤロー!!」ではないでしょうか。
別コメントで触れたとおり、トランプは停戦合意のさじを投げたも同然、外交のド素人ゆえ、どう進めるかという考えがないからでしょう。「面白半分」だからです。トランプに関心があるのは金儲け。資源豊富なロシアと早く協議したい、そのためにも関係悪化は回避したいわけですから経済制裁を追加するなんてほぼないでしょう。
クレムリンがトランプをアセットにしたのは「先見の明」があったということでしょうか。
トランプの無様さをウクライナ歩兵は「プーチンは全世界の前でトランプ大統領を笑っている」としました。多くの人が同意するでしょう。また、ウクライナ議員は「ロシアが彼(トランプ)を騙し、馬鹿にしているという事実を彼は受け入れる準備ができていない」と。そしてロシア占領下で暮らすウクナイナ人は「トランプとプーチンのような略奪者たちがウクライナを破壊し略奪し、植民地化し、私たちを奴隷にしてしまうのではないかと非常に恐れています」としました。
彼らに反論するのは親クレムリンの即時停戦論者くらいですね。
'Putin is laughing at Trump' — Ukraine in disbelief as Russia makes a mockery of US-led ceasefire attempts (kyivindependent 2025/5/16)
https://kyivindependent.com/putin-is-laughing-at-trump-ukraine-in-disbelief-as-russia-makes-a-mockery-of-u-s-led-ceasefire-attempts/
プーチンに停戦の意思がないのは2022年の交渉でも同じでした。交渉の間もロシア軍はすさまじい攻撃を加えていました。アメリカの武器ハイマースが到着する前でもあり、ウクライナ軍は甚大な犠牲を払っていました。そのときもプーチンが求めていたのは「和平」=ウクライナの無条件降伏でした。ウクライナが侵攻されたときの支援について「すべての保障国が合意した決定に基づいて」 のみ行われるとロシアが主張、ロシアも保障国となるわけですからこれは事実上の「拒否権」です。このようにウクライナが絶対飲めない条件を草案に盛り込んだのですから、これが決裂となったとみていいでしょう(注1)。
しかし陰謀論系の自称護憲派は、西側が交渉をぶち壊したとロシアの猛攻撃を棚に上げ、的外れな罵倒を繰り返しました。今回も懲りずに「停戦もしないで徴兵をして自国民を死に追いやる」とゼレンシキーを中傷します。民意を代表していないと繰り返すのですが、ウクライナの世論が何を語っているのか何も理解しようとしません。自説に都合が悪いですからね。
徴兵の仕方は外国人をだますなどして(旧日本軍が性奴隷をだましてかき集めたのと同様)ロシアの方がよほど外道(注2)なのですが、何も批判をしないというトランプ主義に転落したままです。
親クレムリンの自称護憲派もロシアのアセットです。
【注】
1,The Talks That Could Have Ended the War in Ukraine (foreignaffairs 2024/4/16)
https://www.foreignaffairs.com/ukraine/talks-could-have-ended-war-ukraine#
2,Sold for a Passport: Russia’s Recruitment Pipeline Sending Young Africans Into Its War (united24media 2025/5/20)
https://united24media.com/war-in-ukraine/sold-for-a-passport-russias-recruitment-pipeline-sending-young-africans-into-its-war-8509
アフリカの人たちがロシアに学生や移民労働者としてやってきますが、ビザの期限が切れたり、警察による強制捜査に巻き込まれたりすれば、彼らはすべての保護を失います。まさにその時、軍のリクルーターがやって来るのです。トランプが移民を強制的に拘束しエルサルバドルの刑務所に送り込むのを想起します。トランプはロシアの刑務所にも移民を送るでしょうか?
