この記事は、「戦え!!イクサー1」の加納渚とイクサー1が、映画解説をしている前提で読んで下さい。
イクサー1「加納渚の…」
加納渚「微妙ロードショー!」
加納渚「こんにちは!私、加納渚!深夜放送フリークで、B級映画大好きな女子高生!」
イクサー1「私はイクサー1。クトゥルフの人造人間。私の耳を見てエルフと言う人がいらっしゃるようですが、正確には、私はエルフではないので、悪しからず。あの…渚…」
加納渚「どうしたの?また、私の体が目当てなの?」
イクサー1「いえ…ただ、この記事の趣旨がわからなくて。」
加納渚「この記事では、私こと加納渚のお気に入りの映画を、あなたと一緒に紹介していくの。」
イクサー1「はあ…」
加納渚「要するに、私は水野晴郎さんや淀川長治さんみたいな立ち位置になるのかしら。タイトルも、水野さんの金曜ロードショーのモジリだしね。」
イクサー1「淀川さんは確か、恋愛対象が同性の方でしたね。では渚も…」
加納渚「今回紹介するのはこちら!『ニードフル・シングス』。監督は、『猿の惑星』の主役をしていたチャールトン・ヘストンの息子の、フレイザー・クラーク・ヘストン!」
イクサー1「(スルーされた…)ジャンルは、渚の好きなホラーですか?」
加納渚「そうよ。原作はあのスティーブン・キング。『スタンド・バイ・ミー』で有名ね。この映画にも、『スタンド・バイ・ミー』に登場した町、キャッスル・ロックが出てくるの。」
イクサー1「キャッスル・ロックとはどんな町ですか。」
加納渚「アメリカの田舎町ね。のんびりしてるように見えて、実はいさかいの絶えない町。ストーリーは、リーランド・ゴーントって商人が、キャッスル・ロックで骨董屋を開く所から始まるのよ。」
イクサー1「骨董屋ですか。」
加納渚「でも、ただの骨董屋なんかじゃあない!お客さんにとって一番必要な物、欲しい物を売っているの!当然、ちょっと高くても欲しくなっちゃうよね?だから、足りない分の対価は行動で払ってもらうって仕組みなの。」
イクサー1「行動?一体ゴーント店長は、店を訪れた人に何をさせようというのですか?」
加納渚「イタズラよ。」
イクサー1「イタズラ?おどかさないで下さいよ、渚。てっきり私は、もっと恐ろしい物を要求するのかと思いましたよ。例えば、生き血とか…」
加納渚「でも、これが生半可なイタズラじゃないのよ。人間関係をズタズタにする、陰湿なイタズラなの。」
イクサー1「人間関係をズタズタに?」
加納渚「例を出した方がいいかしら。キャッスル・ロックに住むブライアン君は、野球カードを集めているの。で、ミッキー・マントルって選手のカードは、コレクターの中でも大人気。当然、ブライアン君も欲しくてたまらないの。でも人気カードだから、プレミアがついてて、子供には手が出せないのよ。」
イクサー1「私の妹の主演作『冒険!イクサー3』のDVDみたいですね。私のDVDは、ちゃんと新品で売っているのに…」
加納渚「で、ブライアン君のお小遣で足りない分は、イタズラで支払う事になったの。そこでゴーントが目をつけたのが、農場の奥さんのウィルマと、喫茶店の店員のネティ。」
イクサー1「彼女達に何を…」
加納渚「この2人は元からあまり仲がよくなかったの。ウィルマはネティの飼ってるワンちゃんが嫌いで、事あるごとに『その犬殺してやる!』って言って、ネティをいじめていたの。」
イクサー1「まあ…」
加納渚「ゴーントは、そんな二人の対立を更に煽るのに、ブライアン君を利用したのよ。ブライアン君は、ウィルマの家の洗濯物に、泥とフンを混ぜた物をかけたり、ネティが喫茶店でアップルパイの材料にしてるリンゴで窓ガラスや電子レンジをかち割ったりといったイタズラをやったの。ウィルマはネティに仕返しされたと思い込んで、ネティを更に激しくいびるようになったのよ。」
イクサー1「無関係な子供を利用するとは、なんと卑劣な…」
加納渚「で、ブライアン君以外にも、ゴーントの毒牙にかかった人がいるの。」
イクサー1「まだ被害者が…」
加納渚「そう、それが飲んだくれの町職員のヒュー・プリースト。この人は、ティーン時代の思い出のジャケットを買い戻したいと思っていたの。で、ジャケットの対価として、ネティの愛犬を殺しちゃうの!」
