フジテレビは29日、5日夜に放送した「金曜プレミアム『池上彰緊急スペシャル!』」で、韓国人男女のインタビュー映像を日本語訳をつけて流した際に、訳とは違う発言をしている部分の映像を誤って使ったとして、ホームページにおわびの文章を掲載した。

 フジテレビによると、番組は、1965年の日韓基本条約締結から6月で50年になることに合わせて、現在の日韓関係や国交正常化の歴史などをジャーナリストの池上彰さんが解説する特別番組だった。

 映像と日本語訳に食い違いがあったのは、韓国の人たちに日本の印象についてインタビューする場面。

 放送で、「嫌いですよ、だって韓国を苦しめたじゃないですか」という日本語の字幕と吹き替えをつけていた部分は、実際は女性が韓国について「文化がたくさんあります。だから、外国の人がたくさん訪問してくれているようです」と話していた。

 「日本人にはいい人もいますが、国として嫌いです」という日本語訳をつけられた部分は、実際は男性が「過去の歴史を反省せず、そういう部分が私はちょっと」と話していた。

 フジテレビによると、2人はインタビューの未放送部分で日本語訳の内容を話していたが、編集作業のミスに加え、最終チェックが不十分で映像を取り違えたという。放送後、ネット上で、字幕や吹き替えと映像の韓国語の発言が一致しないことへの指摘が相次いでいた。

 フジテレビはおわびで、「視聴者の皆様、インタビューにご協力いただいた方々、並びに関係者の皆様にお詫(わ)びします。今後は再発防止に努めてまいります」としている。

 池上さんは朝日新聞の取材に「私の名前がついた番組のなかで起きたことであり、申し訳ないことだと責任を感じています。番組スタッフ全体でのチェックが不十分でした」と話した。(滝沢卓、長谷川陽子)