また女性もだまされて軍事工場に送られ12時間強制労働、有害物質の曝露、賃金の未払い、逃げられないよう警備員の監視の下に彼女たちはあります。奴隷と言ってもいいでしょう。
ロシアに加担する中国に対しても。
できることと言えば、悪令乱発で、国内の業者いじめ、その他自己経済制裁。あとは、自由主義や民主主義や大学いじめ(学術会議いじめのマネ?)。
「プーチン氏が大勢を殺害」 トランプ氏、ロシア攻撃強く非難
https://www.47news.jp/12631705.html
これはSNSに書き込まれた内容ですが、この記事だけを読むとロシア批判に舵を切ったかに見えます。しかしこれには続きがあります。それを正しく伝えているのは次の記事。
Trump Publicly Calls Out Putin After Zelensky Criticized America’s ‘Silence’ Amid Deadly Strikes (Time 2025/5/26)
まず、はじめにー、
ロシアによる民間人への攻撃に対しゼレンシキーはSNSで米国批判をしました。
「ロシアはこの戦争を長引かせ、毎日殺戮を続けている。世界は週末に休暇を取っているかもしれないが、戦争は週末も平日も関係なく続いている」
「米国の沈黙、そして世界中の沈黙は、プーチン大統領を勇気づけるだけだ」
「ロシア指導部への真に強い圧力がなければ、この残虐行為を止めることはできない。制裁は確かに役立つだろう。今重要なのは決意だ。米国、欧州諸国、そして平和を求める世界中のすべての人々の決意だ。」
ゼレンシキーの米国批判に腹を立てたトランプはプーチン批判をしたSNSの中でこう返しました。
「(プーチンと)同様に、ゼレンスキー大統領も自分の発言が祖国に何の利益ももたらしていない。彼の口から発せられる言葉は全て問題を引き起こす。私はそれが気に入らない。これ以上は止めた方がいい」
トランプが最も言いたいことはこのようにSNS後半に書かれています。そして「プーチンとゼレンスキーとバイデンが始めた戦争だ」と繰り返しており、何も学習をしていません。トランプの認知能力の程度がよくわかるでしょう。トランプは自分の無能を自覚し、停戦の仲介は欧州に任せておとなしくしてもらいたいですね。
ロシアの酷い攻撃に対し記者団からロシアに追加制裁を検討するかと問われトランプは「当然だ」としたそうですが、実施するかどうかは別の話です。これまでロシア融和を唱えていますので望みは薄いです。
それにしても「プーチンは狂ってしまった」と言ったところで、トランプの狂い方が遙かに上。プーチンのウクライナ侵略をトランプは礼賛しました。これを見てもトランプは狂っていますが、プーチンにはある種の野望があったでしょう。最近、プーチンの顧問が「ソ連(USSR)は法的観点からいえばまだ存在しているはずだ」と述べたそうです。
Kremlin claims USSR still exists — Ukraine responds sharply (RBC-UKRAINE 2025/5/23)
私たちから見れば狂っているように見えますが、クレムリンの底流にはスターリンの復権、ソ連への回帰願望が渦巻いています。当局のプロパガンダも機能しており、2017年のレバダ・センターの世論調査では、国民の4分の1がスターリンの弾圧が「歴史的に正当」だと考えているとしました。2018年では、スターリンが数百万人を殺害したという認識を持つ人が44%。2019年では、スターリンへの尊敬の念が14%増加、国民全体の51%が彼に対して肯定的な感情を維持。2021年では、国民の39%がスターリンを「あらゆる時代、あらゆる国で最も傑出した人物」と評価。スターリンへの支持が最も 増加したのは 、18歳から30歳までの最も若い年齢層でした。
Stalin Lives, Truth Dies: Putin Weaponizes History (kyivpost 2025/5/23)
https://www.kyivpost.com/opinion/52992
このスターリン礼賛と平行してクレムリンは第二次世界大戦におけるロシアの唯一の役割は自衛であったと主張、戦争の始まりを西側諸国だけのせいにして歴史を歪曲しました。ソ連が1939年9月ポーランドへ、11月にフィンランドに侵攻したことの隠蔽です。「NATOがロシアを攻めてくる」という妄想もこうした西側諸国を敵視するイデオロギーが背景にあります。そしてウクライナ侵略を正当化する役割も果たしました。
こうしたソ連回帰の動向や、プーチンの戦争を支持するロシア国民世論、事実上の米国のNATO離脱からしても、フィンランド、ポーランド、モルドバ、バルト3国などは特に警戒を高めているでしょう。反米拗らせ自称護憲派は単純に北欧2カ国のNATO加盟を批判していますが、不勉強と無神経の極みです。