国会図書館が定期的に刊行している「調査と情報」に、通学路の安全対策に関する
話題がありました。
実は我が国においては、歩行中の交通事故死亡者数が自動車乗車中の死亡者数を上
回り、自転車や電車などの他の交通手段別では最多となっています。
また、最近では、通学路での事故や集団登下校中での事故が相次いでいることか
ら、社会問題と化しています。
通学路の安全対策としては、まずはガードレールの設置が一般的ですが、設置する
スペースがない場合は道路上に緑色の塗料を用いて車道と歩道を色覚的に分ける対策
がなされています。
しかしながら、昨年4月に発生した京都市亀岡市や千葉県館山市での事故が物語る
ように、この方法も抜本的な安全対策となっていないのが現状です。
例えば、オランダやドイツでは1970年代に歩車共存の「ボンエルフ(生活の
庭)」という考えが提唱され、歩道と車道の区別をなくし、自動車は7km以内の速度
で走行するなどの安全対策を行いましたが、結果としては道路改修費用がかさみ、政
策としてはうまくいかなかったようです。
今、日本をはじめ先進国では、自動車が30km以内で走行しなくてはならない
「ゾーン30」が主流となっていますが、これも抜本的な対策となっていないのが実
情です。
そこで各党では通学路安全対策に関する議論が進んでいるところで、民主党では
「スク-ルセーフティーゾーン対策」として、道路上に小さなカマボコ状のハンプと
呼ばれる障害物を設けて自動車の速度を強制的に落とす仕組みを作るなどの議論がな
されています。
子どもからお年寄りまで、大切ないのちを守る対策として、こうした議論をしっか
りとさせていただきたいです。