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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

宮川孝雄

2016-11-13 13:18:20 | 日記
1963年

「真ん中高目のストレートです。だれでも打てる球でした。フラフラッととんでいったようですが、バットのシンには当たっていました。ああいうのを感じよく打てたというのでしょうね」宮川はノンビリした表情でインタビューにこたえた。声も小さいし調子も高くない。ホームランを打った直後の喜びようとは人がかわったようだった。三塁ベースをまわろうとして白石監督におしりをたたかれたとき調子をとって最敬礼のような格好をして走り抜け、そのまま本塁からベンチまで歓迎のナインにクルーカットの頭をたたかれどおしだった。顔中笑いにして宮川は荒っぽい祝福をしあわせそうに受けていた。「オヤジ(白石監督のこと)からミヤ九回の裏のときにいくぞといわれていた。巨人戦は好きなんです。ファイトはわくし、やろうといく気になります。代打専門は当っているうちは楽しいですね。一試合に一度出てポンと打てばそれでいいんだから・・・」レギュラーになるのと代打専門とどちらがいいかと聞かれて、はっきりこたえないところをみると代打オンリーにも生きがいを感じているらしい。昨年の唯一のホームランも城之内から奪った代打ホーマー。プロ入り以来打ったホームランが二本とも代打のときだったという代打男だ。「ジャッキー、ナイス・ホームラン」平山コーチが握手してきた。ジャッキーというのは足が速いことから米大リーグの俊足強打者ジャッキー・ロビンソンに似ていると平山コーチがつけたニックネーム。これで宮川の打率は十三打数五安打、打率三割四分五厘という高打率になった。アダ名のとおり足も速いし、バッティングはしぶといし絶好のトップ・バッターになれる。しかし一年に一度は大ケガをして休むのが玉にキズ。「ファイトがありすぎてボールに向かっていって、すぐわき腹などに当って休むけんのう」と白石監督は痛しかゆしの表情だ。白石監督は「とにかくことしはケガがないのでいいな。もっともこの前の阪神戦では首筋を寝違えて休みましたがね」宮川も自分の欠点はよく知っている。報道陣から解放されて一番最後にロッカーへ帰ったらホームラン賞の生ビールサッポロ・ジャイアンツの大ビン二本が待っていた。「祝杯?いやあ、まだシーズンがはじまったばかりなのにこればかりではのめません。ノンプロ(門鉄)に六年もいたから考え方も現実的になりましたよ。一本だけは持って帰ろうかな。オヤジにのんでもらう」といって大事そうにかかえた。「それがいいね。こんどはジャイアンツをのんでしまえ」と竹内マネがセンスのあることをいってけしかけた。

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