クワトロ郎

人生の彩りをアレコレ描いたり、歌ったり、知恵しぼったり、
牛乳しぼったり、  ん?  てな具合で
オヤジギャグ三昧

読書感想文:Thomas Hardy : Tess of the D'Urbervilles

2014-11-17 22:40:16 | 読書感想文

1891年英国トーマス・ハーディ(Thomas Hardy)の作。ナスターシャ・キンスキー主演で1979年に映画化。邦訳は、1960年に岩波文庫から、2004年に筑摩書房から『テス』として出版。

映画は見ていないが、文章は非常に視覚的で、ストーリー的にとてもドラマティックで、映像向きだと思う。主人公のテスに読者は感情移入して、はらはらどきどきし、その不遇の人生と、虐げられながらも、自分自身であろうとし続けるその姿に感動する。最後は悲劇の幕切れだが、男というもののしょうもなさと、女というものの強さに、読者は逆に希望を感じる。

現代のような人権主義の時代ではない。生計を立てることが容易な時代ではない。機械もない手作業の時代である。貧富の差がとてつもなく大きかった時代である。公共の教育なんて無い。生まれた階層にとどまるしかなかった時代である。その時代に書かれた、その時代の女の、いや、一人の人間の、決して負けない力強さへの賛歌である。

好き勝手なことをして”自分らしく生きたい”なんて、言ってる脳天気な現代人には、それが自由に出来ることを最大限に生かして欲しいと思うが、ちんけなことしか出来ていないんじゃないのー?と毒づきたくなる。

今の時代、日本においては、何をやるにも制限は無い(法規の範囲内で)。制限はその人の想像力だけ。

今の時代、他の国では、選択肢は非常に限られているところもある。

昔の時代、どの国でも、選択肢は非常に限られていた。

日本人、さて、何をしますかな。

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