1961年
勝った秋本は「ナイス・ピッチング」と自分でいいながら田中(守)人見に握手を求めた。「南海にはオレが投げんと勝てんのや」阪急で一番ずぶとい根性の持ち主らしい言葉だ。「ブルペンでスピードボールにのびがなかったし、一回にポンといかれたからな。これはいかんとあとはスピードを抜いた。よかったのはシュート、内角をついてからスライダーを外角に投げたんだ。スロー・カーブ?カウントをかせぐだけだがみんなうまく泳いでくれたよ」変化球ばかり投げた秋本の右手人差し指には大きな血マメができていた。南海にはオレやというものの南海に勝ったのは一昨年六月九日の対十回戦、2-0で完封して以来だ。「タケ(人見のこと)の本塁打もきいたけど、四回の田中さんの一発はうれしかったね」その田中(守)は小柄な秋本の横で大きなからだを小さくしている。というのは四回満塁で打ったのが今シーズンはじめてのタイムリーだったからだ。「本塁打が一本あるからな。これで打点4、おはずかしい次第ですよ。打ったのはカーブだったと思う。コース?真ん中だろうよ。とにかくタイムリーが1本もなかったんだからね。なんとかしてでもと思っていたのがあんな大それたことになって」大下コーチは「技術的にいう必要はない。田中はていねいに打ち出せば絶対三割打者になれる」とキャンプ中にいっていたことがある。三割打者にはほど遠いが「ことしは力をいれずミート打法に切りかえた。一球一球が勝負のつもりで気合いをいれているんだ。昨年まではあのカーブが打てなかった」2-1からの低目のボールを前で合わせただけ。大下コーチは「あれでいいんだ、あれでいいんだ、忘れるな」と何度もいっていた。
勝った秋本は「ナイス・ピッチング」と自分でいいながら田中(守)人見に握手を求めた。「南海にはオレが投げんと勝てんのや」阪急で一番ずぶとい根性の持ち主らしい言葉だ。「ブルペンでスピードボールにのびがなかったし、一回にポンといかれたからな。これはいかんとあとはスピードを抜いた。よかったのはシュート、内角をついてからスライダーを外角に投げたんだ。スロー・カーブ?カウントをかせぐだけだがみんなうまく泳いでくれたよ」変化球ばかり投げた秋本の右手人差し指には大きな血マメができていた。南海にはオレやというものの南海に勝ったのは一昨年六月九日の対十回戦、2-0で完封して以来だ。「タケ(人見のこと)の本塁打もきいたけど、四回の田中さんの一発はうれしかったね」その田中(守)は小柄な秋本の横で大きなからだを小さくしている。というのは四回満塁で打ったのが今シーズンはじめてのタイムリーだったからだ。「本塁打が一本あるからな。これで打点4、おはずかしい次第ですよ。打ったのはカーブだったと思う。コース?真ん中だろうよ。とにかくタイムリーが1本もなかったんだからね。なんとかしてでもと思っていたのがあんな大それたことになって」大下コーチは「技術的にいう必要はない。田中はていねいに打ち出せば絶対三割打者になれる」とキャンプ中にいっていたことがある。三割打者にはほど遠いが「ことしは力をいれずミート打法に切りかえた。一球一球が勝負のつもりで気合いをいれているんだ。昨年まではあのカーブが打てなかった」2-1からの低目のボールを前で合わせただけ。大下コーチは「あれでいいんだ、あれでいいんだ、忘れるな」と何度もいっていた。
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