イクサー1「そんな!ジャケット欲しさに犬を殺すなんて!」
加納渚「欲望を煽られたら、そうなる人もいるわさ。」
イクサー1「それで…どうなったのです、渚?」
加納渚「犬を殺されたネティと、リンゴでガラスを割られたウィルマが、刃物で互いに殺し合っちゃうの。で、イタズラの張本人のブライアン君は、自分のしでかした事の重大さに気付いて、拳銃で自殺を図るの。」
イクサー1「悲しすぎます…わずかな誤解が、こんな恐ろしい結末になるなんて…」
加納渚「でもね、ネティも無実じゃないの。ベティは置物欲しさに、船舶ディーラーのキートンの家に、嫌がらせの違反切符を貼りまくるの。キートンは保安官助手のノリスにやられたと思い込んじゃうの。怒ったキートンはノリスにねずみ捕りを送り付けて、怪我をさせちゃうの。」
加納渚「さらに、ゴーントはアランの婚約者のポリーに、キートンが公金を横領しているのをリークし、『アランとキートンはグル。』って吹き込んじゃうの。」
加納渚「こんな具合に、町の人がお互いにイラズラをして、疑心暗鬼にしていくのが、ゴーントの目的なのよ。」
イクサー1「恐ろしい…ゴーントは悪魔です!こんな真似をするのは、人間じゃありません!」
加納渚「そう。ゴーントは人間じゃないの。骨董屋・ニードフルシングスには、古い新聞の束があるんだけど、それが歴史的な大事件の新聞記事ばかり。ヒトラーのオーストリア制圧に、ケネディ暗殺、広島と長崎への原爆投下など。ゴーントはその全てに関わってるみたい。しかも、イエス・キリストとも面識があるから、人間離れした時間を生きた存在なの。」
イクサー1「本当に悪魔なのですか!」
加納渚「うん、どうもそうみたい。で、町は暴動状態。イタズラしあって疑心暗鬼になり、互いに憎み合った結末ね。」
イクサー1「もう許せません!キャッスル・ロックに行って、ゴーントを成敗してきます!」
加納渚「ちょっと落ち着いてよ、イクサー1!」
イクサー1「何を言うのです!きっとゴーントは、ゴールドの手先です!一連の事件は、ビッグゴールドの仕業です!」
加納渚「そんな、どっかの仮面ライダーみたいな事を言わないでよ!」
南光太郎「呼んだ!?」
加納渚「ほら来ちゃったよ!」
イクサー1「ビッグゴールド…お前を倒す!」
南光太郎「キャッスル・ロックで暴動が!?ゴルゴムの仕業だ!!」
加納渚「だいじょぶだいじょぶ♪アランが町の人を説得してるから、2人とも落ち着いて。」
イクサー1「これで事態は沈静ですね。」
加納渚「でもね、町の人に馬鹿にされて、もうすぐ逮捕されちゃうと思い込んだディーラーのキートンは、町の人を巻き添えに自爆しようとするの。おまけに色々あって、この人奥さんを殺しちゃったのよ。だからもう後戻りできなくなっちゃったんだ。」
イクサー1「全然解決してないじゃないですか!」
加納渚「ううん、吹っ飛んだのはキートンとニードフルシングスの店だけ。ゴーントがキートンを、『バスター』って呼んじゃったから、怒っちゃって。」
イクサー1「どうして?なぜ『バスター』って呼ばれたら自爆するのですか?」
加納渚「キートンは、『バスター』って呼ばれるのが嫌なの。『バスター・キートン』って呼ばれて、からかわれたクチね。私も名前が『渚』だから、共学の高校に行ってたら、『使徒』とか呼ばれてたかもね。あるいは『カヲル君』とか。共学に行った中学の時の友達から聞くと、男子って馬鹿だから、名前でからかうのよね。」
イクサー1「渚もいろいろ苦労してるんですね。」
加納渚「ニードフルシングスの店が吹っ飛んで、やっと町が平和になったと思ったら、ゴーントは生きていたの。ゴーントは、2058年の未来でアランと喫茶店のオーナーのポリーの間の孫に会う事を示唆して、車に乗って去って行くの。」
イクサー1「子孫との再会を約束して去って行くのですか…ちょっとロマンチックですね、渚。」
加納渚「どこがロマンチックなんだか…さて、『加納渚の微妙ロードショー』、いかがだったでしょうか?あなたの心には、何が残りましたか?イクサー1の心には、ズレたロマンチックさが残ったみたいです。では…サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…」