1963年
「きょうなどシャットアウトしないといけなかったね。一回に4点をとってくれたんだから。ここ四、五年ない経験だよ。あまりよくなかった。スピード不足だったよ。後半は出てきたがね。北川のように勝っても負けても気持ちよく話す投手はいない。ピッチングもテンポが早いが、話しも実によどみがない。「阪神というチームはいくら負けていても初球から打ってくるんだ。だからせり合っているとやりやすいとはいえないが、こっちがリードしているとあんな楽なチームはないね」阪神の選手が聞くとアタマへきそうなことを平気でいう。そのうえ藤本監督がこれまでよくいった「北川は国鉄にいたからこそウチに割り合い好投できたんだ。巨人で投げると意気込みが違うから、いつもほどウチに通用するわけがない」という見方にも堂々と反論しはじめた。「チームは変わっても阪神の攻め方は変わりっこないよ。同じさ。ただ九回に藤本にだけはうまくやられたな。外角のスライダーだぜ。長島君がよくやるように上からかぶせて、手首でレフトのスタンドへもっていかれた。あれがアメリカ帰りのリスト・スイングというものかね」取材記者を大笑いさせることもちゃんと心得ている。十四日の阪神戦に一度出ただけでその後登板なし。北川にとって巨人にはいってはじめての勝利だ。「やっと勝利投手倶楽部と完投投手倶楽部の両方にはいれたよ。ウチの投手は出ると勝ちでしょう。ぼくだけがとり残されているようでやはりあんまりいい気持ちはしなかった。この1勝で落ちつくね。しかしホームランされたのは巨人の投手陣でははじめてなんだ。これはあんまり感心しない」横にいた王が「へー、ホームランされたのははじめてなの?しかしきょうならいいじゃないの。ああ、打たれたかという程度ですむよ。勝敗には関係ないから」と妙ななぐさめ方をした。「きょうのスピードならまたあすの新聞に北川はスピード不足をコーナーワークで補ったと出るね。あの文句をいるのはあきちゃったよ。かわった書き方をしてくれんかね。バックがあれほど打ってくれるなら、まだおれでも十年くらいもちそうなのに・・・」と北川ははや手まわしにあすの新聞の予想までしていた。
「きょうなどシャットアウトしないといけなかったね。一回に4点をとってくれたんだから。ここ四、五年ない経験だよ。あまりよくなかった。スピード不足だったよ。後半は出てきたがね。北川のように勝っても負けても気持ちよく話す投手はいない。ピッチングもテンポが早いが、話しも実によどみがない。「阪神というチームはいくら負けていても初球から打ってくるんだ。だからせり合っているとやりやすいとはいえないが、こっちがリードしているとあんな楽なチームはないね」阪神の選手が聞くとアタマへきそうなことを平気でいう。そのうえ藤本監督がこれまでよくいった「北川は国鉄にいたからこそウチに割り合い好投できたんだ。巨人で投げると意気込みが違うから、いつもほどウチに通用するわけがない」という見方にも堂々と反論しはじめた。「チームは変わっても阪神の攻め方は変わりっこないよ。同じさ。ただ九回に藤本にだけはうまくやられたな。外角のスライダーだぜ。長島君がよくやるように上からかぶせて、手首でレフトのスタンドへもっていかれた。あれがアメリカ帰りのリスト・スイングというものかね」取材記者を大笑いさせることもちゃんと心得ている。十四日の阪神戦に一度出ただけでその後登板なし。北川にとって巨人にはいってはじめての勝利だ。「やっと勝利投手倶楽部と完投投手倶楽部の両方にはいれたよ。ウチの投手は出ると勝ちでしょう。ぼくだけがとり残されているようでやはりあんまりいい気持ちはしなかった。この1勝で落ちつくね。しかしホームランされたのは巨人の投手陣でははじめてなんだ。これはあんまり感心しない」横にいた王が「へー、ホームランされたのははじめてなの?しかしきょうならいいじゃないの。ああ、打たれたかという程度ですむよ。勝敗には関係ないから」と妙ななぐさめ方をした。「きょうのスピードならまたあすの新聞に北川はスピード不足をコーナーワークで補ったと出るね。あの文句をいるのはあきちゃったよ。かわった書き方をしてくれんかね。バックがあれほど打ってくれるなら、まだおれでも十年くらいもちそうなのに・・・」と北川ははや手まわしにあすの新聞の予想までしていた。
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