文化庁と工業技術院
[XML MOJI 01670] 「文字の海、ビットの舟」特別編31 「漢字を救え!」キャンペーン
では、どうして空想と空想がぶつかり合わねばならなかったのか。なぜ、空想は空想として訂正されないのか。更に文章をさかのぼることで、それが見えてきます。川俣2006/02/15 14:34
つまりこのシンポジウムの構図は、国語施策を担当する文化庁とJISを担当する
工業技術院(現在の経済産業省産業技術環境局)の課長の2人を呼び、それを大
勢の文芸家達が取り囲んで不満をぶつけるというものだった。
*/小形克宏
ここで、不満をぶつける相手として文化庁と工業技術院の人間を呼んでいますが、実はこの文脈において、文化庁も工業技術院も当事者ではなく傍観者でしかありません。川俣
しかし、後の表外漢字字体表からJIS X 0213改正に至る流れを考えれば、こ
れらを担当する文化庁と工業技術院を読んだのは、きわめて正しい現実的な
選択だったように思います。ちょっと正しすぎて鼻につくくらいですが。小形克宏
まったく同意です。
きだ
確かに、そう言われてみればその通りですね。
ちなみに、これを読んで連想したのは、公文俊平の情報文明論という本です。
1994年にNTT出版から出た本です。
215ページの表「三つの社会ゲームの対照表」から一部抜粋
威のゲーム
目標: 脅迫/強制力
個別的手段: 戦争
一般的手段: 外交
富のゲーム
目標: 取引/搾取力
個別的手段: 商品
一般的手段: 富(ウェルズ)
智のゲーム
目標: 説得/誘導力
個別的手段: 情報・知識
一般的手段: 智(ウィズダム)
既に忘れかけているので、ものすごくいい加減に書くと。
社会は、威のゲームの時代から富のゲームの時代に進んだが、次に智のゲーム
の時代に進むだろうという話です。
文化庁と工業技術院というのは、富のゲームの時代にはさほど大きな役割を果
たしていなかった組織だと言えます。(少なくともコンピュータ上の文字という
世界では)
しかしこの2つの組織は、「取引/搾取力」は無くとも、国家権威をバックに持
つことで「説得/誘導力」については強力な力を持っていたと言えます。
そして、時代はまさに「富のゲーム」から「智のゲーム」への転換期。
その時流にまさにピッタリ合致したことで、本来なら不適切であったはずの人
選が、「正しすぎて鼻につく」ぐらい正しい人選へと入れ替わってしまったよう
な気がします。 川俣 晶