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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

巽一

2016-09-11 23:13:29 | 日記
1965年

「五回まででいい、なんとか投げてくれ」砂押監督にそういわれたのは、サヨナラ負けした十四日の試合後だった。「五回なんて欲を出すときっと打たれるでしょう。一イニングずつていねいに投げていこうと思ったんだ」ON砲に四度も対戦したのは四年ぶりのこと。ものすごく緊張したという。二人ともずいぶん成長しましたね。ぼくが三年近い駄足ぶみをしている間にものすごくえらくなったもんだ」六回、王に中堅ライナーを打たれたときは、うしろを振り向かないでマウンドにすわり込んだ。「てっきり打ち込まれたと観念したんです。中飛に終わったときは全身の力が抜けてしまったような感じだった」ジリジリと追いあげてきた巨人に、巽はヘトヘトになってベンチに帰ってきた。冷たい水を一杯、たばこを一服すってやっと口が動き出す。「最後まで苦しみの連続、八回の二死満塁なんて最高だったですよ」塩原には外角一本やりで勝負をした。それまで岡本のサインに一度も首を振らなかったが、そのときだけは外角を固執したそうだ。「彼がデビューしたとき・・・何年だったか忘れたけど、内角に投げてひどい目にあったのを思い出したんです。だてにプロのメシをくっていないですよ」肝臓を悪くして三十八、九年を敗戦処理にまわった巽は、ブルペンで打者の欠点をずっと研究していた。チームの遠征は九人だけが一等車に乗れて、あとは全部二等車に押し込まれる。二等車の中で巽は若手からアドバイスを受けたこともあった。「長島はこのごろ外角をうまく流している。だから内角に目をつぶって投げたんです」ON砲をヒット一本に押えたのが最高だったという。「巨人に勝ったのは四年ぶりですか。うれしいですね。ぼくの記録にはなんでもぶりがつきますね」もっとうれしいこともあった。巨人の先発安藤とは早慶戦で投げ合った仲。「安藤ときいたときに猛烈なファイトがわいてきたんです。あいつには一度も負けたことがないですからね。前半はストレートが久しぶりに走ったし、後半にはシュートがよく切れた。ベンチはヒヤヒヤのしどおしだったでしょうが、ぼくの胸の内はものすごく落ち着いていたんです」そしてその証拠をつづけていった。「雨が降ってきたのは七回でしょう。ちゃんとおぼえていますよ」しかし巽はやっぱりあがっていたようだ。グラウンドにカサがパッと開いたのは八回裏無死の九時十二分。巽のいった七回とは約二十分もズレがあった。

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